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エレメント コラム看板

2020.5.28

スケートボードの歴史と語る エレメント

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

乗り遅れたスケボーブーム

のっけから思い切り個人的な話で恐縮ですが、アラフィフ男子の私が今になって後悔している事柄のひとつが、若い頃にスケートボードをきちんとものにしておかなかったことです。
小学生の頃、日本ではスケボーが少しずつ流行りはじめていました。
それは1970年代後半のこと。いまにして思えば、アメリカ・カリフォルニアのヴェニスビーチで誕生したZ-BOYSというスケートチームの人気からはじまり、全米でスケボー人気が拡大していた頃です。

カリフォルニアのローラースケートメーカーが、「ローラーサーフィン」という商品名で世界初のスケートボードを発売したのは1950年代半ば。
ですが、スケートボードはその後しばらく、いつかはサーフィンをやりたいと願う少年のための遊びにすぎませんでした。サーフィンごっこ用の遊具のような存在だったのです。

しかし1970年代になると、ハイティーン以上のサーファーの間でもスケートボード人気が沸騰。サーフィンの技を応用した派手でかっこいいトリックが次々と開発され、“スケーター”という新しいユースカルチャーが生まれます。
サーフィンチームであるゼファーから分離して結成されたZ-BOYSは、その技巧の高さとスマートなルックスから特に大きな注目を浴び、今日に続くスケータースタイルの基礎を築き上げました。

その頃、東京の三多摩地区で小学生時代を過ごしていた私は、子供のくせにおしゃれ感度の高かった友達から借りたスケートボードで何度か遊んだものの、「ローラースケートの方が楽しいな」などと思ってすぐに飽きてしまいました。
まさかスケートボードが、そんなにかっこいい新興サブカルチャーだなんてまったく感知していなかったのです。

それから数年を経た1980年代中頃の高校生時代。
雑誌の記事で、アメリカ西海岸に再びスケートボード流行の大波が来ていることを知りました。
しかも今度のブームは、USハードコアやスラッシュメタルなど、私が大好きなラウド系ロックとも関係が深く、ボードもファッションもかなりかっこよく進化していました。

でも当時の私はどちらかというとバイクや自動車に興味が向いていて、「スケボーなんて笑」と馬鹿にする感覚が強く、やはり敬遠してしまいました。せめてあのとき素直にブームに乗っていれば良かったのにと悔やまれます。

スケートボードに乗る青年bild:Gustavo Vegan Xxx, flickr.com, CC BY-SA 2.0

ストリートカルチャーの主流に

1990〜2000年代、スケボー人気はさらに拡大していきました。
もはや一過性のブームではなく、新しいライフスタイルとして定着したのです。
その頃、僕が編集していた若い男性向けストリートファッション誌『smart』のモデルにも、スケボーライフを送る子が大勢いました。
でも、こっちはもうすっかり大人。
「いいなあ、楽しそうだなあ」と思いつつ、今さらやるのは気恥ずかしいのでやっぱり指をくわえて見ているだけでした。

2010年代前半には新しい形のスケートボードもブームになりました。
1970年代に販売されていたものにそっくりな見た目の、ミニクルーザーです。
ミニクルーザーはデッキがプラスチック製、ウィールはウレタン製のため走行音が小さく、初心者でも扱いやすいスケートボード。
飛んだり跳ねたりというトリックを追求する通常のスケボーとは違い、ゆっくりクルージングするのに適していて、2013年以降は学生を中心に男性も女性も巻き込む世界的ブームとなりました。

その頃の私はすでに40代でしたが、遅ればせながらブームに乗っかり、とあるメーカーのミニクルーザーを購入しました。
そしてそのスケートボードは今も、中学生の我が子とともによく滑って遊んでいます。
スケートは父のように大人になってから慌ててやるのではなく、今からしっかり練習しておきなさいと娘には教えたいところですが、そんなことわざわざ言わなくても子供の身体能力は高く、ヨロヨロと危なっかしい私の横を、楽しそうにスイスイ滑っていきます。

個人的な思い出と絡めて、非常にざっくりとスケートボードの歴史を紹介しました。
何が伝えたいのかというと、1970年代にブレイクしたスケートボードはその後、複数回のブームを経て、現在は世界のストリートカルチャーの主流をなすものに成長しているという事実です。
まだの人は今からでも遅くないので、すぐにスケートボードをはじめてください。
若いうちからやったほうが上手になることは間違いありませんが、年齢なんて関係ありません。
「今さら」なんて思わずにトライしてみると、めくるめく世界が開けるのではないかと思います。

スケートボードに乗る青年bild:lawrencecanto, flickr.com, CC BY 2.0

エレメントの斬新なスタイル

今回ご紹介するエレメントは、スケートボード人気が加速の一途だった1992年に、アメリカ東部のアトランタで創業したブランドです。
創業者は、4歳の頃から熱心にスケートをやってきた東海岸出身のスケーター、ジョニー・シラレフと、当時一世を風靡していたスケートブランドであるニューディール所属のプロスケーター、アンディー・ハウエルです。
創業当初のブランド名はアンダーワールドエレメント、略してアンダーワールドと呼ばれていました。
折からのヒップホップムーブメントにも触発されたアンダーワールドは、カリフォルニア乗りの強かった従来のスケートに都会的なエッセンスを組み合わせ、斬新なスタイルを提案します。
ところが会社は多くの課題に悩まされて事業は崩壊し、創業時のメンバーは次々と会社から離れていきました。

1994年、共同創業者のアンディーが離脱したタイミングで、ジョニーはブランド名をエレメントと改め、拠点をカリフォルニアに移して事業の立て直しをはかります。
木をモチーフにした印象的なエレメントのロゴは、その頃に誕生したものです。
そして、フェザーライトプレスという独自製法によってスケートデッキを製造するようになると、エレメントは大きな飛躍を遂げます。
その軽くて丈夫、そしてスタイリッシュなデッキが大人気となり、短期間でトップクラスの人気スケートブランドへと成長していったのです。
耐久性に優れるエレメントのデッキは初心者からプロにまで愛され、エレメントは現在、スケートボード界を牽引するリーディングブランドとして君臨しています。

エレメントは他の多くのスケートボードブランドと同様に、充実したアパレルラインも展開しています。
奇をてらわないシンプルなデザインと、横ノリ気分を盛り上げるややルーズなシルエットがとてもおしゃれで、コアスケーターからおかスケーターまで、幅広い支持を集めています。

スケートボードに乗る青年bild:Element Canada, flickr.com, CC BY-ND 2.0

スケートボードをもっともっと

1970年代中頃のブレイク以降、スケートボードはどちらかと言えば、ルールに縛られることを嫌う若者による、やんちゃなスポーツ系オルタナカルチャーとして認識されてきました。
2005年に公開されたZ-BOYSの実録映画『ロード・オブ・ドッグタウン』などを見ればわかりますが、彼らはオフシーズンで無人なっている別荘の庭へ勝手に忍び込み、空のプールを使ってスケートをし、様々な技を開発しています。
そもそもZ-BOYSの活動拠点であったカリフォルニアのヴェニスビーチは当時、ギャングや麻薬の売人が跋扈する治安の悪い街で、ひっきりなしに警官がパトロールをしていたことからドッグタウンという俗称で呼ばれていました。
Z-BOYSもスケートがなければ、街の札付きの不良だったに違いありません。

1980年代以降は、街のちょっとしたギャップや階段の手すり、公園のベンチなど、公共の造作物を使ってさまざまなトリックを競いあう“ストリートスケート”のスタイルが定着します。
すると大人たちは街の安全と風紀を乱す厄介者として、騒々しくて危険なスケーターを忌み嫌うようになりますが、そんな常識的な世界へのカウンターカルチャーとして、スケートはますます発展していきます。

そして現在のスケートボードは、もはや流行りすたりで語るべきものではなく、若者文化の中核部に昇華したと言ってもいいでしょう。
世界中の街には多くのスケートパークが開設されているので、スケーターはかつてのように他人に迷惑をかけることなく、存分にスケートを楽しみ、技を磨くことができます。
世間の人々のスケートに対する視線も大きく変わりました。
それは今年の東京オリンピックから、スケートボードが公式競技になったことからもうかがえるでしょう。

健全になったスケートなんてと嘆くのは老害で、イメージが改善し、裾野がさらに広がっていることはスケートボード界にとってはいい話に違いありません。
この機会にまだの人ははじめ、もうやっている人はもっともっとスケートをやってみてはいかがでしょうか。

スケートボードに乗る青年bild:NCSphotography, flickr.com, CC BY 2.0

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