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guji Monthly Journal #21 / 2023 spring summer

春アウターのすゝめ

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無くても何とかなる・・・。そう思っていた時期が私にもありました。

春のアウターのことです。

今現在こちらをお読みの方の、決して少なくない方がそう思われているかもしれません。
とはいえ、それでもお読みということは薄々「あった方が良いとは思っているんだけどなぁ・・・」という感じでしょうか。

朝晩は冷え込むけど、昼間は結構暖かい。
すぐに暑くなるから、朝晩さえ我慢できれば昼間は逆に邪魔になるしな・・・。
ちょっと我慢すれば問題無いしな・・・。

確かにそうです。そうなんですが、では何故世の中から春アウターは無くならないのか?
不要なものは淘汰される、それが現代の常。
では何故?という疑問には、私はこう答える様になりました。

『ファッションを前向きに楽しむ大人の男性の為の、最高の贅沢品且つ嗜好品だから』

必需品ではなく嗜好品、そう考えることで、春アウターの役割というものがしっかり輪郭をもって浮かび上がってきます。
防寒のためではなく(もちろんレイヤードされるので暖かくはなるんですが)ファションのため。
生きるためではなく装うため。

「洋服の中で最も人生を豊かにしてくれるのは春アウター」、その考えに到ると今まで見てきた世界がガラリと変わる・・・は言い過ぎですが、3月~4月の2ヶ月間という短い旬を最大限に楽しんでいただけるはず。

ということで今回のguji Journalは「春アウター」にスポットを当ててご紹介いたしますので、最後までお付き合いいただければと思います。
(結構長いので、画像だけでもご覧ください・・・汗)



この企画ではお馴染みすぎて恐縮なHevo(イーヴォ)


春アウターといえば春コート、春コートといえばHevo。
この手の企画では毎度登場するアウターブランドで、生地が変わっているだけでモデルも毎回同じなので最早説明不要かとは思いますが、一応さらりとお伝えします。

シングルブレストのベルテッドコートOSTUNIオストゥーニ。
大人がクリーンにもカジュアルにも着られる絶妙なシルエットとオンオフ兼用で使える汎用性の高さで人気のこのモデル、初登場から5年ほどは経っていると思いますが、完全に市場に受け入れられ、定番となりました。

2023S/Sシーズンは撥水ウールトロピカル(左)と撥水ポリコットンの二生地をチョイス。
春は一年で最も天気が変わりやすいと言われていますので、撥水性を備えているというのは非常にポイントが高いんです。



日本一優雅なラップコートはコレ、la favola(ラファーヴォラ)


このコートもお馴染みですね、デザイナー平氏が紡ぐla favola(ラファーヴォラ)。

ラップコートとは文字通り「体に巻き付ける」様に纏うタイプのコートでして、フロントにはボタンがありません。
ウエストを留めるのはベルトのみでして、それを駆使したりしなかったりでシルエットの変化やドレープ感を楽しむタイプのコートです。



フロントスタイルの美しさもさることながら、平氏がこだわっているのはバックスタイルの美しさ。
グッと浮き上がる様に、立体的に作られたアンブレラヨーク。裾からそのヨーク部分まで配されたインバーテッドプリーツ。
360度どこから見ても美し、それがla favolaのエレガンスを表現するポイントです。

プリーツがあるということは動きがあるということで、動きがつけられるということは余裕があるということ。
優雅さとはシルエットのリアリティと心地良い余裕、双方の適切な関係が生み出す要素でして、それを完璧に計算しているからこそla favolaのエレガンスが生み出されています。

ちなみに、コットンやポリエステルなど強く季節感を感じさせない素材を選ぶと秋冬シーズンも着られます。
「旬を楽しむ」などと言っておきながらアレですが、秋にももう一度「旬が来る」とお考えいただければ急にお得な気してきませんか・・・?



いつも同じとは言わせません、Solleciti(ソレシティ)


まだまだ知名度は低いですが、ヨーロッパのトップファクトリーならではの繊細な美意識を感じさせるブランドがSolleciti(ソレシティ)です。

トップメゾンのコートを中心に請け負っているファクトリーだけに審美眼が独特と言いますか、着眼点が良い意味で少しずれているんです。

ワークコートの趣を感じさせながらもシルエットが洗練されていて、「スタイルのある大人の男性」に是非お選びいただきたいこちら。
ツイル組織を強く見せるところはいかにもなタフさがありますが、ハリよりもしなやかさを重視することで上品に見せるセンスとテクニックは超一流です。

上質なニットやシャツと合わせてさらりと着ていただくと、それだけでスタイルが研ぎ澄まされる一着ですね。


モダンナポレターナの旗手、De Petrillo(デ ペトリロ)


ハンド工程を多用した重厚な仕立てを得意とするナポリにあって、De Petrillo(デ ペトリロ)は程よい軽やかさとテクニックをコテコテに見せない引き算のバランスに秀でたブランドです。

こちらのコートSpagnuoloスパヌオーロは毛芯を用いず、ライト且つナチュラルなショルダーラインが持ち味の一着で、羽織った時の軽やかさが段違い。
生地自体の軽さも相まって、これぞ「春コート!!」という仕上がりですね。

ナポリ仕立ても既成服はどんどん変化しており、以前からの特徴であった着心地の良さを最重視したこだわりのテクニック&ディティールが、ブランドの方向性によって巧みに取捨選択されています。
今では「ナポリ仕立てはこうでないと」と決めつけることがナンセンスな時代になっており、だからこそDe Petrilloの様に新時代を担うブランドが台頭しているんだと思います。


オリジナルであってオリジナルではない?balcone la favola(バルコーネ ラファーヴォラ)


balconeカテゴリーのオリジナルとして、デザイナーと協業で制作しているシリーズがあります。
全てbalcone + ブランド名というダブルネーム表記で販売しており、こちらはbalcone la favola(バルコーネ ラファーヴォラ)となります。

la favolaデザイナー平氏と協議しつつ、バルカラーデザインながらフロントボタンがアクセントになる様比翼仕立てを排したうえでシルエットを構築していただきました。

オリジナルという立ち位置なので、あくまでもシンプルで普遍的な要素を大切にしながら、協業デザイナーが持つ特性を製品に加味。
シャープなショルダーラインと上品なふくらみを描くAラインシルエットは現代バルカラーコートの完成系と自負しています。


そこに愛はあります。愛・MACKINTOSH(マッキントッシュ)


gujiが創業以来、納期に悩まされないことはなかったと言っても過言ではないMACKINTOSH(マッキントッシュ)。

はっきり申しまして、「MACKINTOSHだから受け入れている」それ以上でもそれ以下でもない、純然たる事実。
それだけです。それだけ愛しているんです。惚れた方の弱みにつけこむブランド、それがMACKINTOSH 汗。
本当に憎らしくも愛らしいブランドです。

ちなみに、特に悪名高いのがゴム引きコート。
こちらは残念ですが現状ではほぼオーダーできない(納品が明らかに遅くなることが確定している。数量を積む別注だと納期が早まるかも?)状況なので、ゴム引きラバーとしては非常に寂しい気持ちで一杯ですが、心の隙間を埋めてくれるコートが登場しています。

それがこのHUMBIEハンビー。
ウィメンズから火がつき、ジェンダーレスの流れからメンズに登場するやいなや、その独特なバランスが瞬く間に受け入れられ今日に至ります。

ハーフコートレングスで丸みのあるコクーン調のシルエットが特徴のHUMBIE、MACKINTOSHという英国を代表する老舗ブランドにあって、明らかに異彩を放つ存在になっています。


MACKINTOSH(マッキントッシュ)のマウンパ、秀逸です


ゴム引きの長所でもあり短所でもあるのが、特有のあの着心地です。
雰囲気は素晴らしいものがありますが、ゴワゴワして硬く、シルエットも直線的になりがち。

それを解消すべく開発されたのがオリジナルの透湿防水ファブリックRAINTECレインテックです。

ゴム引きとは全くの別物と考えていただく方が良いですが、同様の防水性がありながらしなやかさもあり、透湿性もあり、非常に軽く扱いもイージー。
クラフトマンシップの表現として形を変えてはいますが、哲学はしっかり引き継がれたクオリティが特徴です。

で、上記のHUMBIEもそうですが、近年のMACKINTOSHはシルエットの構築が素晴らしく上手いんです。
これは敏腕パタンナーが入社した、もしくは優秀な企画が育ったということが容易に想像できるくらいの劇的な変化。
それくらい、圧倒的にモダンなんです。

HUMBIEとこちらのSKYEスカイを羽織って、是非MACKINTOSHのイメージをアップデートしてみてくださいね。


ミリタリーも忘れずに、ASPESI(アスペジ)


イタリアのM-65を語る上で絶対に外せないブランドがASPESI(アスペジ)です。
もう長年、何十年とイタリア人に愛され続けている老舗ブランドで、カジュアル使いはもちろん、ジャケットやスーツに外しで合わせるM-65といえば間違いなくこのブランドが選ばれます。

時代を超えて愛される、男らしさの代名詞M-65。それを現代に復活させ、モダンにアップデートしているところがASPESIの魅力。
シルエットも二種ご用意しました。

画像左はレギュラーシルエット・レギュラーレングスの「REPLICAレプリカ」、右はスリムシルエット・ショートレングスにモディファイした「MINIFIELD VENTOミニフィールドベント」。

本格ミリタリー感を楽しむならREPLICA、シャープなモダンイタリアスタイルを楽しむならMINIFIELD VENTOをお選びいただくのが良いかと思います。


本来は大人のためのストリートウェア、STONE ISLAND(ストーンアイランド)


近年様々なコレボレートにより若年層から熱烈な支持を集めているSTONE ISLAND(ストーンアイランド)ですが、元々素材開発に定評がある、大人の男性に向けた上質なストリートウェアが発祥です。

gujiでは過度にデザインされたものではなく、あくまでもシンプルに、節度を持って着られるカジュアルウェアをご用意していまして、キーになるテイストはやはり「ミリタリー」。
STONEは上記の通りオリジナルの素材開発を今でも続けていますし、そういったテクニカルな素材こそミリタリーデザインと相性が良いんです。

カテゴリーとしてはライトアウターでしょうか、そう聞くと春にぴったりですし、この生地ですと秋も十分着られます。
春アウター特集と言いつつ隙を見て秋も着られる、着用頻度がすごく高いですアピールを盛り込むことでguji journalは巧みにお得感を演出しているわけです・・・。


HERNO(ヘルノ)こそ、進化が止まらないブランドです


M-65と並びミリタリーブルゾンとしてトップの人気を誇るMA-1タイプ、HERNO(ヘルノ)はいわゆる“臭み”を排除しつつ、都会的なニュアンスを加味したデザインを発表しています。

パッと見「高そう」、これに尽きるわけですが、上質な素材を用い、クリーンでモダンな雰囲気にまとめられたこちらはHERNOの提案の中で新しいカテゴリー。
程よいゆとりを感じさせるレギュラーシルエット、高級感を出すことに専念したこだわりのディティールなど、HERNOのクリエーションが停滞することはないと印象付けるのに十分な仕上がりです。

上品な大人のスタイルはシンプルなコーディネートが基本ですが、こちらも例にもれずカットソーやニットと合わせるだけで明らかな違いを生み出してくれるはずです。


とはいえ、いつものヤツもありますよ・・ということで


やっぱりLaminarラミナー、完成されたルックスです。

2レイヤー仕様のゴアテックスはLaminarラインの屋台骨的ファブリック。本当に多くのモデルで採用されています。

画像左はMA-1、右はM-65をHERNOらしくアレンジ。
普通に着るだけでセンスよく、洒落て見せることができるのがHERNOのLaminarなんです。


ここ数年の大ヒットがこのヨットパーカです


シンプルなデザインにこだわりと機能性を全て詰め込みましょう。

超軽量、高級感のあるメタルパーツ、イージーケア、持ち運びが容易、インナーにもアウターにも使える、ダブルジップでシルエットのニュアンスもコントロール可能。
春アウターにこれ以上何を求めますか?と聞かれると、「無いな・・・」と言うしかない完成度。

素材を独自に開発するブランドだからこその、オンリーワンのクオリティを有する一着です。


“今着たい”を形にするのがオリジナルです


balcone mando(バルコーネ マンド) の春アウター、素材は“和紙”。

特性はリネンとほぼ同等で、小シワ、大シワが入りにくく腰がありつつも柔らかさも感じさせるジャパニーズファブリック。
今回の素材は完全にmandoサイドからの提案を受け入れた形になります。

このブルゾン、本当に軽くて涼しいです。
そして、シルエットのバランスも絶妙。
裏地がないのでポケットの袋布問題がありますが、上手く処理することで全く気になりません。

ブルゾンタイプ、カバーオールタイプの春アウターで大人っぽくクリーンに着られるのって本当に少ないんですよね。


ここまで読み進めてこられた、普通では満足できない方に贈るMARNI(マルニ)


ようやくラストとなりました。
ちょっとだらだらとやりすぎたかな・・・と思わなくもないですが、最後は毛色の違う一着で締めたいと思います。

MARNI(マルニ)。

古着でたま~に見かける配色タイプのデザインからインスピレーションを得ているのでしょうか、ハンティングジャケットにして結構な主張の強さがあります。
普通は自然の風景に馴染ませるんですけどね・・・、この色は逆に目立ちますね・・・。
まぁ、それがカラーチョイスに定評があるMARNIらしさかもしれません。

ベージュ×ブラック×オレンジ。一度見ると忘れられないインパクトがあり、ステッチワークも程よいアクセントになっている素晴らしいジャケットだと思います。
ある程度お歳を召され、これからロマンスグレーの世界に足を踏み入れる方を凄く素敵に見せてくれるタイプかと。


最後に

短い旬を楽しむか、夏以外のスリーシーズン着られるユーティリティ性を求めるか。
春アウターを選ぶときの基準ははっきり言ってこのふたつのみ。

より贅沢な物を選ぶも良しですし、着用回数から求められるコストパフォーマンスを重視するも良し。

ただ一つの注意点は、大人が着られるクオリティを備えている物をしっかり選ぶこと。
特に生地・素材が重要です。

安っぽい春アウター程残念なものはないですからね・・・ということで、是非よろしくお願いします。

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