真竹や孟宗竹の油抜き(矯め直し)

油抜き(矯め直し)では、真竹や孟宗竹の湯抜きおよび火抜き、矯め直しをご紹介します。

油抜きとは

油抜きにはガスバーナーや炭火を使う乾式油抜き(火抜き)と、熱湯を使う湿式油抜き(湯抜き)があります。竹は油分の多い植物なので、余分な油抜きをする事で耐久性の向上・竹表皮の汚れ落としやツヤだしの効果が出ます。青竹では日持ちしない竹材を長く使うために必ずする加工です。

湯抜き

真竹の湯抜き

真竹や孟宗竹でもガスの火を使う火抜きという方法もあるものの、多くは湯抜き(湿式油抜き)と言われる熱湯を使う方法が主流です。湯抜きは、苛性ソーダをごく少量入れた熱湯で1本1本様子を見ながら真竹を煮沸していきます。沸き立つ湯気からも竹特有の甘い香りが漂います。湯釜から取り出した真竹を布で丁寧に拭きあげると、真竹は青みびかかった淡い若草色に変わります。

真竹

真竹から白竹(晒竹)へ

若草色をした湯抜き直後の真竹は、冬の天日に干すと美しい白色に。そのため湯抜きを終え天日干しをした真竹の呼び名は、白竹、または晒竹(さらしだけ)となるのです。

虎竹の里

冬の風物詩

寒空を覆うように上る湯気や、一面にならべられた白竹の景色が見られるのは、竹の山出しと同じ冬の冷える季節のみなのです。

日本最大級の孟宗竹の湯抜き加工

孟宗竹湯抜き
湯抜き

孟宗竹の湯抜き

竹工場では沢山の竹端材ができますので、これらを燃料にお湯を沸かします。細長い円柱形の釜を斜めに設置して作られる湯抜き釜は、数年前までは竹虎ではも使っていましたので非常に馴染みのあるものです。

工場 孟宗竹

煙がたちのぼる工場

長い煙突に長い竹材。油抜き加工された竹材はまるでお湯につかってサッパリと垢を落としたように男前になって出てきます。真竹の青さは湯上りには全く違う黄色い色合いになり、さらに冬の天日に当てて美しい乳白色に変わります。

老舗銘竹店の火抜き

清水銘竹店
洗い

老舗のこだわり

京都の老舗・清水銘竹店では、油抜きの前に竹を一本一本丁寧に水洗いしています。油抜きの前にひと手間かけるのが京銘竹のこだわりです。

火抜き

火抜き

昔は竹の油抜きは炭火でされていました。さすがに現在では炭火を使う事はせず、ガスバーナーの火を使います。片面ずつ、ゆっくりと熱を加えることによって内側まで火を入れられるのがこちらの火抜きの特徴です。

矯め直し

矯め直し

竹に熱があるうちに矯め加工するのは同じ、竹と相性のよい椋の木で作られた矯め木で曲がりを矯正しています。体重をかけて調整し、ロープをかけて冷まして固定しています、大きな孟宗竹なので虎竹と違い少し時間がかかるようです。何気なく竹にのっているように見える仕事も竹の節をしっかり殺して真っ直ぐな竹材にされています。仕上がった竹は流石に見事です。

清水銘竹店

美しい竹

竹がそれぞれ本当にキレイです。京都という土地柄長い時間をかけて整備されこのような頃合いの孟宗竹が生産されているのだと思いますが立ててある竹も、まるで別モノのように素晴らしい竹ばかりです。太く長い孟宗竹なので何度かに分けて油抜きしていますが、油抜きした所、していない所のラインも綺麗にそろえられている仕事を拝見していても竹への深い愛情を感じます。

熱を加えられて竹から油が染み出してツヤツヤと輝いています。竹をまず丁寧に水洗いして汚れを落としている事で油抜きがより加工しやすくなっています。当社と比べると拭き取っているウエスの汚れ具合が、まったく違っているのです。

この道一筋、熟練職人の矯め直し

矯め直し
矯め直し

真竹の矯め直し

竹の太さにあわせて、大きな物から小さな物まで何種類も用意しているお手製の矯木を使い、黙々と炎と竹に向かう熟練の職人。何十年もやり続けてきた仕事だけあって、その姿は凛として美しい。職人自身が矯め直されて真っ直ぐになっていく真竹の姿と重なって見えてきます。

矯め木

矯め木

矯め木は全て職人が自ら作ります。横たわっている大きな切れ込みの入った木材も、実は太い竹用の矯木なのです。

白竹

竹工場

この竹工場は清々しい色合いの真っ直ぐな竹に囲まれた異次元空間。竹はこれから太陽の光を浴びて、時間の経過と共に白竹へと変わっていくのです。

虎竹の油抜き