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紐を巻く芯のないコマ、ベーゴマ。
存在は知っていたけど触ったことはない、とか、存在すら知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
ベーゴマは鋳物でできた小さいコマで、通称《床》と呼ばれる土俵の上で誰が最後まで床の上で回っているかを勝負する、競い合うという楽しみがあります。
投げゴマに比べると小さくて紐の巻き方にもちょっとしたコツがいるので、一筋縄ではいかないかもしれませんが、力の入れ具合、紐の引き具合などいろいろ工夫することにより、強く、速く回すことができます。
同じベーゴマでも回す人の技量によって回り方も全く異なるのが、面白いところです。
いざ、回し方!
『そもそもどうやって回すの?普通のコマみたいに軸も芯もないし・・・。』
と思われている方も多いでしょう。
ベーゴマは独特の紐の巻き方がありますのでまずは、その巻き方から。
1.下準備
ベーゴマの紐は一般的なコマの紐と比べると細い紐を使用します。
このままではベーゴマに巻きつけることが出来ないので、下記のように少し紐を加工します。
紐の端から4〜5cmのところに結び目を作り、ぎゅっと締めます。
最終的には好みになると思いますが、特に初めての方はこの結び目は2回作り、結び目の《玉》を大きくしたほうがよいと思います。
次にこの結び目から1cmくらい進んだところに同じ要領でもう1つ結び目の《玉》を作ってください。
これで紐の完成です。
2.巻き方
巻き方は関東と関西で異なっていたり、男巻き、女巻きなど、種類が幾つかあります。
今回はその中でどんな形のベーゴマにも対応できて、比較的巻きやすい通称《女巻き》という方法をご説明いたします。
まず、紐に作った2個の結び目の中心にベーゴマの回る部分(頂点)があたるように紐をセットします。
紐をベーゴマに1周させ、
このとき出来たらぎゅっと締めてください。
ベーゴマの頂点を中心に結び目が2個並んでいますので、この結び目をコマの軸と想定し、くるくるとなるべくきつく巻きつけていきます。
完成です。
●ちょっとしたコツ
ここで、少し巻きづらいなぁ、と感じた方もいるのではないでしょうか。
この紐は最初少しのりがかかっています。
なので、すこしゴワゴワして巻きづらいのです。そんな時はさっと水で洗って使ってみてください。格段に巻きやすくなるはずです。
3.回し方
巻き終わったベーゴマをこのように持ちます。(いろいろあるかと思いますが・・・)
手のひら(正確にはコマの上面)と地面が平行になるように、また、なるべく地面に近いところで、特に手首は使わず前後に振ります。
手のひら(コマの上面)が傾かないように平行に振る練習してみましょう。
常に平行に触れるようになりましたら、振りながら体から一番遠ざかった時(手が体の前に一番遠ざかった時)のタイミングで、ベーゴマを持つ手をそっと放してみてください。
ベーゴマは手の振りの勢いと自重でやや前方にふわっと落ち、回っているはずです。
回りました?
ころころ転がって回らないのは手首をひねっている場合が多いと思います。
初心者なので素直にそっと放すだけにしてください。放すだけですよー。
小細工はコンスタントに回せるようになってからです。
本来は《紐をすっと引く》という言葉がよいのですが、これを実行するとほとんどの人が手首を使って投げてしまいます。手首のスナップを使うとベーゴマが傾いてしまい、その結果、地面に着地したときは回らずに転がってしまうのです。
手を前後に平行に振っている作業の途中で、且つ、一番遠ざかったときベーゴマの持つ手を離すと平行に振っている最中の出来事なので、結果、《紐をすっと引く》という動作につながっているのです。
『えーっ!言葉だけの説明じゃわかんないよー!』
って、そんなあなたに!またまた
コンスタントに回るようになったら、意識して手を放すタイミングで紐を引いてみるなど、いろいろ工夫して、どうすれば強く速く回るのか研究してみましょう。
初めての方は特にですが、通常のコマのように手首を使ってスナップをきかせると回しづらいので、慣れるまでは手首を出来るだけ使わないほうがよいでしょう。
うまく回せるようになったら数人と《床》と呼ばれる土俵上で誰が最後まで回っているかの勝負が出来ます。
4.《床》の作り方
《床》には関東式と関西式の2種類あります。
《関東式床》
・漬物樽の適当なサイズのものを1つ用意します。
※ここでは直径約40cm、高さ約40cmのものを使用しています。
・トラックの荷台に使うの幌など、丈夫な布を用意して樽にかぶせます。
※この時、布はそこそこピンと張りつつ、樽中央部に少しへこみができるようにセットします。ちょうど、ものすごく浅いアリ地獄のような感じです。
・ゴムバンドや荷造り紐などで樽と布をサイドから巻きつけ布を固定します。
・最後にアリ地獄状に窪んだ布の形を整えて完成です。
簡単です。
参考
樽の大きさは自由ですが、樽上部の面積が小さいとそれだけベーゴマを回してのせるのが難しくなるので、大きいほうをお勧めします。
上手くなったら樽のサイズを少しずつ小さくしてみましょう。楽しさも難しさも格段にUPします。
《関西式床》
・これまた適当な大きさの箱を1つ用意します。
※ここでは奥行き36cm×幅52cm×高さ32cmを使用しています。
・ござを1つ用意します。
・ござを2つ折りもしくは3つ折りにして段ボール箱の上にやはり真ん中がへこむような感じに敷きます。
完成です。
どちらもとっても簡単です。
豆知識。
ベーゴマの形は1種類ではなく、いろいろなタイプがあります。
大きいもの、小さいもの、背の高いもの、背の低いもの・・・。
これらの組み合わせでベーゴマに種類があるのですが、一般的に
1.背の高いベーゴマより背の低いベーゴマのほうが強い。
2.小さいベーゴマより、大きいベーゴマのほうが強い。
です。
これは、
背の低いベーゴマは自分より背の高いベーゴマの下に潜り込める為、すくい上げるように弾き飛ばす事が出来るのです。
また、大きいベーゴマは小さいベーゴマより重たい為、弾き飛ばされにくいのです。
これで強いのは一般的にどのようなものなのかが少し整理できたと思います。
がりとんでは9種類のベーゴマを扱っています。
でもこれだけではどうしても限界がすぐにきてしまいます。
その為、勝負の為?コマを削るなど改造までするのです!
『じゃあ低いベーゴマを使おう!』
って思うでしょう。
決して間違いではございません。正解です。
ただ問題が一つ・・・。
背の低いベーゴマは背の高いベーゴマより数段、紐は巻きにくいし回しにくいのです。
やはり強くなるにはひたすら練習あるのみなのです。
回し方を研究する。
改造して世界に一つしかないベーゴマを作る。
色を塗って更にかっこよくする。
強くなる為に自分なりに考えまた加工する。
ここまでくるとベーゴマは創意工夫の遊びともいえるでしょう。
ベーゴマ、面白いですよ。
ぜひぜひ、ご家族で、お友達で、真剣勝負してください。
このページを作るにあたり、
『ゆっくり回すのつまらない〜〜すぐ止まる〜〜』
『何回巻けばいいの〜〜』
『疲れた・・・』
いろいろゴネるのをなんとかうまくなだめながら、協力してくれたわが娘に感謝です。
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