
2022.8.1
真夏を楽しむ、おすすめサーフブランド4選
メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん
メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?
“バイク&サーフ”のDEUS
サーフカルチャーはライフスタイルの1カテゴリーとして成立しているので、季節を問わず楽しむ人もいますが、一般的に盛り上がるのはやはり夏。
普段は異なるテイストの着こなしを好んでいても、強い真夏の陽光の下ではサーフスタイルで決めたい! と思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、数多あるサーフブランドの中から厳選し、4つのおすすめサーフブランドを紹介したいと思います。
トップバッターはオーストラリアのサーフブランド、Deus ex Machina(デウス エクス マキナ 通称・デウス)です。
難しいこのブランド名は、ラテン語で“機械仕掛けの神”を意味しています。
創業者のデア・ジェニングスは、1970年代からレコードショップやレコードレーベル、それにブランドも運営していたマルチな才能を持つ人物です。
彼が2006年にスタートさせた、カスタムバイクとパーツを販売するショップが、デウス エクス マキナ。デウスが“バイク”とともに掲げたもう一本の大きなテーマこそが、“サーフ”だったのです。
まったく違うテイストを混在させるデウス エクス マキナのブランド運営手法は、一見チグハグのようにも思えますが、よく考えてみると、サーフとバイクは世界中どこの国でも多くの男性を魅了する2大ジャンル。
その両方が好きなデア・ジェニングスが、自分の中で程よく消化して提示しているのがデウスというブランドなのです。
デウスの服はいずれも、サーフブランドらしい潮風を感じさせるものですが、それはただ爽やかな風というよりも、どこかオイルの香りが混ざったもののように思えます。
ロゴデザインも、バイクのエンブレムやバイクチームのマークを彷彿とさせるもので、このカルチャーミックス感こそがデウスの最大の特徴であり、また売りであるとも言えるでしょう。
地元オーストラリアから羽ばたいたデウスは破竹の勢いで人気を獲得し、パリ、ミラノ、LAのベニスビーチへ、そして日本にも2011年に上陸し、原宿にフラッグシップショップをオープンしています。

DEUS EX MACHINA(デウス エクス マキナ)
サーフシーンを代表するQUIKSILVER
サーファーは、1950〜60年代にアメリカ・西海岸で成立したユースカルチャーです。元来は余暇にすぎなかった波乗りを、単なる趣味ではなく人生そのものと考えた彼らは当初、同時代のビートやヒッピーと同様、既存社会へのカウンター思想を持つ人たちととらえられたそうです。
そこから幾星霜を経た現代の“サーフ”は、真剣に波乗り道を追求する人から、ライトにビーチの雰囲気を楽しみたい人までをも含む、巨大カルチャーとなっています。
そんな現代のサーフカルチャーを支えるビッグブランドが、1969 年にオーストラリアのビクトリア州ベル海岸トーキーで創業し、現在は、アメリカ・カリフォルニアのハンティントンビーチに本拠地を置くQUIKSILVER(クイックシルバー)です。
クイックシルバーといえば、波と山をモチーフにしたロゴマークが有名ですが、これは葛飾北斎の絵画「富士山と波」(富嶽三十六景 神奈川沖浪裏)をモチーフにしたもの。
創業者が北斎の絵を見て、「これこそ自分たちのライフスタイルを象徴するものだ!」と感銘を受けたことから、このロゴが創られたのだそうです。
クイックシルバーを代表するアイテムは、なんと言ってもボードショーツです。
ボードショーツはクイックシルバーが世界で初めて、サーフィン用に特化して作ったパンツ。
この画期的な商品が評価されたことにより、クイックシルバーは一気に世界のメジャーブランドになったと言っていいでしょう。
現在のクイックシルバーはボードショーツだけではなく、ウェットスーツやフローティングベスト、ウォーターソックス、ラッシュガードなど、マリンスポーツ全般に使えるアイテムが充実しています。
そしてそのいずれもが、スポーツをする人の身になって考えられた本格的な機能性を備えているために信頼性が厚く、ブランドの価値を高めています。
もちろん街で着られるアパレルも数多くラインナップされていますが、プロも選ぶ本格ギアとしてのブランドの高評価が、クイックシルバーの最大の強みになっているのではないかと思います。

QUIKSILVER(クイックシルバー)
カルチャーミックスのRVCA
次にご紹介したいのがRVCA(ルーカ)。
パット・テノールとコナン・ヘイズという、ハワイ出身の2人のプロサーファーによって1999年に設立された、アメリカ・カリフォルニアに本拠地を置くサーフブランドです。
ルーカの特徴は、幅広いさまざまなカルチャーをバックボーンとしているところ。
創業者パット・テノールはブランド設立当初から、アート、音楽、ファッション、そして現代のその他さまざまなライフスタイルを、独自の方法で組み合わせることをブランドのアイデンティティとして掲げたのだそうです。
もちろんサーフブランドとしての人気が非常に高いのですが、そのほかにもスケートボード、ブラジリアン柔術、総合格闘技というカルチャーに深くコミットしていることで知られます。
ルーカはまた、ストリートのグラフィティカルチャーとも近しい関係性を持っていて、ロサンジェルスではKNOWN Gallery(ノウンギャラリー)というギャラリーを運営し、さまざまな現代芸術を紹介しています。
冒頭でご紹介したデウスと同様、こうした毛色の違うカルチャーを一つのブランドの下で融合させ、程よく消化して提示するクロスオーバー的手法が、ルーカの最大の魅力と言ってもいいでしょう。
アートの香り漂うボードショーツ、格闘家の鍛え上げた肉体に映えそうなタンクトップ、リングサイドに持ち込んでもおかしくないソリッドなデザインのビーチタオル、サーフィン後のビーチだけではなく、各種スポーツのシャワールームにも似合いそうなスライドサンダルなどなどのアイテムは、そんなルーカのカルチャーミックス主義を表すアイテムと言えるでしょう。
またルーカの服には、クラシカルなワークスタイルの雰囲気も感じることができます。
それもそのはず、プロサーファーによって設立されたブランドながら、アパレルブランドとしてのRVCAのファッション的ルーツは、アメリカのワークウェアに置かれているのだそうです。
ルーカのブランドコンセプトは「THE BALANCE OF OPPOSITES (相反するもののバランス)」。
その言葉通り、RVCAは絶妙なバランス感覚で独立独歩の地位を築き、多くのファンを魅了するブランドとなっているようです。

RVCA(ルーカ)
セレブにも愛されるBILLABONG
そして最後にご紹介するのは、前述のクイックシルバーとともに現代のサーフカルチャーを支えるBILLABONG(ビラボン)。
オーストラリア、いや世界中のサーファーにとっての聖地であるゴールドコーストで、1973年に産声を上げたブランドです。
一口にゴールドコーストと言っても広いのですが、ビラボンが生まれたバーレイヘッズは、ゴールドコーストの中でもローカルにもっとも人気の高い、ビッグウェーブで有名なビーチなのだそうです。
創業者のゴードン・マーチャントは、多くのサーフブランドの創始者と同じく、自身もサーフィンにのめり込んだリアルサーファー。彼が自身の経験を反映し、ひとつひとつ手作りしたボードショーツ販売から、ビラボンというブランドはスタートしています。
オーストラリアのローカルから始まったビラボンは、“サーファーによるサーファーのためのサーフブランド”という明確な姿勢が評価され、すぐに地元のオーストラリアを飛び出してアメリカ、ニュージーランド、インドネシア、ヨーロッパ、そして日本へと広まり、確固たる地位を確立したといいます。
現在のビラボンは、歴史の長い由緒正しいサーフブランドとして、プロからアマチュアまで幅広い層のサーファーから愛されているだけではなく、バラエティ豊富なアパレルラインが、海の香りを身近に感じたい一般層にまで広く深く浸透しています。
数多く展開されているアーティストやミュージシャン、ブロガーなどとのコラボレーションラインも好評で、様々なシーンで楽しめるブランドとして世界中の人々から愛されています。
まもなく創業50周年を迎える超老舗ながら、今っぽさを感じさせるエバーグリーンな魅力を持つビラボンはハリウッドセレブの間でも人気で、ゆるいオフスタイルとして選ばれることが多いようです。
さて、やや駆け足で紹介してきた4つの魅惑的なサーフブランド、いかがだったでしょうか?
コロナやらなんやらいろいろ心配事も多いですが、これからの夏本番をハッピーな気分で過ごすために、ぜひこれらのサーフブランドを取り入れることをおすすめします。
