朱半月膳・藤井収|和食器の愉しみ・工芸店ようび

お月見・中秋の名月

 中秋の名月は旧八月十五夜、今年は九月十五日です。お月見は煌々とした月とさまざまなロマンを秘めた文様や物語が思い起こされて、日本に生まれたよろこびを感じる季節でもあります。

 同じ九月なのですが、九月九日は数字のみの重陽なので、本統の重陽の節句は菊の花が咲き始める十月二十一日になります。節句はもともと旧暦のものなのですが、どんどん新暦の季節感に定着し始めてしまっています。少し自然に戻して考えた方が正常なのではないかと思います。

 今年久し振りに出来ました一閑の半月盆の静かな艶の上に、お月様や菊のものたちがよく映えました。ご酒もすすみそうです。

 刷毛目の徳利に少し窯傷があったのに金継してみましたら、秋らしい風雅なものとなりましたので出させていただいてみました。

工芸店ようび 店主 真木
黄交趾豆皿・伏原博之

呉須赤絵花鳥文鉢・土山敬司