KOISHIWARAYAKI小石原焼

小石原焼についてABOUT

小石原焼とは、福岡県朝倉郡東峰村の小石原地区で作られている陶器です。
その中でも小石原地区は、標高1000m級の山々に囲まれた自然豊かな土地に位置します。
陶器作りに適した土と登り窯の燃料となる木々に恵まれていたため、約350年に渡り焼き物が作られ続けてきました。
小石原焼の大きな特徴は、鉋で表面を削り取ってつける「飛び鉋(とびかんな)」や、
刷毛を当ててつける「刷毛目(はけめ)」などの技法でつけられた文様です。
派手さはないがどこか素朴で美しい、ほっこりするあたたかさが魅力です。
現在では約40もの窯元後継者がおり、伝統の技を受け継ぎながら新しい作風にも挑戦しています。
同じ小石原焼でも窯元によって作風が異なるため、様々なカタチの小石原焼を楽しむことができます。
ぜひ手にとって使ってみて、器のあたたかみや作陶家の想いを感じてみてください。

小石原焼

小石原焼の歴史

小石原焼の始まり

小石原焼の始まり

江戸時代初期、高取焼の初代高取八蔵の孫である八之丞が中野(大字小石原皿山)で陶土を見つけ移り住み、焼き物を始めたことがきっかけとなっています。最初の頃は主にすり鉢や大型のかめ類などが焼かれていました。
その後、黒田藩三代藩主である黒田光之が肥前国伊万里から陶工を招き、八之丞と共に中国の製法にならって磁器を作り始めます。当時、日常に使う食器は陶器から磁器製のものに変わり始めており、それに伴い黒田藩も磁器の大量生産を目指したのです。この時小石原焼は地名から「中野焼」と呼ばれていました。
しかし、磁器生産に小石原の土が向かなかったのか磁器の生産ができなくなります。一時は途絶えた中野焼ですが高取焼にならい再興され、磁器から陶器を作るようになりました。

「用の美」を極めた伝統的工芸品

「用の美」を極めた伝統的工芸品

中野焼が小石原焼と呼ばれるようになったのは昭和に入ってからでした。大きな転機となったのは第2次世界大戦後、昭和23年に九州民芸協会が設立された頃から民芸運動が活発化しました。それがきっかけで小石原焼は民芸陶器として広く消費者に認められるようになりました。
それから昭和33年、ブリュッセルで開かれた万国博覧会でグランプリ受賞し、「用の美」を極めた陶器であると脚光を集めました。勢いは止まらず昭和50年、陶磁器では日本で最初の「伝統的工芸品」に指定されました。その後は好景気で消費も拡大したため小石原焼は生産のピークを迎え、窯元数も徐々に増えていきました。

伝統を受け継ぐ新しいカタチ

伝統を受け継ぐ新しいカタチ

現在約40もの窯元が、今でも昔と変わらない古い技法で小石原焼を作り続けています。小石原で取れる原料や燃料(土や木など)を使って作る陶器は、小石原焼でしか出せない魅力や風格、そして何より普段の日常生活で使いやすく作り込まれた実用性がとても魅力です。技術の進歩により工場で食器を大量生産できる環境がある中、小石原焼の作陶家の方たちは原料作りから焼き上げまで、全て一から手作業で行っています。そして、現在のライフスタイルにも溶け込む新しいデザイン作りにも挑戦し、時代と共に日々進化し続けています。
受け継がれてきた技術、小石原の自然美、今でもそれらを大事にしたいという作家たちの想いが込められた、温かみ溢れる器たち。あなたの生活の一部に取り入れて、小石原焼の良さを実感してみてください。

小石原焼の特徴

日用品として広く使用されながら「用の美」を確立した小石原焼は独特の技法が有名です。
その古くから伝わる技法によって、小石原焼は個性的な文様がありながらも素朴さがある焼き物になっています。

  • 飛び鉋

    飛び鉋

    生乾きの生地に化粧土をかけた後にろくろを回転させながら、鉋を使って化粧土の部分を削り取り文様をつける技法です。工具や土の水分量、ろくろの回転速度などによって文様の出かたが左右されやすく、高い技術が求められる技法です。

  • 刷毛目

    刷毛目

    生地に化粧土をかけ、ろくろを回転させながら刷毛やを当てることで文様をつけていく技法です。刷毛の種類や塗り跡によって様々な表情の仕上がりになります。生地の乾燥具合や刷毛を押し当てる強さ加減が繊細なため、高い技術が求められる技法です。

  • 櫛目

    櫛目

    櫛型の道具を使い、文様をつける装飾技法です。古いものでは弥生土器にも施されており、現代においても櫛描きは盛んに用いられる技法となっています。猫が引っかいたような櫛描き文が特徴ですが曲線や斜めの格子状、丸型や扇状など様々な装飾があります。

  • 指描き

    指描き

    生地に化粧土を掛け、乾かないうちに指を使って文様を描くダイナミックな手法です。道具を使わない分、より細かい作業が必要になります。

  • 流し掛け

    流し掛け

    ろくろをゆっくりと回転させながら、生地の表面に釉薬や化粧土を等間隔で流す技法です。

  • 打掛け

    打掛け

    成形した器に釉薬を少しずつ掛ける技法です。生地にそのままかける方法と釉薬をかけたうえにさらにかける方法があります。

小石原焼ができるまで

土づくりから始まり、焼き上げるまで、多くの作業工程があります。
手間ひまかけて作った器も焼き上げた段階で、ほとんどが割れてしまったり色ムラがあったりと
商品として世に出されるのは、ほんの一部です。
そんな繊細な器を作り上げる職人たちの丁寧な手仕事捌きを想像しながら、
器に込められた想いと、器の機能の素晴らしさ・美しさを感じてみてください。 ※作業工程は窯元により異なります。

土づくり

01土づくり

焼物を作る土のことを「陶土」といいます。
小石原で取れるこの陶土は、ぼろぼろと崩れるもろい岩土で茶褐色や白褐色をしています。この岩土を陶土にことを「土づくり」といいます。この土こそが陶器を作るのに適した土だったため、この小石原の地で焼物が作られてきたのです。
初めにショベルカーでまとめて掘り出された土は、集積小屋に運ばれしばらく乾燥させます。その後、陶土粉砕機にかけられ、機械の力で細かく砕かれていきます。

形づくり

02形づくり

土の固さや柔らかさを見ながら土の中の空気を抜き、約50回以上捏ねます。この丸型に土を作る技法を「菊ねり」といいます。捏ねたあとが菊の花弁に似ていることからそう呼ばれるようになりました。
こうしてできた陶土の塊を分けて40〜50cmの丸筒形にし、ろくろを使って成形していきます。

装飾付け

03装飾付け

小石原焼の伝統技法である、飛び鉋・刷毛目・櫛目・指描きなどの技法を用いて装飾をつけていきます。
乾燥させた生地に化粧土を掛け、ろくろを回しながら道具や自分の手を使って、これらの技法で文様をつけます。また、ろくろの回転速度や生地の乾燥具合などにより出来栄えが変わってくるので、高い技術が必要とされます。

乾燥・素焼き

04乾燥・素焼き

水分をしっかり抜くために乾燥させ、約900度〜1050度で約10時間程素焼きします。元々小石原焼は素焼きを行っていませんでしたが、近年では新しく取り入れられた作業工程となっています。この素焼きをすることによって生地の水分を蒸発させ、本焼き時に破損するリスクが減ると同時に吸水性が上がり釉薬をしっかりと吸い込むようになります。また、土に含まれる不純物も燃焼されるので焼き色が安定し、さらに生地がしっかりと引き締まることによって欠けにくく丈夫な陶器が完成します。

釉薬掛け

05釉薬掛け

小石原で採れる藁灰、木灰、長石などを配合して作られた釉薬を生地にかけていきます。小石原焼ではひしゃくを使って釉薬を掛けたり直接浸したりして、むらなく釉薬を掛ける方法もあれば、流し掛けや打掛けなどの部分的に釉薬を掛ける技法もあります。
釉薬を掛けた部分は、焼成時に高温で溶けて発色し、艶と光沢があるガラス質のような仕上がりになります。現在では新しい釉薬作りも盛んに行われ、それぞれの窯元独自の色の器があり、個性豊かな様々な小石原焼を楽しむことができます。

焼き上げ

06焼き上げ

登り窯・ガス窯を使って焼成します。おおよそ15時間程度で1000度に達したら、横焚きの行程に入ります。釜の温度が約1300度に達したら上の窯の横炊きです。火入れから約40時間窯で焼いていきます。炊きあがったら約1週間かけて窯を冷やして窯出しの行程です。現在では登り窯を使っている窯元はほんの一部です。薪(小石原で採れる木)で炊き上げることで、器に独特な表情が生まれます。職人がいくら技術を高めようとも、どんな焼き上がりになるか予想ができないとのこと。それぞれ違った表情を持って生まれてくる器たち、唯一無二の作品が誕生する瞬間が楽しみのひとつでもあるそうです。

窯元紹介

小石原焼の窯元をご紹介します。
ひとつひとつ丁寧に心を込った作品をぜひご覧ください。

  • 實山窯森山 寛二郎

    實山窯:森山 寛二郎

    小石原焼の注目株、若手陶芸家 森山寛二郎さん。若くして数々の受賞歴を持っています。伝統的な技法を使いつつ、個性的でモダンな作風が特徴。東京のフレンチレストランが使うほど料理の見栄えが素敵になる器です。

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  • 鶴見窯元和田 義弘

    鶴見窯元:和田 義弘

    鶴見窯の和田義弘さんは、二代目。小石原焼に新風を巻き起こす若き作家です。現代のライフスタイルに合った小石原焼をと模索し、独創的な若い感性を取り入れ、斬新でシャープな器を生み出す作り手。

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  • 秀山窯里見 武士

    秀山窯:里見 武士

    秀山窯といえば、SHUZAN BLUE。三代続く窯元が使う釉薬は独特の藍色に魅せられる人が続出。藍色の“深み”を出すために、普通の陶器を焼く温度より高めで焼成時間も長く手間をかけた逸品です。

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  • 鬼丸豊喜窯鬼丸 希峰

    二代目の鬼丸希峰さんがつくるグレーの小石原焼は、伝統的な技の中に現代的なセンスが盛り込まれています。自分で考え出した釉薬で作る器を東峰村から発信しています。

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  • 圭秀窯梶原 久

    家族で使う器をモットーに作成している圭秀窯。高取焼と小石原焼の良さが融合した新しいカタチの器は、シンプルで使いやすく、あたたかみ溢れる器で幅広い世代に人気です。

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  • 早川窯元早川 英民

    早川窯元:早川 英民

    30年以上も愛されるロングセラー商品「ココット」。機能性と美しさを兼ね備えた、使って嬉しい、見て美しい、まさに生活に欠かせない器としての魅力が詰まった作品です。

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  • まるた窯太田 剛速

    まるた窯:太田 剛速

    海外修行の経験から生み出す、深い瑠璃色の作品が特徴的です。現代に沿った新しいカタチの器はもちろん、小石原焼独特の温かみを持つ作品も人気です。

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  • マルダイ窯太田 万弥

    マルダイ窯:太田 万弥

    古い窯元だから持っている材料や、代々受け継がれてきた技術を駆使した、十五代目 太田万弥の作品は素朴で美しく、器本来の役割を感じさせてくれるあたたかみが魅力です。

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  • マルワ窯太田 富隆

    マルワ窯:太田 富隆

    鮮やかなカラフルな色と、うずまき模様と飛び鉋が合わさった文様が特徴です。海外修行から学んだ技術を融合した、和・洋どちらにも合うデザインが高く人気を誇っています。

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