おもてなし料理|錫器:錫小鉢・雫・ゆり工房

軽快なおもてなしの料理 七月

 おもてなしの料理の中には家族へのもてなしも入っているのです。

 日常の中で、時にはいつもと違う発想でちょっとごちそうをと思うのは愛情であり、作る側にもいただく側にもたのしいことに違いありません。

 いつもとは少し変えてその季節らしい器を出してみる、同じものでも切り方を変えてみる。いろいろとこまかな工夫があれば料理は生き生きとするのです。

 この頃はおとりよせブームとかで主婦が何から何まで作らなくても美味しいものが入手可能です。少し手間をかけ、しっかり作ったものと市販のものの組み合わせで軽快におもてなしの方法を覚え、あまり負担にならないようにすれば時々やってみたくなるのではないでしょうか。

工芸店ようび 店主 真木

 大阪では六月末の愛染さんから始まり七月になると天神祭、月末には住吉さんの祭りがあります。ようびの近くのお初天神(露天神)は十七日がおまつりで、お獅子が店を寿いでくれて、ヤッサヤッサと元気な若い人の声と、雷の様な役太鼓の音がきこえて一日大変にぎやかで楽しいのです。

 そんなこんなでお客様も多い季節、でも暑い時あまり大変なおもてなしは呼ぶ方も呼ばれる方も気を使います。そこで、シャリシャリと清涼感のある野菜の千切りとえびの塩ゆでとささみのむしりを大泉恵さんのパートドヴェールの大皿に盛ってみました。

 この料理は辻留さんの本(月々の趣向料理)から頂戴してつくりました。からし酢味噌をつけながらいただきます。これで一献たのしんでいただいた後、七月らしくうなぎの蒲焼きにします。このうなぎには殆んど匂いがなく山椒粉の必要がないのでわさびをつけました。黒二つ椀の大椀に盛ってタレも別につけ、二つ椀の小に御飯を盛って少しずつタレをかけながら召し上がる方法をとりました。この時の御飯は(これは私見ですが)あまり蒸れていない出来たてほやほやの御飯が合うように思います。

 さっぱりとおつけもの、茄子、胡瓜、摘果メロンのぬかづけ、鉄と呉須の格子の軽い鉢(杉本寿樹作)に盛ってみました。

 お菓子はかなりがんばって伏見町の高岡福信さんまでわらび餅を馳走よろしく買いに走り、きれいな器に盛っておもてなしを完成させます。

工芸店ようび 店主 真木
漆器・輪島塗:黒二つ椀《合鹿椀》・奥田志郎

京焼:青もみじ大鉢・伏原博之