2023.06.26
Joshin 試用レポート
ついにフルサイズになった!レンズ交換式のVlogカメラ ソニー『VLOGCAM™ ZV-E1』をレビュー!
ソニー デジタルカメラ「VLOGCAM ZV-E1」ズームレンズキット
日常をカンタン、キレイに撮影できるソニーのVlogカメラ「VLOGCAM」シリーズに、初のフルサイズセンサー搭載モデル『ZV-E1』が登場!
高性能AFや強力な手振れ補正、大容量バッテリーなど、ミラーレス一眼カメラα7シリーズで採用されている機能を多く搭載した、現在(※2023年6月)発売中のVlogカメラで最高峰のモデルです。
早速、交換用レンズも用意して撮影に行ってきました!ライター:もあ
35mmフルサイズセンサーを搭載した「VLOGCAM ZV-E1」
「Vlog(ブイログ)」とは、VideoとBlogをかけ合わせた言葉で、ライフスタイルや自分の好きなものを自由に動画で表現し、発信するもの。
ソニーの『VLOGCAM』シリーズはVlog撮影に特化したカメラで、ピント合わせや明るさの調整、背景のぼかしなどがワンタッチで行え、誰でもカンタンに印象的な映像を撮影できます。
ワイドズームレンズの採用やレンズ交換式になったりと、様々な進化を遂げてきたVLOGCAMですが、この度ついにフルサイズ機『ZV-E1』が登場しました!
ZV-E1は、片手で持てるコンパクトサイズに、ソニーのミラーレス一眼カメラ「α7シリーズ」でも採用されている35mmフルサイズCMOSセンサーと最新の画像処理エンジンを搭載。
他のVLOGCAMシリーズの1.0型センサー・APS-Cセンサーよりも、さらに忠実な色彩再現やノイズ・歪みの抑制が実現し、カンタンな操作はそのままに妥協のない高画質撮影ができるモデルです。
「ZV-E10」との違いをチェック
ZV-E1 | ZV-E10 | |
---|---|---|
本体サイズ(約)グリップからモニターまで | 幅121.0×高さ71.9×奥行54.3mm | 幅115.2×高さ64.2×奥行44.8mm |
質量(本体のみ) | 約399g | 約299g |
バッテリー | NP-FZ100 | NP-FW50 |
センサーサイズ | 35mmフルサイズ (35.6 x 23.8 mm) | APS-Cサイズ (23.5 x 15.6 mm) |
画像処理エンジン | BIONZ XR | BIONZ X |
有効画素数 | 静止画時:最大約1210万画素 動画時:最大約1010万画素※ ※ 手ブレ補正設定がスタンダードまたは切の場合 |
約2420万画素 |
ISO感度 | 標準:80〜102400、拡張:40〜409600 ※ 下限ISO 40は静止画時のみ |
標準:100〜32000、拡張:50〜51200 |
手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 | [静止画] 交換レンズ側対応 [動画] 交換レンズ側対応 (スタンダード時)/電子式 (アクティブ時) |
連続撮影速度 | Hi+: 最高約10コマ/秒 | Hi+時:最高約11コマ/秒、Hi時:最高約8コマ/秒、Mid時:最高約6コマ/秒、Lo時:最高約3コマ/秒 |
内蔵マイク | インテリジェント3カプセルマイク | 指向性3カプセルマイク |
同じくレンズ交換式のVLOGCAM「ZV-E10」と並べて、外観やスペックをチェックします。
サイズはZV-E10と比べると大きくなりましたが、αシリーズ最軽量の「α7C」より小型・軽量で、フルサイズ機の中では圧倒的にコンパクトです。
外観とボタン配置はZV-E10によく似ていますが、電源レバーの位置が変わり、静止画/動画/S&Qの切り替えはスイッチになりました。
個人的にZV-E10を使ったときに、ボタンだと静止画と動画のどちらで撮影しているのかイマイチ分かりにくいのが気になっていたので、切り替えスイッチでひとめで分かるようになったのは嬉しいです。
フルサイズセンサーに、膨大なデータを高速で処理する画像処理エンジン「BIONZ XR」、強力な手振れ補正、最新の高容量バッテリー「NP-FZ100」の採用など、スペックは「α7R V」にそっくり。
さすがに有効画素数は敵いませんが、α7シリーズの性能が片手で軽々持てるサイズに詰まっていて、これまでのVLOGCAMとは全く別物のモデルのようです。ZV-E10から大きく跳ね上がった価格帯にも納得ですね。
強いて言うなら、カードスロットがシングルのためバックアップが取れない不安が残る・・・ここもα7R Vと同じくダブルスロットがよかったなと思うところです。
内蔵マイクは、高い集音性能を持ち主役の声が際立つ「インテリジェント3カプセルマイク」を搭載しています。
ZV-E10は指向性の切り換え・選択が不可でしたが、ZV-E1では収音する方向に合わせてオート、前方、全方位、後方の4タイプから選択可能!
自撮りのときは[前方]、街の様子などを話しながら撮影する場合には[後方]など、撮影シーンに合わせてマニュアルで設定ができます。
外観と操作性
カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色。
どちらもVLOGCAMシリーズではお馴染みのカラーですが、ホワイトはソニーのフルサイズ機では初めてです。
天面のマイク部を覆うように付けると風切り音を抑えられる"モフモフ"(ウインドスクリーン)も、同色のものが付属。
ZV-E10ホワイトカラーのレンズキットに付属していたレンズ(SELP1650)はシルバーでしたが、ZV-E1ではブラック/ホワイトどちらも同じブラックのレンズ(SEL2860)になっています。
セット内容 | 本体、レンズ「FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860)」、リチャージャブルバッテリーパックNP-FZ100、ウインドスクリーン、ウインドスクリーンアダプター、ショルダーストラップ、ボディキャップ、シューキャップ、スタートガイド、保証書 |
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天面にシャッターボタン、ズームレバー、動画撮影ボタン、背景ボケの切り替えボタン、静止画/動画/S&Qの切り替えスイッチなどが配置。
本体サイズがアップしたのと、電源のオン/オフがレバー切り替えになったため、ZV-E10と比べるとボタン配置は少し広々とした印象です。
左側面のカバーを開くと、充電端子(USB Type-C)やマイク・ヘッドホン端子、カードスロットがあり、底面にはバッテリーが収納されています。
付属のバッテリー「NP-FZ100」は、ZV-E10で使用していたNP-FW50の約2倍の容量を持っていて、最大約140分の連続動画撮影、約570枚の静止画撮影が可能※です。
バッテリーを充電するACアダプターは付属していないので、こちらよりご用意ください。
※ 使用方法によって時間や枚数は減少する場合があります
タッチモニターで直感的に操作できる
背面モニターは、オープン角約176°、チルト角約270°の自撮りや多様なアングルでの撮影に対応するバリアングル仕様。
AIを活用した「リアルタイムトラッキング」を搭載し、狙いたい被写体を指定してシャッターボタンを半押しするだけで、カメラまかせで自動追尾ができるため、撮影者は構図に集中できます。
また「タッチトラッキング」を設定しておけば、狙いたい被写体をモニター上でタッチするだけで追尾できます。
撮影モードの切り替えや、F値、ISO感度、露出補正などは、モニター越しに被写体を見ながらタッチまたはダイヤルで設定可能。
動画撮影時はモニターに赤枠が表示されるので分かりやすく、録画ボタンを押せていなかった!というトラブルは起こりにくいですよ。
天面のボタンから瞬時に背景のボケ感を切り替えたり、商品に素早くピントを合わせるモードなど、Vlog撮影であったらうれしい機能がたくさん搭載されています。
中でも自撮りに欠かせない「美肌効果」は、逆光などで周囲の明るさが変わりやすい屋外でも、いきいきとした明るい肌をキープできて感動しました。
美肌効果はOFF/LO/MID/HIの4つから選択でき、1番効果の高いHIで撮影すると毛穴やくすみがどこかに消えてツルツル美肌に。
「AIみたい!現実の肌を見たくなくなる!」とスタッフの間で大盛り上がりでした。
肌の色調整だけでなく、顔の小じわやシミも目立たないよう自動で補正してくれるので、撮影後に肌をキレイに見せる加工や編集はほとんどしなくて済みそうです。これはありがたい・・・!
撮影の幅が広がる交換レンズ
フルサイズ用のソニーEマウントレンズは、美しいボケ感を表現できる「G Master」シリーズを筆頭にとても種類が豊富。
動画・静止画撮影のどちらでも、レンズを交換することでさらにZV-E1の魅力を引き出せます。
今回お借りしたのは、
・標準ズームレンズ FE 20-70mm F4 G(SEL2070G)
・広角単焦点レンズ FE 24mm F1.4 GM(SEL24F14GM)
・広角パワーズームレンズ FE PZ 16-35mm F4 G(SELP1635G)の3本。
今回のレポートでは、近接から少し遠くのものまでほとんどが満足に撮れる「SEL2070G」の出番が特に多かったように思います。
接写をしたときの背景のボケ感は「SEL24F14GM」がとても滑らかで美しく、動画撮影では安定したズームと細かな画角調整ができる「SELP1635G」が使いやすかったです。
本体がコンパクトなので大きなレンズはアンバランスではと思いましたが、今回使ったレンズはどれも片手でも撮影できるほど小型・軽量で、グリップを使っての歩き撮りも安定していました。
強力な手ブレ補正「ダイナミックアクティブモード」
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ZV-E10の手振れ補正「アクティブモード」もかなりブレを抑えていましたが、ZV-E1ではもう一段階上の強力な手振れ補正「ダイナミックアクティブモード」が搭載しています。
ダイナミックアクティブモードは電子式手ブレ補正機能と光学式5軸ボディ内手ブレ補正を併用することで、アクティブモードより約30%※もの手振れ補正を実現したモード。
※ 「α7S III」搭載のアクティブモードとの比較において。ソニー内部測定実際にZV-E10と一緒に持って(ジンバルを使用)歩いたり階段を上った様子を動画撮影してみましたが、ブレ方が全然違います!
特に階段はどうしても細かな縦揺れが気になるのですが、ダイナミックアクティブモードはとても滑らかで安定していました。
手振れ補正をかけることで画角は少し狭く切り取られますが、広角レンズがあればカバーできます。
AIを使った高い被写体認識性能
「α7R V」などで採用している、AIプロセッシングユニット搭載により被写体認識性能が大幅に向上。
瞳はもちろん人間の胴体や頭部の位置も認識できるようになり、帽子+サングラス+マスクといったほとんど顔の見えない姿や、横顔、後ろ向きでも正確に捉えられます。
手動で設定できる認識対象も、人間と動物に加えて鳥、昆虫、車/列車、飛行機と幅広くなって、ほとんどの被写体のピント合わせはZV-E1に任せて大丈夫そうです。
AIプロセッシングユニット搭載による高い被写体認識性能で、面白いと思ったのが「オートフレーミング」。
動画撮影時にクロップ枠で構図を決めておけば、カメラを動かさなくても自動で一定の画角で撮り続けるもので、上の画像3枚目のようにぬいぐるみが移動しても、常に囲われた画角で中央に被写体が来るよう録画できています。
歩きながらの自撮りや、背景よりも人物・動物を中心に撮影したいときに使えそうです。
印象的な画を作る「シネマティックVlog」
「シネマティックVlog」はシーンに合わせてLook(ルック)とMood(ムード)を選択するだけで、誰でもカンタンに映画のワンシーンのような印象的な映像が撮影できる機能。
コントラストと彩度を変えて映像の仕上がりの雰囲気を選択するLookが5種類、映像の中で強調したい色を選ぶMoodが4種類あり、2つのかけ合わせで日常を特別に演出できます。
仕上がった映像は上下に黒色の帯が付き、映画で使われるシネマスコープサイズ(アスペクト比 2.35:1)になるため、雰囲気もバッチリ!
実際に撮影してみると、肉眼で見るのと雰囲気は変わるけれど仕上がりはとても自然です。
重厚感をプラスしたりノスタルジックな色合いに仕上げたりと、同じシーンでも設定によって雰囲気が全く異なるので、Vlogはいつも同じような仕上がりになりがち・・・と悩む心配はなさそう。
画面越しに風景を見ながらタッチ操作で直感的に色を変えていくだけなので、表現したいと思った映像を作るのが本当にカンタンで、撮影がとても楽しかったです。
自撮りをするなら別売の「シューティンググリップ」が便利
自撮りをよくするなら、別売のワイヤレスリモートコマンダー機能付き「シューティンググリップ」を用意しましょう!
ダイナミックアクティブモードを使えば手持ちでもブレの少ない滑らかな映像が撮れますが、グリップの高いホールド感により安定感が増し、自撮りと外向き撮影の切り替えや細かな画角変更がとてもスムーズです。
Bluetooth接続すればグリップを持ったまま親指1つでカンタンに手持ち撮影ができ、カメラにセットせず遠隔でリモコンとして使うこともできます。
グリップの脚を開けばミニ三脚にもなります。
前方を支える脚が太いためかすごく安定感があり、付属のレンズ装着時には屋外で多少風が吹いてもビクともしません。
一定時間画角を固定するタイムラプス動画や、料理動画など手元を映す撮影に重宝します。
作例
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ZV-E1のポイントとシャッター音、実際に撮影した映像をまとめました。
屋外の撮影は音声も入れていますが、風が強い日だったのに風の音はキレイにカットされて、鳥の鳴き声が際立っています。
少し遠くにいる動物にもしっかりピントが合い、動画撮影でありがちな一瞬ピントが外れてボヤっとしてしまうことはほとんどありませんでした。フルサイズ機なだけあって、静止画撮影でも物足りなさは感じません。
風景や被写体を際立たせる美しいボケ感など、カンタンな設定で思い通りに表現できましたよ。
まとめ
筆者は普段Vlogを撮ることがあまりなく何を撮れば・・・?と悩みましたが、普段よく見る何気ない光景も色味の変更や「シネマティックVlog」で特別感のある映像に仕上がり、日常を自分なりに表現するVlogの面白さにすっかりハマりました。
これまで『VLOGCAM』は、スマホ撮影からワンランクアップしたい方の入門機、または持ち歩き用のサブ機という印象があったのですが、フルサイズセンサーを搭載した『ZV-E1』の性能はメイン機で使うのにも充分すぎるほど。
特にAIプロセッシングユニット搭載により向上した被写体認識性能は、この小型サイズでここまで正確に被写体を捉えるカメラはないのではと驚きました。
カンタン操作でプロのようなハイクオリティな映像を作りたい、Vlog撮影をもっとこだわりたい方におすすめです。
ぜひ様々なシチュエーションを、ZV-E1で自分なりに表現してみてください。 2023.06.26 (もあ)