2023.01.11
Joshin 試用レポート
フラッグシップモデルの高音質技術を継承!ソニー ウォークマン『NW-ZX707』の進化した音を聴く
ソニー ウォークマン NW-ZX707
ハイレゾ音源からストリーミングサービスの曲まであらゆる音楽を高音質で再生する、バランス接続対応のソニーのウォークマン「ZXシリーズ」に、新モデル『NW-ZX707』が登場!
フラッグシップ機の技術を惜しみなく投入し、これまでのZXシリーズの枠を超えた高音質サウンドを実現しました。
前モデル(NW-ZX507)から大きく姿を変え、外観・操作性・音質の全てが進化したNW-ZX707を実機レビューします! ライター:もあ
5.0インチの大画面を採用した、ソニー ウォークマン『NW-ZX707』
セット内容 | 本体、USB Type-Cケーブル(USB-A-USB-C)、ヘッドホン端子キャップ(ステレオミニ/バランス標準)、USB Type-C端子キャップ、取扱説明書、使用上のご注意/主な仕様、保証書、製品のサポート登録のおすすめ |
---|
ウォークマン『ZXシリーズ』は、コストパフォーマンスに優れた小型サイズの「Aシリーズ」と、高音質再生にこだわり抜いたフラッグシップ機「WM1シリーズ」の中間に位置するデジタルオーディオプレーヤー。
4.4mmバランス接続に対応したAndroid OS搭載プレーヤーで、ハイレゾ音源やストリーミングサービスの曲をワンランク上の高音質で楽しみたい方におすすめのモデルです。
今回登場した『NW-ZX707』は、2019年に発売した「NW-ZX507(以下:前モデル)」の後継機種・・・ですが、初めて見たときにこれは本当にZXシリーズなのか!?と戸惑いました。
これまでのZXシリーズは縦にスリムなコンパクトプレーヤーでしたが、NW-ZX707は見た目のイメージをガラリと変え、5.0インチの大画面を搭載!
外観はWM1シリーズをひと回り小さくしたようなイメージです。
ZXシリーズは音作りにフラッグシップ機のノウハウを投入するハイレベルなプレーヤーという印象を持っていましたが、まさか外観まで近づいていくとは・・・!(下記に前モデルとの外観比較があります)
フラッグシップ機から継承したパーツと機能
大きく変化した外観に驚きましたが、NW-ZX707の1番の魅力は何といっても音質。
シャーシの抵抗を低減する無酸素銅切削ブロックや、電源を強化する大容量個体高分子コンデンサー、WM1シリーズと同じサイズの大型化コイルなど、WM1シリーズの最新モデル「NW-WM1ZM2」「NW-WM1AM2」で使われているパーツを多数継承しています。
ZXシリーズ従来のパーツにこれらの継承パーツを組み合わせることで、これまでのZXシリーズの域を超える高音質サウンドを実現しました。
機能面では、有線接続時に「W.ミュージック」アプリで再生されたPCM音源を、DSD信号に変換する音響効果「DSDリマスタリングエンジン」をシリーズで初搭載したのが大きなポイント!
音楽データの情報量を損なうことなく変換するので、原曲の再現性がとても高まります。
さらに圧縮音源をアップスケーリングする技術は前モデルの「DSEE Ultimate」から進化し、ストリーミングサービスの音質もハイレベルなものになりました。
バッテリーは前モデルから約5時間*1向上!
-
NW-ZX707は省電力設計のプラットフォームを採用し、連続再生時間を前モデルから約5時間*1向上!
メインのミュージックアプリ「W.ミュージック」で約25時間*1、その他のミュージックアプリでは約22時間*2の再生が可能 となりました。
*1 MP3 128kbpsモード、有線接続かつ画面オフの状態で「W.ミュージック」で連続再生時
*2 MP3 128kbpsモード、有線接続かつ画面オフの状態で「W.ミュージック」以外の音楽サービスアプリでオフラインモードで連続再生時(アプリの使用状況によって異なります。動画再生時は電池持続時間が短くなります)さすがにWM1シリーズの40時間には届きませんが、バッテリーセーバーモードなどを使ってバッテリー消費を抑えれば、数日充電なしでも大丈夫そうです。
本体をしっかり保護できる専用ケース
-
同日発売の専用ケースは、NW-ZX707の高級感に相応しく質の高い本革素材でできた、横開きの手帳型。
ケースを装着したままでもボタン操作、microSDカードの抜き差し、充電が可能です。
持ち歩きを考えるなら、大きくなった画面をしっかり保護するためにも、ケースは用意しておきたいですね。
前モデルと外観を比較
NW-ZX707 | NW-ZX507 | |
---|---|---|
本体サイズ(約) | 幅72.5×高さ132.3×奥行16.9mm | 幅57.9高さ122.6×奥行14.8mm |
モニターサイズ(約) | 5.0インチ(1280×720ドット) | 3.6インチ(1280×720ドット) |
重量(約) | 227g | 164g |
メモリー容量(約) | 64GB(実使用可能領域は約47GB) | |
ヘッドホン出力 | 3.5mmステレオ出力、4.4mmバランス出力 | |
Android OS | Android 12 | Android 9.0 |
これまでのZXシリーズは本体サイズにあまり変化がなかったので、前モデルと並べると改めて全く別物になったなあ・・・と感じます。
画面サイズは前モデルの3.6インチから5.0インチになり、重量は約63gアップしました。
画面の大型化でYouTube動画などが見やすくなり、曲選びやイコライザーなどの音響機能の設定もとても快適です。
ただ、前モデルからの乗り換えだと最初は重さが気になるかなと思ったのと、女性の筆者の手では片手での画面操作は難しかったです。
デザインは角の丸みがなくなって、端子部分以外にもサイドや側面に金色の装飾が施され"高級機種っぽさ"が増しました。
充電端子は底面に移動になりましたが、その他のボタンなどは同じ場所に配置しています。
天面の出力端子部には3.5mmステレオと、ZXシリーズの魅力でもある4.4mmバランス端子が並びます。
バランス端子には接続安定性の高いJEITA統一規格のものが採用され、ノイズやブレのない透明感あふれる音を再生します。
「W.ミュージック」アプリのUIをチェック
ウォークマンのメイン音楽アプリ「W.ミュージック」のUIデザインは前モデルと違いはないように見えますが、音楽再生に特化した面白いギミックが追加されていました。
1つ目は、再生画面下部のフリック操作で曲送り/戻りが可能!
右にフリック→次の曲へ、左にフリック→前の曲へと変わるのですが、切り替わりがとてもスムーズですごく使いやすいです。
画面が大きくなったのでタッチ操作でも誤操作は起こりにくいですが、片手では指が戻るボタンまで届きにくかったので、画面中央あたりでも操作できるフリックは重宝しました。
そして2つ目が、ジャケット写真に合わせて再生画面の背景色が変化!
直接使用感には関わりませんが、音楽再生機らしいギミックで個人的にはかなり好きです。
前モデルから搭載されたカセットテープ仕様の再生画面は引き続き採用。
近年再ブームが起こっているとよく聞くカセットテープですが、アラサーの筆者からすると懐かしさとレトロ感を覚えます。
本体の形状から、実寸大のカセットテープのように見えるのが面白いですね。
テープの種類が音源のファイル形式(FLAC/DSDなど)によって変わるところも、オーディオファンの心をくすぐります。
ライブラリーをよく見ると、2つ前のモデル(ZX300シリーズ)にはあったけど前モデルではなぜか省略された機能「USB-DAC」が復活しています。
これはパソコンと接続すれば、パソコンに内蔵の曲をウォークマンのフルデジタルアンプ「S-Master HX」を使ってグレードアップした高音質を再生できる機能。
ウォークマンに転送しきれないほど大量の音楽データをパソコンで管理している方は、かなり使えると思います。
【音質レビュー】従来のZXシリーズを超えた高音質
まずは音質設定なしの状態でソニーのヘッドホン「WH-1000XM5」を使って、ハイレゾ音源を聴いてみます。
前モデルと聴き比べると、音の広がりと透明感が向上し、高域はさらにクリアになり、低域は力強さが増して、遥かに音のクオリティが上がっているのがわかります。
微細音の再現性もアップしているので音の情報量はとても多く、曲の雰囲気や温度感をより感じ取れました。
ジャズミュージック「Cheek To Cheek/Ella Fitzgerald」のライブ音源を聴くと、各楽器の響きがとても豊かでパワフルなサウンドになっています。
ボーカルの声も息遣いまで聞こえるほど生々しく、前モデルと比べると同じ曲とは思えないくらい距離が近づいたように感じます。
音の強弱や動きもハッキリしているので没入感がものすごく、音量を上げるとライブ会場にいるような気分を味わえました。
「安里屋ユンタ/上間綾乃」では、歌い出し前のシャラシャラとした音が、ピアノの音に被りながらも埋もれず鮮明に頭の上を通過していく様子に衝撃を受けました。
前モデルでも音の分離感と定位置はしっかりしていましたが、さらに空間が広くなってダイナミックな会場で音楽を聴いているように感じます。
好みの音で楽しめる音響機能
「DSDリマスタリングエンジン」機能をオンにして聴いてみると、少しシャープっぽい音が自然に柔らかく伸びやかになった印象を抱き「なるほど、これがこの曲の原音に極めて近い状態なのか・・・」と感動しました。
DSDリマスタリングエンジンはオンオフの切り替えができますが、筆者はどの音楽ジャンルを聴いても、大体オンの方が好きな音だなと感じました。
オフにするとイコライザーなど、音質を自分好みに変える設定が行えます。
YouTubeの音源も聴いてみましたが、ストリーミングサービスとは思えないほど音が細かくて厚みがしっかりあります。
曲の空気感や表現力を存分に味わえ、言わずもがな、スマホで聴くのとは全く別の曲に感じるレベルです。
動画再生は音はもちろん画面が大きくなることで、視覚でも迫力を感じられるようになりました。
オーディオプレーヤーでの動画再生はあまり考えない方が多いと思いますが、ミュージックビデオなどをいい音で楽しむのもおすすめですよ。
まとめ
前モデルから約3年の時を経て登場した、ZXシリーズの最新機種『NW-ZX707』。
実際に使うと外観、音質共に「これがZXシリーズ・・・!?」と驚くことが多く、確実にフラッグシップ機に近いハイクラス機へと進化していました。
特に音質は、前モデルと比較すると音の透明感や空間表現の向上がすさまじく、音楽鑑賞の満足度が全然違います。
ボーカルの距離が近づき没入感も味わいやすいなど、新しい音作りを実感する場面は多いと思うので、前モデルからの乗り換えは全力でおすすめしたいです。
高音質を楽しみたいけど「NW-WM1AM2」までは手が出せない・・・という方はNW-ZX707に、好みの音のイヤホン・ヘッドホンを組み合わせるのも大いにありだと思います。
ぜひNW-ZX707で、いい音のある生活を過ごしてみてはいかかでしょうか? 2023.01.11 (もあ)