2024.03.27
Joshin 試用レポート
イヤーピース10種類を使って聴き比べ!
装着感や音の傾向はどう変わる?
イヤホンで音楽を聴くとき「とりあえず付属のイヤーピースを使っている」という方が多いと思いますが、様々な素材や形状の交換用イヤーピースが、数え切れないほど発売しています。
自分に合うものに交換することで、装着感や音質が一気に向上するかもしれません。
そこで今回は、特におすすめしたいイヤーピースを10選ピックアップ!
着け心地や遮音性、音の傾向がどう変わるのかをチェックしました。 ライター:もあ
イヤーピースを変えて、気軽に音質チューニングを楽しもう!
イヤーピースとは、イヤホンの先端についている、ゴムやクッションで出来たパーツのこと。
役割は耳穴を塞ぎ周囲の騒音を遮断して音を耳に伝えることで、遮音性と音の聴こえ方に大きく影響します。
これまではイヤホンの音質を変えるならリケーブル(※有線イヤホンのケーブルを着け替えること)が一般的で、少しハードルが高い印象でしたが、今では音質の向上に特化したイヤーピースも発売し、気軽に好みの音を追求できるようになりました。
素材や形状が異なる今人気のイヤーピースを、6社から計10種類お借りしたので、イヤーピース選びのポイントや、実際に装着感や音質がどう変化するのかを確かめていきます。
10種のイヤーピースをピックアップ!
今回10種類のイヤーピースが集まりましたが、同じ用途で似た形状でもそれぞれ個性があり、今回ピックアップした10種類の中でも「似ている」と感じるものは1つもありません。
まずは「どれが自分に合うかわからない問題」を解消すべく、素材や形状などイヤーピースのタイプをチェックしましょう。
自分にあったタイプを選ぶ
多くのイヤーピースは「シリコンタイプ」と「フォームタイプ」のどちらかに分類されます。
カナル型イヤホンに付属していることが多い、一般的なイヤーピース。
軽い着け心地で、耐久性が高く水洗いも可能なため、長時間の使用やスポーツシーンに適している。
形状やカラーバリエーション、サイズが豊富で、自分に合ったものを見つけやすいのもポイント。
圧迫感と密閉感があまりないものが多く、フォームタイプと比べると遮音性は劣り、音漏れもしやすい。
疲れにくい軽い着け心地と、クリアな音質を求める方におすすめ。
スポンジのような低反発素材を用いたイヤーピース。「ウレタンタイプ」とも呼ばれる。
指で軽くつぶしてから耳穴に入れると、耳の中で復元してしっかりフィットする。
遮音性に優れ、逃しがちな細かな低域もしっかり聴きとれることで、より迫力の音を楽しめる。
シリコンタイプと比べると圧迫感が強く、長時間の使用ではムレが気になることもある。
耐久性が低く定期的な買い替えが必要で価格も高価なものが多いため、コスパ面はいいとは言えない。
安定したフィット感と高い遮音性、中低音寄りのサウンドを好む方におすすめ。
今回ピックアップしたものでは「FiiO HS18」「日本ディックス COREIR」「AZLA SednaEarfit max ASMR」「JVC Spiral Dot/SF」がシリコンタイプ。
「AZLA Sednaearfit Foamax」がフォームタイプです。
様々なイヤーピースがセットになった「FiiO HS19」には、どちらのタイプも入っています。
「シンビオ New Symbio W」は、ウレタンをシリコンで囲ったハイブリッド設計で、高い遮音性と快適な装着感の両立を実現しました。
今回シリコンとフォームタイプのどちらにも属さなかった「オーディオテクニカ AT-ER500」は、温度で質感が変化する「アブソートマー素材」。
「JVC Spiral Dot++」は人肌に近い触り心地の良い質感の「SMP iFit素材」を採用しています。
上の画像の通り、各イヤーピースを並べると同じサイズでも高さが全然違うのが分かります。
高さがあるものは耳奥まで届き、浅いものは耳に入れた付近で密着するイメージで、後者の方が圧迫感が控えめです。
「FiiO HS19」に入っている傘が2段階になった「ダブルフランジ」は、通常のシングルよりも遮音性が高くなり音漏れも抑えられます。
耳奥に突き刺すような装着感は好みが分かれるところですが、中高域がよりクリアに聴こえるので音質面でハマる方も多いと思います。
FiiO HS18 | S / M / L |
---|---|
FiiO HS19 | S / M / L |
オーディオテクニカ AT-ER500 | S / M / L |
日本ディックス COREIR | S / MS / M / L |
シンビオ New Symbio W | XS / S / M / L / XL |
AZLA SednaEarfit max ASMR | SS / S / MS / M / ML / L |
AZLA SednaEarfit Foamax | SS / S / MS / M / ML / L |
JVC Spiral Dot | S / MS / M / ML / L |
JVC Spiral Dot++ | S / MS / M / ML / L |
JVC Spiral Dot SF | S / MS / M / ML / L |
イヤホン装着時の「耳から落ちる・着け心地がしっくりこない・音がスカスカに聴こえる」の原因は、大体サイズ選びにあります。
筆者は落下を恐れて大きめのサイズを選ぶことが多いですが、耳穴に無理に押し込んでいる感覚があったり、音がこもっていると感じたときは、ワンサイズ小さくすると大体フィットします。
逆にサイズが小さすぎると低音域がスカスカで、迫力があまりないと感じることが多いです。
自分の耳にしっかりフィットしていないと、イヤホンやイヤーピースのもつポテンシャルが充分に発揮できないので、着け比べをしてピッタリなものを見つけましょう。
着け心地と遮音性
「軽く頭を振っても落ちそうにならない・長時間着けても耳の痛みとかゆみがない・聴こえる音に違和感がない」をフィット感のいい状態としたとき、個人的にかなりいいと感じたのが柔らかな質感の「FiiO HS18」と「AZLA SednaEarfit max ASMR」。
「オーディオテクニカ AT-ER500」は耳に入れた直後は硬く違和感がありますが、徐々に耳に溶け込むような感覚で、長時間使用時の快適さならトップクラスです。
遮音性は耳穴をしっかり密閉するフォームタイプに軍配があがります。
ノイズキャンセリング(以下:NC)機能のないイヤホンに装着した時に屋外でも音楽に集中できたのは、「AZLA Sednaearfit Foamax」と「シンビオ New Symbio W」。
シリコンタイプでは「日本ディックス COREIR」が1番遮音性が高く、風切り音や車の走行音は気になりませんでした。
フィット感と遮音性については下の「おすすめのイヤーピース10選」の欄で、個別に詳しくレビューしています。
ワイヤレスイヤホンの充電ケースに入る?
完全ワイヤレスイヤホンを使う方は、イヤーピースを着けた状態で充電ケースに収納できるかも要チェックです。
イヤーピースが収まりきらず、ケースが閉まらなかったりイヤホンが浮いてしまうと、充電できないことがあります。
今回は、完全ワイヤレスイヤホンの中でも特に小型な「ソニーLinkBuds S」と「Google Pixel Buds」で使えるか確かめました。
結果、「ソニーLinkBuds S」は1番大きなXLサイズも含め、全種類収納可能!
イヤホン本体がかなり小柄なので、Lサイズ以降を装着すると見た目のアンバランスさはあるものの、ケースには問題なく入り、充電の磁石も「ピタッ」とくっつきました。
しかし「Google Pixel Buds」では「日本ディックス COREIR」とフォームタイプ、ダブルフランジは収納できず・・・。
フォームタイプは小さいサイズなら押し込めば入るのですが、ケースが徐々に開いてきてしまい、充電できなくなる不安が残りました。
その他のイヤーピースなら、どのサイズでもしっかり閉まります。
小型イヤホンの場合、シリコンタイプは大体OK!フォームタイプはチェックが必要という認識で問題なさそうですが、「日本ディックス COREIR」はシリコンタイプでも金属部が曲がらないため、収納できないケースが多々あると思われます。
最も傘の浅い「オーディオテクニカ AT-ER500」はノズルが特殊な形状をしていない限り、どのイヤホンでも大丈夫でしょう。
音質の向上
- qdc「SUPERIOR」4.4mmバランスケーブル & Astell&Kern「KANN ULTRA」で試聴
「パッヘルベルのカノン〜バロック名曲集」「ジャズで聴く宇多田ヒカル作品集」「STRAY SHEEP/米津玄師」「THE BOOK 3/YOASOBI」「Let There Be Cello/2CELLOS」
上記のアルバムを中心に試聴し、高域・中域・低域・ボーカルの距離感・全体のバランスや音の定位置をチェック。
使用イヤホン「SUPERIOR」に付属のシリコンイヤーピースから、音の傾向がどのように変化するかを確認しました。
下記で各イヤーピースの特徴とともにまとめていきます。(※音の感じ方には個人の好みがあります)
おすすめのイヤーピース10選
FiiO HS18
サイズ展開 | S / M / L(各3ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | 医療用シリコン(アウターカバー0.4mm) |
装着感 | 質感はとても柔らかくサラサラとしていて、着け心地がとても軽い。 今回使用した中では耳への異物感と圧迫感が最も少なく感じた。 数時間連続で使っても耳の痛みや痒みがなく、汗で張り付く感じやムレもほとんどなくてとても快適。 |
遮音性 | あまり高い方ではなく、人の声が多い場所では音楽に集中しにくい。 街中のザワザワした様子が苦手な方は、強力なNC機能を搭載したイヤホンが必須かも。 |
イヤホンに付属のシリコンイヤーピースと比べると、中高域がさらにクリアになってボーカルが前に出たように感じます。
低域は控えめなので、力強い迫力のサウンドが聴きたい時には少し物足りなさがありますが、音全体のバランスはよく、イヤホン自体のポテンシャルを十分に発揮できます。
イヤホンの圧迫感が苦手な方におすすめ!着け心地がとても軽くて耳に優しい超薄型シリコンタイプ
耳に接する部分(アウターカバー)に、0.4mmのとても薄い医療用シリコン採用したイヤーピース。
質感がサラサラしているので汗でシリコンが張り付く嫌な感じもなく、装着時の存在感のなさはトップクラスです。
ただサイズ合わせがかなりシビアな印象で、サイズが小さいと周囲の音が結構入ってきて音が聞き取りにくく、大きすぎても耳の中で隙間ができてやはり音がスカスカということがありました。
サイズさえピッタリ合えば、仕事や作業で長時間使うときには手放せなくなるほど快適なので、イヤホンの圧迫感が苦手な方は1度試してみてください。
FiiO HS19
サイズ展開 | S / M / L(全5種類、合計12ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | バランス・ボーカル・低音重視型シリコン、メモリーフォーム、ダブルフランジ形状 |
装着感 | 【シリコン】低音重視型(Bass)の質感は少し硬めだが、他はサラサラとして柔らかい一般的なシリコンタイプと同じ、違和感のない自然な着け心地。 【フォーム】質感はフォームの中では柔らかい方で圧迫感もあまり強くないが、長時間装着すると耳が痒くなってくる感覚はある。 【ダブルフランジ】耳に突き刺すような装着感で少し圧迫感もあるため好みが分かれそう。 頭を強く振っても落ちる気配がなかったので、シリコンタイプで装着時の安定感を求める方におすすめ。 |
遮音性 | 【シリコン】一般的なシリコンタイプと同等。セットの中では遮音性は1番低い。 【フォーム】耳穴をしっかり密閉するため遮音性はかなり高い。屋外で音楽に集中したいときはこのフォームタイプを使うことになりそう。 【ダブルフランジ】フォームタイプほどではないが、一般的なシングルのシリコンタイプよりは高い。 |
バランス重視型はイヤホンに付属のイヤーピースからそこまで音の傾向が変わらないナチュラルな印象。
ボーカル重視型は中域がクリアで歌詞がとても聞き取りやすいですが、サウンド(特に低域)の距離は結構遠くなったように感じます。特定の声を追いかけたい大人数で歌うアイドルソングなどに向いていそう。
低音重視型は音全体の厚みが増して迫力もアップします。低域の量はフォームタイプの方が多く感じますが、こちらは中高域もある程度しっかり残っていて「低域寄りの自然な音」になっている印象です。
【フォーム】このセットの中で最も低域寄りのサウンド。シリコンタイプでは振動を感じるだけだった細かな重低音も聴き取れます。
【ダブルフランジ】シングルタイプよりも聴こえる音が多く、さらに迫力のサウンドになる印象。音の傾向は低音重視型シリコンタイプに似ていますが、高域はこちらの方がクリアで伸びもあるように思います。
様々なサイズ・形状がひとまとめになった「イヤーピース スターターセット」。どれが耳に合うか探し中の方におすすめ!
持ち運びしやすいケースに、好みの音に合わせて選べる3種類のシリコンタイプと、遮音性を重視したフォームタイプ、傘が2段階になったダブルフランジが付属します。
イヤーピースの基本の素材・形状のものが全部入りで、実際に使うと自分には合わなかった」という間違いがほとんど起こりません。
装着感や音の傾向も様々なので、とりあえず「FiiO HS19」を選んでここから好みのタイプを探しイヤーピースにハマっていくのもアリです。
オーディオテクニカ AT-ER500
サイズ展開 | S / M / L(各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | アブソートマー(アブソーブ+エラストマー)素材、体温で形状が変化、傘は他より浅め |
装着感 | 装着時はシリコンよりも硬く存在感があるが、体温によって徐々に馴染み耳に入れた付近でしっかりと密着する。 圧迫ではなく「耳に張り付いている」という感覚で、傘の浅いタイプとは思えないほど安定感があり、頭を振ってもビクともしない。 長時間使用時の疲れにくさは、今回使用した中ではトップクラス。 |
遮音性 | 耳奥まで届く形状ではないが一般的なシリコンタイプよりも高く、屋外でも音楽を再生していれば周囲の音はほとんど気にならない。 電車のアナウンスは、意識して耳をすませばなんとか内容が把握できるレベル。 |
楽器の数が多いアップテンポな曲調でもごちゃごちゃとした雰囲気にならず、キレ良くスッキリとした気持ちのいい聴き心地でした。
ボーカルとの距離は遠くはありませんが、サウンドが1歩前に出ると感じることが多いです。
体温で形状が変わる新感覚のイヤーピース。しっくりくるイヤーピースが見つからない方はコレかも!
世界で初めて、人肌で柔らかくなじむ「アブソートマー素材」を採用したイヤーピース。
体温で柔らかく変形し耳穴の形状にフィットするため、ほとんどの方にピッタリ合い、また左右で耳の形状が異なるという悩みも解決します。
「圧迫より密着」というタイプですが、ベタっと張り付く不快感はなく長時間の使用も快適です。
音質は低域寄りのキレのある音に変化するように感じ、特に疾走感のある楽曲とは相性抜群でした。
シリコンは落ちそうで怖い、でもフォームの圧迫感もニガテ・・・何なら合うの!?とお困りの方はお試しください。
日本ディックス COREIR
サイズ展開 | S(Black) / MS(Blue) / M(Yellow) / L(Red) (各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | シリコン、音導管に金属コアを内蔵 |
装着感 | シリコン素材だがサラサラよりペタッとした質感で、張り付くように密着するイメージ。 中央の金属部は硬く、今回使った中では装着時の存在感が1番強く感じた。 自分の耳穴より大きめのサイズを選んでしまうと耳が痛くなるかも・・・。 |
遮音性 | フォームタイプには及ばないが、他のシリコンタイプと比べると高く感じる。 エアコンなど室内の環境音はほとんど聞こえず、屋外でも曲を再生していれば車の走行音や風切り音は気にならない。 |
パワーも充分にあり、ボーカルも含め音がグッと近づいてくるような感覚を味わいました。
中高域の伸びと煌びやかさが目立ちますが、低域の沈み込みもしっかりあり、音の傾向は原音に忠実なフラット寄り。
どの音楽ジャンルを再生しても「抜群に音が良くなった」と感じられ、イヤーピースの交換による音質の向上を最も実感できました。
音導管に金属コアを内蔵した新時代のイヤーピース。美しい原音再生にこだわるならコレ!
中央に金属コアを内蔵することで、原曲をストレートに届けることができるイヤーピース。
音質にこだわり抜いた設計なだけあり、イヤホンやケーブルを変えたかと思うほど音質が変化します。
楽器の音は生々しくライブ感があり、それでいてボーカルは埋もれず音の定位もよく、ほとんどの方が純粋に「これはいい音だ」と感じられると思います。
音質で選ぶなら間違いないですが、今回使用した中では最も高価なうえ、こまめに汗や皮脂を取り除かないと金属部分がサビる恐れがあるため、コスパ面がいいとは言いにくいです。
また金属アレルギーをお持ちの方や、耳穴が極端に小さな方には向かないでしょう。
サイズによって色が異なるゴムのおかげで、金属部がイヤホンのノズルを傷をつけることはないので、その点はご安心ください。
「イヤーピース1つでここまで音が良くなるの!?」を実感したい方は試してみてください。
シンビオ New Symbio W
サイズ展開 | S / MS / M / L / XL(各3ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | 医療用シリコン×ウレタンフォーム |
装着感 | 通常のフォームタイプと同じく、軽くつぶして耳に入れる。 耳穴をしっかり塞ぎ、頭を振っても全くズレない密閉感がありながらも、表面はサラサラとしたシリコン素材で着け心地は軽やか。 他のフォームタイプよりも柔らかく、耳の中で膨らんでも圧迫感は控えめ。 |
遮音性 | 一般的なフォームタイプと変わらず遮音性はかなり高い。 少し距離があれば人の声も聞こえにくいため、NC機能なしのイヤホンでもストレスなくにぎやかな屋外で使用できる。 |
シリコンタイプよりも細かな重低音を聴き逃しにくくなり、音の量感も増えてさらに迫力の音になります。
シリコンとフォームタイプのいいとこどり!快適な装着感と高い遮音性を実現。
外側が医療用シリコン素材、内側がウレタンフォームのハイブリッド設計。
圧迫感があまりなく長時間使っても耳が痛くなりにくい、なのに遮音性が高く細かな音も逃さないという、シリコンとフォームタイプの長所を併せ持っています。
フォームタイプの弱点である「耳が触れる場所の消耗の早さ」も上手くカバーしていて、シリコン部分は汗が拭き取れるのも嬉しい(※水洗いはNG)。
本体カラーは明るいオレンジで、ブラックやホワイト系などシンプルなカラーのイヤホンのアクセントになります。
サイズは全5種と豊富ですが、一般的なフォームタイプより耳の中で大きく膨らまない印象なので、小さめのサイズを選ぶとズレやすいかもしれません。
フォームタイプ派だけど長時間快適に使いたい方、遮音性がしっかりありながら耳が痛くなりにくいものをお探しの方におすすめです。
AZLA Sednaearfit MAX ASMR
サイズ展開 | SS / S / MS / M / ML / L(3サイズ各1ペア入り、1サイズ各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | 医療用シリコン、ノズルが細いイヤホンでも使える「ノズルアダプター」が付属 |
装着感 | 表面のシリコン部分だけでなく中央のワックスガードまで柔らかく、耳奥まで押し込んでも異物感がほとんどない。 数時間連続で使っても小型イヤホンなら着けていることを忘れそうになるくらい刺激が少なく、動画を観ながら寝落ちすることもあった。 密着感は控えめな印象なので、激しく動くスポーツシーンには向かないかも。 |
遮音性 | 一般的なシリコンタイプと同じくらいで、特別高くはない。 細かな声や音に集中したい時に使うことの多いイヤーピースなので、強力なNC機能を搭載したイヤホンや、耳を隙間なく塞ぐカスタムIEMと組み合わせたい。 |
音の立体感と定位が良くなったのが分かりやすく、没入感を味わいやすい。
ささやき声や息遣いまで鮮明に感じられるが、突き刺さるような音ではなくそのまま眠れそうな優しいチューニングなので、ロックなどの派手なサウンドを好む方はギャップがありそう。
繊細な音を聞きたいASMRやゲーミング向き!究極の低刺激シリコンイヤーピース
日常の生活音や咀嚼音など、聴覚の刺激により心地よさやゾクゾクする感覚を体感できる「ASMR音源」に特化したイヤーピース。
今音がどこから鳴っているかという「音の定位」を感じやすいのが特徴で、サウンドはまとまって後ろの方に、ボーカルはささやき声まで鮮明に聴こえるほど近く感じるなど、他のイヤーピースよりも個性的な音に変化します。
突き刺すような高域やズンズンと響く低域はマイルドになり、全体的にリラックスできる優しい音になると感じることが多かったです。
「SHURE SE215」などノズルが細すぎて交換用イヤーピースを使えないイヤホンにも装着できるよう「ノズルアダプター」が付属しています。
重低音の厚みが特徴的な「SHURE SE215」と組み合わせると、足音や銃声などがより鮮明に聞こえたのでシューティングゲームなどでも活躍しそうです。
ASMRコンテンツを楽しむことが多い方、装着時の刺激は極力少ない方がいいという方にピッタリです。
AZLA Sednaearfit Foamax
サイズ展開 | S / MS / M / ML / L(3サイズ各1ペア入り、1サイズ各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | PU(低反発 ウレタン製) + 医療用シリコン |
装着感 | 軽くつぶしてから復元するまでが他のフォームタイプと比べてゆっくりなので、耳に入れる前にすでに元の形に戻っていることがない。 耳のなかで徐々に膨らみ隙間なくフィットする感覚で、安定感はピカイチ。 フォームタイプらしい密閉感と圧迫感はあるので、長時間使用は疲れる方もいるかも。 |
遮音性 | 遮音性は今回使用した中で1番高く感じた。 耳栓を着けるのと似た感覚で、NC機能なしで音楽を再生していなくても人の声は遠く、ザワザワとしたノイズも気にならない。 |
ボーカルとの距離感も近く声はクリアで、サウンドを強調しすぎている印象はありませんでした。
シリコンタイプからの変更では最初は低域が際立つ印象を受けますが、長時間聴けば聴き疲れしにくいバランスの取れた高音質になっているのが分かります。
高い遮音性と細かな音を逃さない高音質。「復元する時間」にまでこだわった、フォームタイプの完成形
今回使用した中で遮音性が最も高いと感じた、フォームタイプのイヤーピース。
フォームタイプの、低域と全体の迫力は増強されるけど高域がぼやけるイメージを見事覆した、原音に忠実なフラット寄りの高音質で、クラシックやジャズも違和感なく楽しめます。
曲全体の力強さや低域の沈み込みがしっかりあり、今回使用したイヤホン「SUPERIOR」との相性はかなり良く感じました。
ずっとシリコンタイプを使っていた方は最初は圧迫感が気になるかもしれませんが、サイズが6種類と豊富なので自分に合うものを見つけやすいと思います。
シリコンタイプでは耳から落ちそうになる、遮音性がもっとほしいと思う方は試してみてください。
JVC Spiral Dot
サイズ展開 | S / MS / M / ML / L(各3ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | シリコン、イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配列 |
装着感 | サラサラとした質感で柔らかくも硬すぎることもない。弾力性は結構強め。 装着感はイヤホンに付属しているシリコンタイプから大きく変化しないように思うが、馴染み深く自然に着けられる。 |
遮音性 | 「SUPERIOR」に付属している一般的なシリコンタイプから向上した様子はなく、にぎやかな場所では音楽が聴こえにくく感じた。 |
ナチュラルサウンドで音の傾向は大きく変化しないように思いますが、表現できない苦手な音域もなさそうで、自然にいい音に近づいていると感じます。
音筒内側にディンプルをらせん状に配置して、クリアなサウンドを実現!Spiral Dotシリーズのノーマルタイプ
価格が安価なのと、形状や装着感がイヤホンに付属のものとよく似ていたのであまり変化はないかと思いましたが、音質がさらにクリアになったのはすぐに分かりました。
Spiral Dotシリーズの中では下位モデルにあたりますが、イヤーピース内壁に配列した小さなドットで音のバランスを調整しキレイにする仕組みは上位モデルと同じで、単純に音質の向上を期待したい方にはコスパも良く最適かと思います。
イヤホンに付属のイヤーピースしか使ったことがない、イヤーピースの交換に興味が出てきたという方が、気軽に選べるアイテムです。
JVC Spiral Dot++
サイズ展開 | S / MS / M / ML / L(各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | 人肌に近い力学特性を持つ「SMP iFit」素材 + 軸部分に高品質シリコン、イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配列 |
装着感 | Spiral Dotのツルツルとしたシリコンから、モチモチとした触り心地の人肌のような質感に変わり、装着感が劇的に向上。 優しい着け心地で圧迫感はあまりなく、長時間装着しても耳が痛くなることはなかった。 |
遮音性 | Spiral Dotシリーズの中では最も強く感じる。 フィット感が良く耳に隙間ができにくいためか、風切り音が気にならなくなり、屋外でも音楽に集中しやすくなった。 |
通常モデルよりも低域を中心に音が引き締まり、埋もれて聴こえにくい音はほとんどなくなったように思います。
ゆったりとしたジャズは伸びやかに、疾走感のある楽曲はキレ良く、それぞれ原曲の良さを上手く表現していて聴きやすかったです。
純度の高いクリアサウンドと自然なフィット感!Spiral Dotシリーズで音質を重視するならコレ!
上で紹介したSpiral Dotの上位モデル。
人肌に近い力学特性を持つ「SMP iFit」素材を採用することで、モチモチとした触り心地の良い質感を実現し、フィット感が抜群によくなりました。
傘の部分に「SMP iFit」、軸の部分に高品質シリコンを合わせて、開口部分の形状も改良を行うことで、通常モデルよりもさらに音を歪みなくストレートに届けることができます。
複数の楽器が交わる箇所でも各楽器の音が埋もれずしっかり聴き取れました。
シリコンタイプの中でも安定した装着感が欲しい方、Spiral Dot通常モデルの音の傾向が気に入っていてさらに高音質を求める方におすすめです。
JVC Spiral Dot SF
サイズ展開 | S / MS / M / ML / L(各2ペア入り) |
---|---|
素材・形状 | シリコン、イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配列、傘の下半分をカット |
装着感 | 質感は通常のSpiral Dotと同じだが、傘が半分カットされていて耳に触れる箇所が少ないため圧迫感が控えめ。耳への負担はシリーズで1番優しいように思う。 長時間着けていても疲れにくいが、安定感はSpiral Dot++ほどなく頭を強く振るとズレることがあった。 |
遮音性 | 遮音性はSpiral Dotシリーズでは最も控えめに感じる。 NC機能のあるイヤホンでもにぎやかな屋外では騒音が入ってきたので、着け心地の良さを活かして「ながら聴き」用に振り切ってもいいかもと思った。 |
Spiral Dot++であった音の厚みは控えめになったように感じますが、音の歪みのなさは健在で長時間聴きやすい音でした。
傘の下半分をカットした新形状。Spiral Dotシリーズで長時間の着け心地を重視するならコレ!
SF(ストレスフリー)の名前が付いた、疲れにくい着け心地が特徴のSpiral Dotシリーズ。
傘の下半分をカットした珍しい形状で、これによって耳に触れる範囲が狭くなり、装着時の刺激を感じにくくなりました。
圧迫感が抑えられた分、遮音性と音の厚みは控えめになったように思いますが、静かな室内で作業や仕事のお供に使う場合には気になりません。
サイズ展開は他のSpiral Dotシリーズと同じですが、気持ちSpiral Dot SFは小さめだと感じたので、装着時のスカスカとした感覚が苦手な方はワンサイズ上も試してみてほしいです。
イヤホンを長時間着けっぱなしにすることが多い方、軽めの着け心地がお好きな方におすすめです。
まとめ
今回10種類を使用しましたが、それぞれ個性があり装着感と音の傾向が全く違いました。
自分は絶対このタイプが好みだ!と思っていても意外とこっちの方がよかったということが頻繁にあり、こんなに小さなパーツなのに奥が深い・・・!と、イヤーピースの沼にハマってしまいます。
筆者が現時点で最も好みなのは下の通りです。
装着感:【オーディオテクニカ AT-ER500】→ 「圧迫感で聴き疲れしやすいけど耳穴はしっかり塞ぎたい」という思いに上手く応えてくれた。長時間着けたときの耳に溶け込むような感覚もGOOD!
遮音性:【AZLA Sednaearfit Foamax】→ 遮音性は高いほど嬉しいタイプなのでコレ一択。フォームタイプの中では疲れにくい質感で長時間にぎやかな街を歩くのも快適だった。
音質:【日本ディックス COREIR】→ イヤーピース1つでここまで音が良くなるのかと感動。特にイヤホンをグレードアップしたかのような美しい高域の伸びに病みつきになった。
面白いのが、使うシーンや聴きたい楽曲の系統で違うものも気になってくるところです。
数が多く追求すると果てしないイヤーピースですが、ぜひ自身にあったものを見つけ、音楽の幅をもっと広げてみてください。 2024.03.27 (もあ)