garoh coat 01 山口 浩久の場合

2023S/Sシーズンよりスタートしたguji初のプライベートレーベル"garoh(画廊/がろう)"。

「ニュークラシック」をコンセプトに掲げ、既存のクラシックとは違った新たな価値を生み出す上で共に取り組んで頂いたクリエイターの方にインタビューし、それぞれの思いを語っていただく連続対談企画、第六弾はJoshua Ellis(ジョシュア・エリス)のセールスディレクター山口 浩久氏にご登場いただきます。

"garoh coat 01"について、様々なことを伺いました。

モードのエッセンスをどう取り入れるか

ーgarohが掲げる「ニュークラシック」というコンセプトについてどう思われますか?

山口 浩久氏(以下山口氏):非常に面白いと思います。
クラシックとモードは互いに行き来するものだと思いますが、その中でスタイルの軸をどう捉えるか。 クラシックだけでは新鮮味に欠けますし、モードすぎると研ぎ澄まされ過ぎて安心感に欠けます。

そこをgujiさんならではの視点でミックスされる企画だと思いますので、クラシックをベースにしながらどの様にモードのエッセンスを取り入れるか、それがポイントではないのかなと思います。
オリジナリティのある企画ですよね。

gujiバイヤーマネージャー高階(以下高階):ありがとうございます。
山口さんにはla favola(ラ ファーヴォラ)のデザイナーである平氏との協業で参加いただき、生地の選定をお願いしました。

今回のアイテムはコートなんですが、生地について教えて頂けませんか?

山口氏:今回は600g/mのメルトンを用意したんですが、実は一番初めに浮かんだのはカシミア100%だったんですよ。
英国の中でカシミア100%のコート生地を作っているところはおそらくJoshua Ellisくらいだと思うんです。

なのでそれが一番・・・なんですが、今回平さんと協業するということでそれ以外の生地、カシミアと対極にあるものかもしれませんがメルトン生地を選びました。

ring大阪店長葭(以下葭):しっかりと縮絨がかけられたメルトンもブランドを代表する素材ですよね。

山口氏:長い時間縮絨をかけて生地の厚みを出していく、工場からすると極めて非効率的なことで、ひとつの工程にとても時間がかかってしまい、結果それが価格にも反映されてしまうわけなんですが、600g/mとか800g/mの生地って今の世の中に凄く少ないじゃないですか。
そういう本格的なメルトン生地を提案するのがベストだと思ったんです。

Joshua Ellisとやるということは、やっぱりカシミアやメルトンのような、Joshua Ellisを代表するアイコン的な生地を使用する必要があると思うんです。
それをクリエーターの方が、今回は平さんですが、上手く料理してくれたら良いな・・・と。

葭:平さんのこと、la favolaのことも考えられて?

山口氏:確かla favolaはイタリア語で“物語”という意味だったと思うんですが、彼自身はブリティッシュとかアメリカンとか、スポーツなどのエッセンスを上手くまとめて洋服を着ているので、ある種独特なセンスを持っていますよね。スニーカーなんか大好きじゃないですか。

その彼がクラシックをベースに自分が良いと思えるシルエットを作っていく中、それにはどんなディテールが必要で、不要で、どういう生地が相性が良いかな・・・と考えた時に、カシミアも良いと思ったんですが、もう一つ提案できるとするならメルトン生地が良いかなと。

高階:以前山口さんがおっしゃられていた「イギリス生地は言う事を聞く」というのもあるんですか?

山口氏:生地の場合はそれが仕上りではなく、最終的にできる物があるじゃないですか?
できる物に対してどういう素材が相応しいか?という選定が一番大事だと思うんです。
なので形をきちんと出す、その為にもキチッとした打ち込みで縮絨されたメルトン素材で、曲げたい時にはきっちりアイロンで曲がってくれて形が出やすいということで、この生地が良かったのかなと。

ちなみに生地だけでいうと、これは超クラシックですよ。超クラシック。
ただ、ピーコートというアイテムもクラシックじゃないですか?でもデザインのエッセンスとシルエットの加減でそれがモードに見えるわけですよね。
先ほど言ったようなモードとクラシックは行き来しているということの現れで、平さんの場合は彼自身の得意とする、自分なりのアイディアや特徴的なディテールをより表現するのに相応しい生地ではないでしょうか。

こんな肩線が後ろに流れているピーコートなんて

ーアイテムの仕上がりをご覧になられた感想を教えてもらえませんか?

山口氏:ピーコートやダッフルコートって作り方がサルトリアルとは全然違うわけですよね。
ミリタリーでいうところの海軍の制服、甲板に立っている船員が防寒用に身に着けているコート。
そこにメンズの、イタリアの仕立てのエッセンスを入れた所が平さんらしいですよね。

プロダクトアウトされたアメリカやイギリスのピーコートとは肩線の出し方やシルエットなど全く違うわけで、こんな肩線が後ろに流れているピーコートなんて、世の中に本当にないと思いますよ。
モードだけどクラシックなディテールをキチッと入れて提案している、おそらくはla favolaのハウススタイルなんじゃないですかね。

高階:平さんが言っていたんですが、コートなんですけどイメージはジャケット。
ピージャケット的なイメージでシルエットはジャケットに近いようなもので考えられたそうです。

山口氏:海軍や陸軍の制服的なものをより立体的に。
イタリアの物の考え方、平さんの物の考え方、縫製を上手くくっつけて作っている感じですよね。
イタリアンテーラーのノウハウで有効に使える部分を取り入れているという意味で、平さんの十八番じゃないですかね。

高階:山口さん的にはこのコートのデザインと生地のマッチングはどう思われますか?

山口氏:めちゃくちゃマッチしていると思いますよ。

やっぱり前の襟のロールなんかは柔らかい生地だとすぐにペタッとなりますし厚い生地だと反りも悪くなり、ラペルも曲がってきます。
こういったアイテムの一番のポイントは襟がキチッと立つか立たないかなんです。

葭:実際平さんも襟とロールの部分に凄くこだわったと仰っていました。

山口氏:それはもう絶対に大事で、コートの見た目は首周りと肩周り、襟周りで決まるじゃないですか。
Joshua Ellisのメルトンは硬くて動かないので、アイロンで形を作りやすいんです。これが柔らかい生地だと全くの別物になっちゃいますね。

なので、オーセンティックな生地にモダンテーラリングが融合し、平さん独特の価値観が込められた一着だと思いますよ。

敢えてスーツに

ーこのコートをご覧頂いて、どの様な着こなしが良さそうですか?。

山口氏:逆にスーツに合わせるのも良いかもしれませんね。

ジャストサイズのアウターに慣れていて、それに自分自身物足りないな・・・というところもあるので、敢えてスーツに合わせるのも良いと思いますし、他にはフレアやストレート気味のパンツ、スニーカーに合わせるのも良いですね。

高階:平さんってそんなスタイリングのイメージがありますね。

山口氏:やっぱり平さんが作るものなんで、平さんのスタイルなんですよ。

葭:今後garohで取り組みをするなら、どの様な物が考えられますか?

山口氏:値段は高くなりますが、やっぱりJoshua Ellisでは十八番のカシミア100%のコート地とか、あとはキャメルヘアー100%のコート地ですかね。
640g/mのキャメルヘアーの生地は皆さんポロコートやアルスターコートなどの仕立てでご愛顧頂き、カシミアはやっぱりチェスターですかね、多くお仕立て頂いています。
そういったオーセンティックな素材、やっぱりJoshua Ellisは生地の会社なので、生地としてJoshua Ellisらしいものと考えるとその辺りになりますね。

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