【一汁一菜】お味噌汁中心の食事 鰯のつみれ、葱
奈良国立博物館前に「下下味亭」というごはん屋さんがあったのを覚えていらっしゃる方もあると思います。そのお店の一汁一菜は絶品で、何とか記録に残すために本にしたいと思っているうちにごはん屋さんは止めてしまわれました。
さまざま思い起こしながら少し私の想いも入れつつ、お味噌汁を中心とした食事の基本、一汁一菜を始めてみたく思います。
御飯、お汁、お菜を盛る一汁一菜の基本は、三つ椀から始まっています。
この度のものは、まり椀を本来の飯椀として用いています。どちらかと云うと口造りが内側に反っています。サハリ椀は沙張理(即ち金属合金)で出来た碗の形の写しで、外に反っています。
これを 合せてバランスを面白くし、雪輪の形の向付に旬のほうれん草と玉子のバター炒めを色よく盛りました。
折敷は奈良下下味亭さんが長い間使っていらっしゃった古い春慶のお盆をお借りして写しを作らせていただいたものです。縁にしっかり親指が入って手がかりになり、お盆として使っていただいても安定感がありよろしきものです。
黒の塗りのお箸は奥田志郎さんがお箸の素地一本一本を自分で削り直してていねいに塗りました。使い心地のよい箸です。
つみ入れ汁
つみ入れは骨を少し残してイワシをたたき、すり鉢で摺ってささがき牛蒡としょうがを入れ、玉子少々、小麦粉少々でつなぎ、塩と少々のしょうゆを入れて、スプーン(大)ですくってポトポトと出汁に落として火が通ったところでアクをすくいます。味噌を入れ、ネギをちらします。
イワシが新しいこと、香りの高いよい牛蒡を使うことが条件です。
ほうれん草と玉子のバター炒め
お菜はこれも奈良の下下味亭さんの一品でした。ほうれん草の美味しい季節です。ゆでたほうれん草を5.5cm位の長さに切ってほぐしておきます(茎と葉をよく混ぜた方が美味しいです)。荒い大粒の炒り玉子(塩少々のみ)を良質のごま油で炒って下さい。これを作っておきます。
フライパンにバターを溶かし、焦げない様に注意しながらほうれん草を先にさっと炒め、そこに作っておいた炒り玉子をまぜます。薄口しょうゆだけで味をつけます。バターとしょうゆの味で単純に召し上がって下さい。
かぶら糠漬け
関西ではかぶらは十二月十日から一月十日くらいが一番美味しいと言われています。何ともいえない甘味があり、葉もやわらかく糠漬に最適です。
まり椀
はじめて漆器、特に汁椀を持つ方にお勧めします。
奥田志郎
19,800円
朱サハリ椀
「まり椀」とともに、「工芸店ようび」の創業以来の定番としてご好評いただいているのが、こちらの「サハリ椀」です。
奥田志郎
25,300円
雪輪小鉢・広
冬の風物詩の雪ですが、夏の文様として、江戸時代から好まれています。
古川章蔵
7,920円
吉田屋手山水3.5寸皿
九谷焼の吉田屋風の小皿です。「赤が無い」落ち着いた風景です。
九谷美陶園
5,500円