竹の性質と加工

竹の性質と加工では、継続利用可能な唯一の天然資源である竹の性質と、加工の方法をご紹介します。

変幻自在の竹

竹は草でもなく木でもなく、独自の性質を持つ「竹」そのものです。変幻自在の顔を持つ無限の可能性を秘めた竹。たった一本の真っ直ぐな竹を、割る・剥ぐ・曲げる・編むなど職人の手を経て様々に形を変えることで、衣食住を問わず私達の暮らしに寄り添ってくれています。また竹の空洞で節がある構造を利用したり、竹根、葉、枝など余すところない竹を活用することで可能性は無限に広がります。今回は、そんな竹ならではの性質と加工についてご紹介します。

竹を割る 割り加工,ナタ,青竹踏み

竹割り

竹を割った性格と言われるように、竹は割り目を入れると繊維に沿って勢いよく割れます。竹割りは、竹細工に加工する上で基本の工程です。竹の種類によって割りやすさが大きく異なります。虎竹のような淡竹(はちく)は比較的固く粘りがなく肉厚も薄いので割りやすいですが、真竹は粘りがあるため少し割りにくいのです。

竹を剥ぐ

竹を剥ぐ

竹ざるや竹籠を編むために必要な竹ヒゴを作るには、割竹から更に竹を剥ぐ作業が求められます。竹はただ剥いだだけでは厚みも均等にはなりません。「裏すき」「薄剥ぎ」をしながらヒゴの厚みをそろえていきます。 熟練の職人さんになると、手の感覚だけで剥いだ竹の厚みがどれくらいか分かるようになるのです。剥ぎだけでいかに出来るだけ希望の厚みに揃えられるかが職人の腕の差です。

道具,職人

竹の剥ぎ方

竹の剥ぎ方は、竹割り包丁の刃の部分で割り込みを入れ、根元部分のとがった金具部分で剥いで行く方法があります。刃物部分で剥ぐと、刃の部分が竹の身の部分に食い込んだり、ひっかかったりして剥ぎにくいためです。しかしこの方法は主に九州地方でやられている手法で、産地によってナイフで剥いだり、根元部分の金具のついていないナタでそのまま剥いでいる職人さんもいらっしゃいます。

竹,火曲げ 雪,竹林

しなやかで折れない竹

破竹の勢いと言うように最初の一節を割ると竹は一気に割れていきますが、一方で簡単には折れないしなやかさを持つ剛柔合わせた植物です。強風や雪にも折れることなく、一年中青々としていることから竹は生命力を象徴する縁起の良いともされています。

竹をまっすぐに矯正する

矯め直し,虎竹,真竹

熱による竹の矯め直し(矯正)

伐採された竹は実は1本として真っ直ぐなものはありません。油抜き後の熱を利用して竹の曲がりを一本一本矯正していきます。この「矯め直し」 という竹の矯正作業がないと、真っ直ぐな竹を利用した竹細工はできません。竹は熱を加えると繊維が柔らかくなるので、この状態の時を利用して矯め直し作業は行われます。矯め木と呼ばれる穴の開いた木に竹を差し込み、曲がりのある部分を一節ずつ押し曲げながら、竹を真っ直ぐにしていきます。

  • 【動画】虎斑竹の油抜き~矯め直し

  • 【動画】この道一筋、古老の技が冴える真竹の矯め直し

【よみもの】油抜きや矯め直しについて更に詳しくご紹介しています。

  • 虎竹の油抜き,矯め直し
  • 真竹や孟宗竹の油抜き,矯め直し
竹,焼き曲げ

熱を加えて曲げる

竹ヒゴや割り竹などの竹を曲げる場合にも、熱を加えて繊維を柔らかくてから曲げていきます。丸竹の場合には火を入れをしてもあまり急な曲がりは付けられませんが、割り竹なら折れにくいので、曲げ角度を大きくすることができます。

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角物と呼ばれる竹籠

ただ単純に曲げるだけなら比較的簡単ではありますが、角物と呼ばれるランチボックスやピクニックバスケット、豆腐籠のような、上下の枠や蓋などの大きさや角度が正確に合うようキッチリと揃えなければならない細工には、非常に高い技術が要求されます。

  • 白竹三段ピクニックバスケット
  • 白竹三段ピクニックバスケット

    3段とも正確な直角に曲げられたお弁当箱は、まさに角物細工の王道です。三段がきっちりと合うようになっているのは、それぞれの段を一緒に編んだ後にノコギリで切っているから。

    製造の様子は、こちらの動画で詳しくご紹介しています。

    詳細はこちら

竹ヒゴ 竹,ヒゴとり

ヒゴ取り

竹を割って剥いだ後、ヒゴ取りと竹編みを経てようやく竹細工ができあがります。竹ヒゴと言っても、ヒゴの用途によって過程は様々です。必要な幅に均等に揃える「竹割り」、厚みを整える「剥ぎ」、ヒゴ幅をあわせる「幅引き」、触りを滑らかにする「面取り」など、細やかな作業があります。

二人がかりで竹ヒゴを取る廻栖野の竹細工

平成23年12月19日に大分市指定無形文化財に指定された「廻栖野(めぐすの)の竹細工技術」は、昔からこの地域に伝承されてきた青物細工です。主に編まれるものはマンゴク(万石)、コエジョウケ(肥ざる)、イナリグチ(稲荷口)、コメアゲ(米揚げ)。一人が竹包丁をあてがい、一人が歩いて引きながらヒゴ取をするという二人一組となって協力しながら長い竹ヒゴを作る方法は、廻栖野でしか見られない独特のものです。

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竹を編む

竹籠や竹ざるには昔から多くの竹編みが使われてきました。ゴザ目編みや四ツ目編み、亀甲編みなど竹の編み方は数えきれないほどです。竹の編み方ひとつで竹細工の機能性や表情は大きく変わってきます。

竹編み,職人

職人の早業

竹細工の歴史は長く、竹編みを、いつの時代に誰が始めたかは明確にはなっていません。職人のセンスや遊び心からふと生まれた竹の編み方もあるかもしれません。しかし、竹細工を生業とする職人にとって竹籠作りはスピード勝負の世界でもありました。手の早さを競いあいながら、竹は無駄がはぶかれ、磨かれてきたのです。

  • 【動画】スピードにこだわり続けてきた竹編みの奥義!

  • 【動画】昔ながらの竹細工職人が、手と足を使って編む!

根から葉まで竹をくまなく活用

竹は棹、根、枝葉と先端から根っこまで無駄になるところが一切ありません。竹は驚異的な成長スピードだけなく、素材そのものが持つ力も本当に素晴らしいのです。

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竹の空洞と節

竹がしなやかで折れない理由のひとつに空洞と竹節の関係が挙げられます。棹が空洞ゆえに軽くしなりを保ち、節があることで強度と粘りが備わるのです。地面に近い元の部分ほど節が多く節間は短くなり、先に行くにしたがって節間は長くなっています。竹の縁起の良さとあわせて節があることで、大切な方の節目に贈るギフトとしても重宝されています。

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天然竹そのままの形

竹の形は丸いものばかりではありません。円形に近い物もありますが、楕円形になったものもあります。自然そのままの竹は、ひとつひとつ太さや形、厚みが異なるため、商品の仕上がりも個性豊かです。

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地震の時は竹藪に逃げろ

竹根は地下茎と呼び、根っこ同士で繋がっています。天然の鉄筋コンクリートと言われるように縦横無尽に根が地下を張り巡っているため昔から「地震の時には竹藪に逃げろ」と言われる程です。太い部分から細くヒゲのように根が沢山伸びており、根だけでも竹の強い生命力を感じさせます。

竹根,杖,竹根茶碗

竹根の杖

竹根で有名なのはブランドバックの持ち手ですが、昔は杖として多用されていました。チョビ髭がトレードマークの喜劇俳優で有名なチャップリンが持っていたのも、日本製の竹根の杖でした。竹根の元の太い部分は茶碗などの工芸品に使われる事もあります。

黒穂,竹穂

竹枝や竹穂

竹の棹から打ち落とした竹枝や竹穂は垣の飾りなどに活用されています。竹虎の竹垣では主に黒竹の竹穂を用いています。

竹葉,虎竹

香り豊かな竹葉

サラサラと音をたてる竹の葉は沢山あるように見えますが、いざ集めようとすると1本の竹では驚くほど少量しか集められません。摘みたての生葉はすぐに乾燥してしまい干からびたようになります。生しい竹葉は、香り豊かですが湿気から黒ずみやすいため瑞々しい状態のまま保つのは苦労します。

虎竹染め,職人

虎竹染め「虎竹ゴールド」

葉は煮出して染料にします。新鮮な竹葉であればあるほど美しく発色します。日本唯一の虎竹葉の染料は、キラキラ日の光に輝く黄金色「虎竹ゴールド」などと呼ばれる事もあります。

虎竹茶

竹葉のお茶

竹虎では虎竹葉を使った茶葉をお届けしています。虎竹葉の豊かな風味と旨味をギュッと引き出したお茶は、竹ならではの風味をいっぱいに楽しめます。

注目される竹の集成材

竹集成材

竹の集成材は、竹材を無駄なく有効利用するために生まれました。竹の比重はあのナラの木よりも重く、頑丈。更に弾力性があるので曲げ、圧縮強度に優れています。竹がものさし(定規)として使われているように、竹の繊維は一定で、長さに対しての狂いがほとんどないのも特徴です。竹が非常に硬いことから以前は加工の難しい素材とされていましたが、近年では工業技術の進歩によって竹にも集成材としての加工技術を応用することが可能になったのです。

工場

竹集成材は竹材を一定サイズに切断し、割竹にしたあと炭化加工します。それらの竹を何本も機械で固定させ圧着させれば集成材の完成です。竹ならではの自然な色目の違いや節の部分が、そのまま表情として浮き上がります。

竹の性質と加工

竹は捨てるところのない天然資源

竹は3ヶ月程で親竹と同じ大きさに成長し、3~4年で製品へ加工する事のできる生命力の力強い植物です。永続利用が可能な唯一の天然資源と言われる竹は、環境問題が問われる現代では切っても切り離せない新素材だと竹虎は考えています。多様化する人々のライフスタイルや価値観の中で、竹の無限の可能性は、きっとこれから100年後の人々暮らしにも寄り添っていけるのではないでしょうか。だからこそ昔懐かしく、けれど新しい…そんな竹のある暮らしを皆様に提案していきたいのです。