木のおもちゃがりとんは、ヨーロッパの木のおもちゃ、童具館・ネフ社の積木など大人も子どもも楽しめる木製玩具を販売しています。



店頭でもこういった問合せがよくあります。
『積木を考えているんですけど、いい積木は無いですか?』
『積木を持ってはいるのですが、それでは遊びにくくって・・・』
『色付と白木どっちがいいですか?』
こういった問合せの場合の積木は、ネフなどの積木ではなく、四角柱、円柱、
三角柱など単純な形で構成されるオーソドックスな積木のことです。
積木は簡単に一言で片付けることができないほど奥の深い遊び道具なので、
本当は最初に考えていただきたいことが沢山あるのです。

それではがりとん的に一つ一つ考えてみることにしましょう。

1.色のこと。

いわゆるオーソドックスな積木でも【色付のもの】と【白木のもの】、
大きく分けて2種類あります。
積木を購入するとき、子供が積木で遊ぶ時の様子を見て、
もしくは想像して、色の付いていたものの方がかわいいからとか、色のある
ものの方が好きそうだから、という理由で色付の積み木セットを選んで
しまいがちです。確かに色付の方がきれいで、いかにも楽しそうに見えるかも
しれません。でも実際はどうでしょうか?

積木で何を作るか?
お城やお家を作りたい人、動物を作りたい人、乗り物を作りたい人・・・
その人の好みによって作ろうとするものは多種多様だと思います。
多くの色付の積み木セットはよく見ると、同じ形で同じ色のものはそれほど
沢山入っていません。例えば家を作ろうとなった時、『作っているうちに4本の
柱のうち 3本は青が揃えられるけど、残りの1本はどうしても赤になってしまう。』
とか、『動物を作るとき脚の色、体の色がばらばらになってしまい、形を作っても
どうしてもそれに見えない。想像し難い。』ということになってしまいがちです。
それに比べて白木の積木は着色されていないため、どのパーツを持ってきても
必ず同じ《色》で統一させることができます。

別に色付の積み木を否定する訳ではありません。
レゴで遊んだことは無いですか?
すっごく楽しいおもちゃだと思います。少し遊びこまれた方ならお分かりに
なると思いますが、パーツがいつの間にかたくさんになっていったはずです。
具体的に何かを作ろうとしても、いざ作る段階になって色が足りず、それを
完成させるためにパーツを補充する、作れば作るほど、慣れれば慣れるほど
作品は高度になり、その量は増え続ける事になると思います。
それは色付の積み木でも同じことで、各色それぞれにたくさんあれば問題は
無いのです。ただ、それを満足させようと思うと、それこそ大量になり、
相当な場所をとってしまい、大変な金額になってしまうのです。

白木の積木にはさらにいいところがあります。もし直方体1個が赤に塗られて
いた場合、そこから想像できるものは必ずといっていいほど消防車。一度
消防車という言葉が出てしまうと、なかなか他のものが出てこないのです。
同じ形で白木のものを子どもに見せると、電話になったり、リモコンに
なったり、自動車になったり、飛行機になったり・・・。ひとつのパーツでも
いろんなものに変化します。
ここが不思議なんですね。白木の色って何色?茶色?ベージュ?言葉で色の
表現はあるかもしれないけれど、彩色した色でないため子どもの目には
いろんな色にみえるのです。

このように、《作るときのこと》《想像すること》を考えた場合、それらを容易に
できるのは、間違いなく色付の積み木ではなく、白木の積木なのです。

2.形と量のこと。

オーソドックスな積木で《遊ぶ》ということを考える時、色のほかに重要なのが
これからお話しする《形》とその《量》です。
通常よくみられる一般的な積木のセットは四角柱、円柱、三角柱などいろんな
形が少しずつ入ったセットです。この積木で子供に『何か作って』とせがまれ、
セットの箱に印刷されていたお城や動物をとりあえず作ってはみたものの、
『違うもの作って』といわれ、どうしようもなくなってしまったことはないでしょうか?

こういった積木セットで遊んでみると、わかることがあります。 まず同じ形別に
分けてみると、ほとんどの形が数個しかなく、その数個が何種類も集まったセット
なのです。何かを作ろうとした時『もう1個あったら作れるのに』という事になり、
その先に発展できなくなるため、結果《楽しくないもの》になってしまっているような
気がします。


上の写真をご覧ください。
ちょっとしたお城を作ってみました。
この中でどんな形がどのくらいの割合で使われていると思いますか?

では三角柱や円柱などの装飾パーツをはずしてみますね。



もうお気付きとは思いますが、ほとんどが四角柱(立方体、直方体)で
構成されています。



このお城で使用したパーツをすべて並べてみました。
ここで、立方体1個の体積を仮に<1>とした場合、
立方体・直方体:<64>
装飾パーツ:<9>(この内、四角柱に該当するパーツは<4>入っています)
となります。

四角柱で概形を作った後で、より複雑化、具体化させるために円柱や三角柱
などの装飾的なパーツが少しだけ使用しています。
装飾的な西洋の教会も、その芯となるものにはレンガという四角柱が使われ
ているように、物を形作る上で重要な役割をもち、そのほとんどを占めるのが
四角柱なのです。

ですからこれから長い間遊んでいくことを考えた場合、同じ体積の1セットを購入する
のであれば、まずは《立方体》や《直方体》がたくさん入ったセットをお勧めいたします。


遊びが慣れてくるにつれ、どんどん作るものも複雑で大きくなってきます。
積木は本格的に遊びだすと1セットで成立する遊び道具ではありません。
よく《積木は砂場の砂のような存在です。》とお話しています。
作品を作った時は形がありますが、それを壊すともとの砂へと戻ります。
バケツ1杯の砂よりも砂場の砂のほうが楽しいように、積木にも同じことが
いえるのです。
1セットで遊んでいて物足りなくなってきた時は追加してあげましょう。
こうやって少しづつ量も増やしていけばもっともっと楽しくなるはずです。


立方体は、縦、横、高さが同じですので、誰がどういう向きで置いても
同じように見える、基本となる立体です。まずはこの形からはじまります。
次に必要な形はこれを発展させた形、つまり直方体になるのですが、
直方体の大きさを決める場合に、どんな比率の直方体を選べばいいのでしょうか。
まず、ある立方体を基準とし、この立方体を2個と直方体2個を写真のように
合わせたとき、ちょうど同じ形になる直方体をご用意ください。
数字で表すと1辺が立方体1辺と同じ長さ、1辺が立方体1辺の2倍の長さ
1辺が立方体1辺の1/2の長さです。

「まったく違う形だけど2個と2個、くっつけたら同じ形になるよ」
というように最小の数で《関係性の発見》ができるからです。
直方体だけでは《関係性》も《発見》もさほど生まれません。
遊びには必ず《関係性》をもたせる事が大事なのです。
皆さんもぜひ積木遊びからも『あっ!すっごいもの見つけた!』を感じてみて
ください。
時々『直方体(通称レンガ積木?)だけで遊ばせようと思っています。』と
おっしゃる方がいらっしゃいますが、このことからもぜひ立方体を一緒に
ご購入ください。


3.サイズのこと。

がりとんでは30mm基尺の積木と45mm基尺の積木を主に販売しています。
基本的に30mmの積木はテーブルの上で遊ぶ時用、45mmの積木は床の上で
遊ぶ時用とご説明しています。
ただし1歳前後で始めて積木遊びをされる場合は45mmの積木をお勧めして
います。45mmは大きさ的に《握りつかむ》といった大きさで、重さもほど良く
あるため、1個、2個と積みやすくできていますが、30mmの積木の場合
《指でつまむ》といった感じで軽いため、うまく乗せられそうでも、崩れて
しまいがちになるからです。
先ほど《基尺》という言葉が登場しました。あまりなじみの無い言葉ですし、
『基尺って何?』ってことになりますので、ここで基尺について少しご説明
いたします。
基尺(きじゃく)とはその積木の基本となる寸法を意味し、一般的には
積木セットの一番小さい立方体の1辺の長さのことをさします。
その立方体の1辺が30mmなら30mm基尺、45mmなら45mm基尺と呼びます。
良い積木はこの基尺がきっちり考えられており、その基本となる立方体から
《整数倍》と《整数分の1》の関係で構成されています。
この基尺は大変重要で、この関係がきっちりしていると、いろいろ積み重ねて
いっても、三角柱などの例外を除き、いろんな積み方をしても必ず高さが
あってくるため、その上にどんどん積んでいけるのです。

基尺がバラバラですと、積んでいっても微妙にずれが生じ、その結果きっちり
積んでいるのにもかかわらず、崩れてしまう、《関係性》が見出せない、
ということになってしまいます。
ですので積木を増やしていく時は、この基尺を必ず揃えるようにしてください。

4.面取りのこと。

積木には【面取りのあるもの】と【面取りの無いもの】とあります。

この2つの写真は2枚とも同じように並べてみましたが、
左が【面取りのある積み木】、右が【面取りの無い積木】です。
面取りのある積み木は、面取りしてあるがために何かを作ろうとすると、
面取り部に影がはっきりと出てしまい、その結果一体感が出ず、一つの形
として見たてる事が難しくなるのです。それに比べ、面取りの無い積木は
余計な影が出にくく、積み重ねたものをまた別の大きいひとつの形として
見たて易いのです。
これから(ひょっとすると大人まで)長く遊ぶ事を考えると、
積木は《面取りの無いもの》の方が圧倒的に楽しめるのです。

『面取りしていない積み木は危なそうでちょっと不安』などという声も聞かれます。
確かに面取りしてある積み木の方が見た目には優しく見えますが
本当に【面取りのあるもの】は安心なのでしょうか?
【面取りのあるもの】は丸みをおびて一見優しいように見えますが、
【面取りの無いもの】と同じく材質は《木》であり、硬いことには違いありません。
ですので、どちらも投げて人に当たったら怪我をするし、ガラスに当たったら
割れもします。もちろん自分の足に落とせば痛いのです。

以上の4点をご参考に積木をお選びいただけたら、これから長ーく続くで
あろう積木遊びが、よりいっそう楽しいものになると思います。

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