軽快なおもてなしの料理 三月
おもてなしの料理の中には家族へのもてなしも入っているのです。
日常の中で、時にはいつもと違う発想でちょっとごちそうをと思うのは愛情であり、作る側にもいただく側にもたのしいことに違いありません。
いつもとは少し変えてその季節らしい器を出してみる、同じものでも切り方を変えてみる。いろいろとこまかな工夫があれば料理は生き生きとするのです。
この頃はおとりよせブームとかで主婦が何から何まで作らなくても美味しいものが入手可能です。少し手間をかけ、しっかり作ったものと市販のものの組み合わせで軽快におもてなしの方法を覚え、あまり負担にならないようにすれば時々やってみたくなるのではないでしょうか。
三月っていくつになっても女の子に立ち戻れる月ではございませんか。
巷におひなさまのさまざまな情報や写真があふれます。陽光もやわらかくなり春の足音も繁くなります。玉霞・玉の浦・蜜姫など可愛らしい名前の椿の花も咲き始めました。心がはんなりとうきうきとしてやさしい気分になれるのです。
幼い日、母がつくってくれたちらしずし。菜の花のぬた。器はいつも色絵伊万里の蓋ものでした。蓋をあけると卵、しいたけ、えびそぼろ、酢れんこんや茎みつばなど木の芽も散っていましたっけ。あの小どんぶりはどこへいってしまったのかしら。目に残っているのはあまり上等のものではなかったように思いますけれど、ほどよい寸法で手に持って食べやすい大きさだったのを思い出します。
お料理はようび店主が献立をたてて、大阪西区の伊万邑さんにお願いして造っていただきました。伊万邑さんは小さいお店ですが夫婦お二人でよりよきものを目指して懸命に励んでいらっしゃる姿がたのもしいお店です。
向附:貝、菜の花、わかめ添え しょうが酢しょうゆかけ
先附:串 細い青竹に 車えび、あわびのやわらか煮、ちしゃ茎、玉子だんご、うど煮浸し、たこやわらか煮
秀衡椀の中味はちらしずしです。少し贅沢に穴子、きくらげ、しいたけ、のりが入っていて、飾りは鰈のそぼろ(紅染)、錦糸玉子、しいたけ甘煮、木の芽です。
こちらの秀衡椀は奥田達朗さんのものです。
染付蝶形向付
伸び伸びとした表情は、古の大らかな古染付を彷彿とさせます。
正木春蔵
7,920円
秀衡椀
大きく堂々とした風格のある秀衡椀です。
奥田志郎
132,000円
錫まゆ皿・大・星屑
ボンボンディッシュは、チョコやキャンデーを入れるお皿です。マシュマロや、大きめですのでマカロンにもぴったり!
ゆり工房
25,410円
錫銚子・立型・本金地檜扇
陶器の蓋と錫の本体のとっても素敵なコラボレーションです。
伏原博之
74,610円
桜かわらけ
見込みには花びらがと金箔がひらり。こちらは桜です。
古川章蔵
3,850円
黒尺2×尺1.5寸角切折敷
愛知県一宮市の真清田神社にある室町時代の「朱漆角切盤」が本歌ですが、こちらは使いやすくするため、長方形といたしました。
奥田志郎
77,000円