

生地の森は、「生地の森らしい」とか「他にはない風合いが好き」また「他の店と比べると値段が高い」とさまざまなご意見やご感想をいただきます。そこで、皆さまにより親しみと関心を持っていただくために、生地の森のオリジナル生地誕生における秘話や、生地作りにまつわる裏側を全5回に通してご紹介していきます。
第3回 まるでデニムのような表面変化が可能な「リュードバック加工」
- 古着ブームに着目
- まるでデニムのような表面変化が可能な「リュードバック加工」
- 色落ち文化の火付け役・リュードバック加工から派生した「リュードバックハーフ加工」
古着ブームに着目
アパレルデザイナーさんの「もっと、表面が汚くて綿カスがいっぱい浮き出てるような生地はないの?」
という声から、始まった無骨ともいえる素朴な生地作り。
そんな生地作りを始めて、世の中に認められた「11号帆布ヴィンテージ」。
それから数年。
新たなテーマとなったのが、
「洗うたびに色落ちの変化を感じたい。」
「使い込むことでもっとユーズド感を出したい。」
そんな生地を作ることでした。
なぜならその頃、若い世代を中心に古着ブームが起こり、生地の色落ちを自分流に育てようとする新たなファッション文化が芽生えていたからです。
当時、色落ちを楽しもうとすればデニムに専売特許があるような状況でしたが、ファッションの先端をゆく人々からは「デニム以外のアイテムでも、色落ちを楽しみたい」というニーズが高まりはじめます。
そんな経緯もあり、もっと目に見える変化を迎えられる生地を目指し、染工場の職人さんとの生地作りが始まりました。

まるでデニムのような表面変化が可能な
「リュードバック加工」
いくつもの試作を重ねて行き着いたのが、藍染などにも用いられる硫化染料を使用することでした。
この染料を使い繰り返し染色をしていくと、色に深みが増し発色の良い生地が出来上がります。
この発色の良い生地が、洗うことでデニムのように色がフェードしていくため、洗えば洗うほど「こなれ感」が出てくるのです。
こうして今までデニムでしか味わえなかったフェード感を他の生地でも実現できるように開発して誕生した染色方法がリュードバック加工(Rudeback®)です。
リュードバックという言葉には、「粗野に返る」「粗々しく戻る」という意味が込められています。
主にジャケットやパンツなどカジュアルなファッションアイテムに用いられるようになりました。

色落ち文化の火付け役・リュードバック加工から派生した
「リュードバックハーフ加工」
さらに、2000年を過ぎた辺りから、「アイテムの色落ちを自分流に育てる」文化から、
次第に「新品からすでに色落ちのこなれ感」が求められるようになってきます。
当時、色落ちしたような表情をプリントの柄によって表現した色落ち風の生地がすでに出回っておりました。
しかし私たちがこだわったのは、見た目だけの”風”ではなく、”本物の色落ち”。
そこで、前述の「リュードバック加工」の初期段階から色落ちに育てる長期の工程を半分まで近づける発想で開発したのが、「リュードバックハーフ加工(Rudeback® Half)」です。
リュードバックハーフ加工は、リュードバック加工仕上げで、鮮明な色のフラットな状態の生地を作ってから、専用の機械で色を洗い落とし仕上げています。

しかし、色を洗い落とすと言っても決してハードな色落ちではありません。
ふっくらと肌に馴染む、上品かつ繊細な表情のある風合いに仕上げている所が特長です。
また、このように染色した生地を、ある程度こなれた風合いにすることで経年変化がよりしやすいという工夫もされております。
そのリュードバックハーフ加工の代表作となったのが「アンティーク風ラミーリネン」。

ふっくらと弾力のある柔らかさのあるアンティーク風ラミーリネンは、リュードバックハーフ加工により、
初めからどことなく古服感が感じられる、そんな仕上がりになっています。
さらに洗いを重ねくことで、徐々に素朴な風合い・粗野感へと経年変化を迎えていきます。
また、アンティーク風ラミーリネンは、生地を縫製し製品の状態にしてから洗い加工を施すことで、絶妙な
色落ち感でユーズド感覚を表現させる素材として考案したリネン生地です。

リューバックハーフ加工は、さまざまな生地に用いられており、素材や織りの違いによって色々な表情の
風合いを生み出しております。
リュードバックハーフ加工
を用いた生地
風合いのある生地が徐々に変化して出てくる「こなれ感」。その変化していく様も楽しんでいただけたら幸いです。
生地の森である理由(全5回)
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第1回 老舗染職人によって生み出された生地
世の中にはない風合いの生地を老舗染職人によって生み出していくきっかけになったお話
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第2回 生地の森 はじめてのオリジナル生地「ヴィンテージ (Vintage)」
綿の風合いを最大限活かし、ヴィンテージ感を楽しむ「ヴィンテージ加工」
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第3回 まるでデニムのような表面変化が可能な「リュードバック加工(Rudeback®)」
まるでデニムのような表面変化を楽しむ「リュードバック加工」
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第4回 さらにリアルな古着感を追求した「ダメージダイド&ウォッシュ (ddw®)」
リアルなシワや、染めのムラ、よりリアルな古着感を楽しむ「ダメージダイド&ウォッシュ加工」
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第5回 イノベーションが生み出した唯一無二の表情「ナチュラルダイド (natural dyed)」
リネン生地の持つふっくらしなやかな柔らかさを引き出す独自の製法「ナチュラルダイド加工」