【一汁一菜】お味噌汁中心の食事 あさり
奈良国立博物館前に「下下味亭」というごはん屋さんがあったのを覚えていらっしゃる方もあると思います。そのお店の一汁一菜は絶品で、何とか記録に残すために本にしたいと思っているうちにごはん屋さんは止めてしまわれました。
さまざま思い起こしながら少し私の想いも入れつつ、お味噌汁を中心とした食事の基本、一汁一菜を始めてみたく思います。
三月弥生、春らしい一汁一菜にしてみました。他の花たちに先駆けて咲く菜の花のイメージです。
黒のサハリ椀には梔子ご飯、薬膳をいただいているような香りがします。炊き上がったらあまり蒸らさないでお塩をまだらに振り、さっと混ぜておきます。このむら塩は意外に美味しく少し辛いところとそうでないところがあるのが"妙"なのです。
飯器は数年前、某旅館の一、二人櫃として造りましたもので、少し残っているものです。薄く華奢に出来ていて見た目よりよく入ります。三人分位のお替りには使っていただけるでしょう。
向付には独活と菜の花、鳥肉の煮合せ、鳥肉はお酒・味醂・醤油・お砂糖少々・生姜を少々とでやわらかく煮ておきます。菜の花は塩ゆでした後、味付けした出汁を冷まして漬けておきます(煮びたし)。独活は白いのが身上、醤油を控えたうす味の出汁で煮ておきます。
食べる前にそれぞれに火を入れ盛り合わせます。今回は長森さんの向付を使いました。形よく盛れ心地の良い器です。
まり椀にはあさりむき身入り味噌汁、あさつき又はにらのさく切りを散らします。お味噌は長崎県産の麦味噌で、店主が長崎に行った際に空港の自然食の出店で買ってきてやみつきになり、ずっと送っていただいている「吾妻麦天塩みそ」を使いました。
まり椀はかなりたくさんの汁が入ります。少なく静かに(半分以下に)入れてみるのもよいでしょう。
お漬物は「かくや」です。たくあん、じゃがいも、きゅうりの皮のみを細く切りさっと混ぜます。たくあんの塩分と味でいただくというものですが、「かくや」とはと語源を調べてみましたが色々の説があってどれもこれだというものがありません。とりあえずたくあんの細切りと何かを和えたものを「かくや」と言い習わしてきました。
じゃがいもは細く切って少し塩をしてから水にさらしておきます。きゅうり細切りも薄い塩水に漬けておきます。たくあん、じゃがいも、きゅうりをよく水気を切って混ぜ合わせます。
古川さんの器は色どりといい斬新な文様といい、アクセントの欲しい時役に立ちます。一つアクセントになるものがあれば食卓はたのしくなります。
黒まり椀
「まり椀」から漆器入門されると、漆器の良さを十二分に会得されることでしょう。漆器初心者にお勧めの一品です。
奥田志郎
22,000円
黒サハリ椀
「まり椀」とともに、「工芸店ようび」の創業以来の定番としてご好評いただいているのが、こちらの「サハリ椀」です。
奥田志郎
25,300円
絵志野四方平向付
絵志野の温かみのある中鉢です。
長森慶
6,600円
錫たまり入・中・雫
お皿の上に桜が満開!桜の模様はひとつずつ丁寧に丁寧に描かれています。
ゆり工房
3,520円
黒尺4×8.5寸角切脇取盆
ハレの日にも、いつもの一汁一菜にもお使いいただけるお膳です。
奥田志郎
55,000円