見出しに戻る

一覧ページに戻る

under_armour_clo2.jpg

2020.10.30

UNDER ARMOUR

メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新」が発売
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

祖母の地下室からスタート

アンダーアーマーは、アメリカのメリーランド州ボルチモアに本社を置くブランドです。 スポーツ用品業界には100年以上続く老舗企業も多いですが、アンダーアーマーは比較的、新顔の部類に入ります。
でも今やアメリカ国内から北米・南米、ヨーロッパ、アジアと世界中に拠点を持つグローバルな大企業になっています。

ブランド創設者は現在もCEOを務めるケビン・プランク氏。
メリーランド大学のアメリカンフットボールチームでキャプテンを務めていた彼が、アンダーアーマーを創業したのは1996年のことです。
きっかけは現役選手ならではの、経験に裏打ちされた発想によるものでした。
チームのフルバックとして活躍していたプランクはいつも、ユニフォームの下に着たコットン製アンダーシャツが、汗を含んで冷たくなってベタベタとまとわりつき、頻繁に着替えなければならないことにうんざりしていました。

under_armour_1.jpgbild:Hillel Steinberg, flickr.com, CC BY-ND 2.0

そんなプランクはある日の練習後、着ていた着圧式の下着=コンプレッションショーツは乾いていることに気づきました。
コットンのアンダーシャツとは違い、吸湿速乾性を持つ合成繊維の素材が使われていたからです。
それならば、同様の素材を使ったシャツがあってもいいのではないかと、プランクは思いつきました。

大学を卒業後、プランクはワシントンD.C.にある祖母の地下室にこもり、合成繊維を使ったアンダーシャツのプロトタイプを作ります。
1959年には足の水ぶくれを防ぎ、快適さを高めるための換気技術を施したシューズ「マジックランナー」を発売します。
そして、NFLへと進んだ大学時代のチームメートや、MLBに所属する友人の野球選手、あるいはNCAAなどのメジャーカレッジに在学中の友人に配りました。

プランクが試作したのは、当時のスポーツ界では見慣れない、体にぴったり密着するタイトフィットスタイルのアンダーシャツ。
それを着たプランクの友人たちは最初、チームメイトから奇異の眼差しを向けられました。
しかし彼らは練習後、汗びっしょりのチームメイトの横で涼しい顔をしています。 その明らかに優れた機能性はすぐに他のアスリートの目にとまり、次々とプランクのアンダーシャツを求めるようになりました。
そして彼らから様々なフィードバックを受けて改良を重ね、アンダーアーマーのコンプレッションシャツは完成します。。

ベンチャー企業ならではの努力

本物のアスリートであったケビン・プランクは、アスリートにしか理解できないニーズが存在することに早くから気づいていました。
プレー中にかく大量の汗をしっかりと吸収し、すぐに乾燥させるアンダーシャツは、まさに多くのアスリートが切実に望んでいたものでした。

商品の良さは間違いなし。
大企業であれば大きな予算を割き、大々的な広告キャンペーンを打って効率的にアピールするところでしょう。
しかしプランクの事業は祖母の家の地下室で、一人ほそぼそとスタートさせたもの。地道な努力をしなければなりません。
彼は商品を車のトランクに詰め込み、東海岸を旅しながら大学やプロのチームにセールスをして回ります。
するとアンダーアーマーのコンプレッションシャツは、現役アスリートの間に少しずつ広がっていきました。

そんな折、アメリカの老舗総合雑誌『USAトゥデイ』のフロントページで、オークランド・レイダースのクォーターバック、ジェフ・ジョージの特集が組まれます。
そこで彼が身につけていたのは、まさしくアンダーアーマーのモックネックウェアでした。
その写真が注目され、ジョージア工科大学のマネージャーはプランクに10枚のシャツをリクエスト。さらに、ノースカロライナ州立大学、アリゾナ州立大学と次々に契約が広がっていきます。
1996年の終わりまでには500枚のシャツを売り、17,000ドルという売り上げを得ることができました。

翌1997年には注文が10万ドルにまで増加したので、プランクはオハイオ州に自社工場を設立します。
そして1999年、アメリカンアメリカンフットボールをテーマにした2つのメジャー映画、オリバー・ストーン監督の『エニイ・ギブン・サンデー』(1999年公開)とハワード・ドゥイッチ監督の『リプレイスメント』(2000年公開)のスタイリングに、アンダーアーマーのシャツが採用されます。
これによってアンダーアーマーは、本格的な大ブレイクを果たすことになったのです。

under_armour_2.jpg

最強の冬用アンダーウェア

ブランドの歴史物語はこのへんまでにしておきましょう。
アンダーアーマーは21世紀に入ると飛躍的に業績を伸ばし、現在ではトップアスリートからアマチュアまで広く愛される、総合スポーツブランドへと成長しています。

今回ご紹介するコールドギアは、そんなアンダーアーマーが技術力を駆使して開発した、冬用のアンダーシャツです。
暑い夏とは違い、冬場のアスリートの大敵は、筋肉や関節をこわばらせてしまう寒さ。 大量の汗を吸収して乾燥させ、冷感をもたらせばいい夏場のウェアとは求められるものが違います。

酷寒のなかでのスポーツは、パフォーマンスや楽しさを低下させるとともに、思わぬ怪我を招いてしまう原因にもなります。
その一方で、暖かさを求めるあまり分厚い服を着たり、何枚も重ね着したりしてしまうと体の動きが阻害され、やはりパフォーマンスの低下や事故につながります。

そこでアンダーアーマーは、無駄な重ね着をする必要がなく、ゴワゴワとした分厚い服を着ることもない、薄くて暖かいアンダーウェアの開発に尽力しました。
冬場でも体を動かせば当然、汗をかきます。
その汗を即座に吸収して乾燥させるとともに、一枚だけで十分な暖かさをもたらすシャツを開発することが目標でした。

開発過程では、アンダーアーマーというブランドの肝である、現役アスリートのニーズやフィードバックがいかんなく反映されました。
そして冬場にも最高のパフォーマンスを引き出せるウェアとして、アンダーアーマーが自信を持ってリリースしたのが、このコールドギアというわけです。

コールドギアに用いられている生地は伸縮性に優れ、第二の皮膚のように身体にフィットします。アンダーアーマーならではの密着感はあらゆるスポーツの動きに対応し、最大限のパフォーマンスを引き出す役割を果たします。
同時に高い吸湿速乾性を持っているので、汗をかいても冷える前に乾燥。また、生地の裏側に施されたたくさんの細かな起毛が体熱を閉じ込め、保温力を維持します。

汎用性の高いアンダーアーマーの冬用コンプレッションシャツ、コールドギアはあらゆるスポーツや屋外活動で威力を発揮してくれます。
かくいう私は今年の冬、ゴルフや釣り、キャンプなどの時に着てみようと思っています。

under_armour_3.jpg

人気のアンダーアーマーをCHECK!

UNDER ARMOUR 一覧へ

トップページへ戻る