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dickiesの魅力

2020.08.15

dickies

メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド 〜メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

いとこ同士で始めた事業

ディッキーズの創業は1918年。
いとこ同士であるC.N.ウィリアムソンとE.E.ディッキーが、アメリカ・テキサス州フォートワースに、「U.S.オーバーオール社」という名前で設立しました。
社名を現在も使われている「ウィリアムソン・ディッキー・マニュファクチュアリング・カンパニー」と改めたのは1922年のこと。翌1923年には労働者向けの作業用パンツ“KHAKI”の生産を開始、ヒット商品となりました。

1940年代に入ると、ディッキーズの確かなもの作りは政府からも認められます。第二次世界大戦中であったため会社は政府に接収され、米陸軍の制服を900万着以上も生産。この経験がディッキーズの発展につながります。
戦時中の仕事によって経営基盤を固め、ブランド名を全米中に知られるようになったディッキーズは、1950年代になるとKHAKIパンツをさらに改良し、油田労働者向けワークパンツとして大々的に発売します。



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bild:Alex Butterfield, flickr.com, CC BY 2.0


その頃からディッキーズは “FIT YOU, FIT YOUR JOB(あなたに、あなたの仕事にフィットする)”というキャッチコピーとともに、様々な職業に従事するあらゆる体型の人物を広告に登場させ、自社ワークウェアの汎用性をアピールします。
さらに当時の人気歌手であるパット・ブーンを広告に使うことで、全米を代表するワークウェアブランドとして大衆にまで浸透していきます。
そして1967年には代表アイテムであるKHAKIパンツをベースに、ブランドの主力商品となる新たなパンツを発売。爆発的なヒットとなったそのパンツこそが、今日も売られ続けるブランドのアイコン、874です。

874は労働現場での動きやすさを確保するためにゆったりとしたストレートのシルエット。ワークウェアでありながら、ファッション性も重視した上品なセンタープレスが特徴です。
耐久性が強く、汚れの落ちやすいポリエステル65%:綿35%のツイル素材を使用、運搬時に荷物を傷つける恐れのあるフロントの金属ボタンを廃してホックを採用するなど、労働者にとってはかゆいところに手が届くようなディテールが施されていました。

様々な改良点が施された873

ディッキーズ874が、男性ファッションの歴史に名を刻む大傑作であることは疑いようがありません。
労働者だけにとどまらず、誕生当初からアメリカのカスタム文化であるホットロッドなカーマニアやバイク乗りに、1980年代以降はアメリカ西海岸から世界中に広まったスケーターに、1990年代以降は同じく西海岸のBボーイの間にも流行が広がり、現在もストリートウェアの定番として多くの愛用者がいます。

しかし誕生から50年以上、その原型であるKHAKIパンツから数えると100年近くが経過し、その間、基本設計をまったく変えていない874は、現代人にとってはやや着こなしが難しいパンツでもあります。
太ももから裾まで均等幅のドカンのようなワイドシルエットは、昨今のトレンドにも合致していると言えますが、問題は深い股上です。
Bボーイはその特徴を逆手にとって、腰履きという着こなし法を広めました。しかし、極端な腰履きが流行らない今の時代は、この深い股上をどうにも持て余してしまう人が多いようです。



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そこでおすすめなのが873なのです。
873は874をベースにして後年開発されたモデルです。874と同じツイル素材を使い、全体的な雰囲気も874を踏襲していますが、ストリートウェアとして使いやすいように様々な改良点が見られます。
まずはシルエット。873は874と比べると、幅がやや細くなっています。パンツの横幅を指す“ワタリ”で比較すると、1〜3cmほどのわずかな差ですが、実際に着用するとだいぶ感覚が違うことがわかります。

また、問題の股上は874と比べて浅めになっています。と言っても極端なローライズというわけではありませんが、深すぎる股上の874と比べると、とても穿きやすいものとなっています。

そして細かな点ですが重要なのがベルトループの幅です。穿いたことがある人はご存知と思いますが、874のベルトループは幅が狭く、ビジネス用のような細幅ベルトしか通すことができません。
しかし873のベルトループは5cmと、ジーンズと同じくらいの幅があるので、太めのベルトも着用可能なのです。

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bild:Leon Keller, flickr.com, CC BY-SA 2.0

874と873の二本持ちがおすすめ

874が「オリジナルフィット」と銘打たれているのに対し、873は「スリムフィット」。もちろんスリムといっても、オリジナルと比べたら細いということであって、昨今のスキニーパンツなどと比べるとかなり太いものです。
パンツの太い・細いは絶対的なものではなく、何を基準にするかで変わってくるものですが、現代人の目から見て873は、太からず細からずのちょうどいいシルエットと言えるかもしれません。

もちろん、ディッキーズの長い歴史を肌で感じることができる874のオーセンティックな佇まいが好きな人は、今でも数多くいます。
穿きこなすのが難しい874こそ本物であって、じゃじゃ馬を慣らすようにうまくコーディネートすることに喜びを感じる人もいるでしょう。
でも、もっと簡単に穿くことができて、ディッキーズの良さを手軽に味わえる873は、万人におすすめすることができるパンツです。
どんな服にも合わせやすいのでコーディネートがしやすく、持っておくと着回しアイテムとして重宝することは間違いありません。

もっと通な人におすすめしたいのは、874と873の両方を持ち、その日の気分やトップスとの相性によってどちらにするか選ぶというもの。
両方とも持っていれば両者の違いも把握しやすく、それぞれの特徴をより生かしたコーディネートを考えることができるでしょう。

いずれにしても、アメリカンなフロンティアスピリッツの息吹と、それをストリートカルチャーに転化してきた歴史を感じられるディッキーズのワークパンツは、すべての男性に一本は持っていることをおすすめしたい定番。
非常にシンプルなパンツなので、慣れていない人にとっては自分なりのコーディネートを見つけて穿きこなすまで少し時間がかかるかもしれませんが、一度自分のものにしてしまえば、もう手放すことができなくなるアイテムなのです。


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bild:elyob, flickr.com, CC BY-SA 2.0

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