

2022.2.2
新生活買い替え応援
春に新調したいおすすめパンツ4選
メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん
メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?
春に新調したいパンツその1 LEVIS
“春に新調したいパンツを4つ選んで解説を”という原稿のオーダー受けた私の頭に、まず浮かんだのはリーバイス501でした。
「ベタだけどいいね!」と思った人は、40代以上かもしれません。
“若者のジーンズ離れ”が叫ばれる時代に青春を過ごした今の30代以下の人は、上の世代がリーバイスに抱く畏怖に近い感情を、もはや持っていません。
でも、春第一弾スペシャルショッピングのターゲットとして、メンズカジュアルの金字塔であるリーバイス501は、やはり外せないのではないかと思います。
リーバイス社が、ポケットのコーナーなどを金属リベットで補強し、インディゴ染めした画期的な作業パンツを発売したのは1873年のこと。
1890年には、そのパンツに「501」のロットナンバーが付けられます。
501は第二次世界大戦後あたりから世界中の若者に受け入れられ、地域も指向性が違うさまざまなストリートスタイルを象徴するアイテムになりました。
1950年代にはアメリカのバイカーズに、ビートジェネレーションに、アイビーに。バイカーズのイギリス版であるロッカーズも501を愛用しました。
1960年代には、イギリスのモッズやスキンヘッズにも愛されます。
そして1970年代以降はスタイルを問わず、老若男女の誰もが、まず手に取るジーンズになりました。
ジーンズの歴史そのものである501は、年代ごとに様々なマイナーチェンジが施されましたが、基本のシルエットやディテールは、約150年前に設計されたそのまま。
すべての人におすすめしたい、キング・オブ・ベーシックアイテムと言えるでしょう。

501をベースにしつつ、1960年代に新開発された「505」もおすすめです。
505は、アイビーの流れを汲み、小ぎれいなファッションを好んだ東海岸のシティボーイをターゲットとして投入された商品でした。
洗練された細身シルエットのため、ローリング・ストーンズやラモーンズのメンバーにも愛用されたモデルです。
同じく501の系譜では、2000年代に登場したスキニーシルエットの「511」もおすすめ。
足にぴったりフィットするほどタイトですが、ストレッチデニムが採用されているので窮屈さはなく、動きやすいのもいいところです。
以上、リーバイスの501と、その系譜上にある2本のジーンズ。
“温故知新派”のあなたに、おすすめです。
LEVIS(リーバイス)
春に新調したいパンツその2 DICKIES
ディッキーズのワークパンツも、今こそ全力でおすすめしたいアイテムです。
1918年に創業したディッキーズは、1923年に労働者向けの作業パンツ「KHAKI」の生産を開始しました。
1967年にはそのKHAKIをベースに開発した、ブランドの新たな主力となるパンツ「874」を発売。爆発的ヒットとなります。
労働現場での動きやすさを確保するため、874のシルエットはゆったりとしたストレート。ワークウェアでありながらファッション性を重視し、上品なセンタープレスが施されているのも大きな特徴です。
874は誕生当初から労働者だけではなく、さまざまなストリートスタイルに取り入れられました。
アメリカのカスタム文化であるホットロッドなカーマニアやバイク乗りに、1980年代以降はアメリカ西海岸から世界中に広まったスケーターに、1990年代以降は同じく西海岸のBボーイの間にも流行が広がり、現在でもストリートウェアの定番として、多くの愛用者がいます。

そんな基本アイテム874と並び、いま激推ししたいのが85283です。
太いシルエットが特徴のディッキーズワークパンツ群の中でもひときわ目立つ、超ワイドシルエットのパンツです。
“ダブルニー”と呼ばれる膝部分の当て布も、85283を特徴づけるディテール。
膝をついての作業でダメージを受けやすい部分を補強するという、本来は至って実用的な目的によるものですが、ワーク感のある着こなしを好む人にとってはたまらないディテールとして知られています。
使われている生地は、8.5オンスの分厚いポリエステルコットン。この分厚い生地が醸し出す“本物感”も、男心をくすぐります。
ディッキーズの基本である874も、その太さがいい味を出しています。
ところがこの85283は、そんな874の存在を霞ませてしまうほど迫力のある太さで、穿けばわかりますが相当なインパクト物件です。
今もトレンドが続くワイドシルエットを極めたいのであれば、大活躍間違いなし。
非常にホットなアイテムと言えるでしょう。
DICKIES(ディッキーズ)
春に新調したいパンツその3 GRAMICCI
グラミチは、1960~70年代にアメリカ・ヨセミテで活躍した伝説的ロッククライマー、マイク・グラハムが、盟友のドン・ラブとともに1982年に創業したブランドです。
グラミチのラインナップの中から春用におすすめしたいのは、ニューナローパンツ、ウェザーNN-PANTS、ルーズテーパードパンツといったロングパンツ。
いずれも、グラミチが一般ユーザー向けに投下した素晴らしいアイテムです。
全体的にスリムで、足先にいくほどさらに細くなるニューナローパンツから、全体的にゆったりとしたルーズテーパードパンツまでさまざまなシルエットが用意されているので、自分の好みに合う一本を探してみてください。
これらのロングパンツはクライミング用ではなく、デイリーユース向けにつくられたアイテムですが、グラミチの真骨頂であるガゼットクロッチ(クライミングで股部分が破けることを防止するマチ)がしっかり施されていたり、伸縮性の高いストレッチ生地が使われていたりするため、履き心地は抜群です。
ほかにもグラミチらしいクライミングパンツ用の構造が随所に採用されている点は特筆に値します。
たとえば、フロントポケットの入り口はサイドのステッチに沿って垂直につけられています。これはもともと、クライミングの際にポケットの中のものを落とさないようにという配慮によって考え出されたデザインです。
バックポケットの入り口は、ボタンではなくベルクロが付けられています。クライミングの際、手袋をした手でもアクセスしやすいようにという配慮によるものです。
本来はクライミングの際に役立つこうしたディテールですが、タウンユースでも使い勝手の良さを実感できるはずです。
フロントポケットに入れていたスマホや鍵、財布などを、椅子に座ったはずみで落としてしまった経験のある人もいるのではないでしょうか。でも、このグラミチパンツの垂直ポケットなら心配はありません。
コンビニで電子決済をしたいと思った際、バックポケットに入れた財布やスマホなどを出そうと思ったのに、ボタンが開けにくくてモタモタしてしまったことはないでしょうか? でもベルクロ留めのグラミチパンツなら、ストレスなくさっと取り出すことができます。
クライミングパンツのいいところを残しつつ、タウンユースに合う洗練されたデザインで仕上げたグラミチパンツは、今とても人気があります。
アウトドアミックススタイルのトレンドはまだまだ続きそうなので、グラミチパンツもまずます人気アップが予想されます。
まだ未経験の人は、是非この機会に!

GRAMICCI(グラミチ)
春に新調したいパンツその4 IN'CREWSIVE
“週末を大いに楽しんでほしい”との願いをこめてデザインされているという、Z-CRAFTのオリジナルブランド、インクルーシブ。
「ぜひ使ってみて、率直なご感想を」というメッセージとともに、ストレッチチノスリムパンツが私の元に届いたは、2021年初頭のことでした。
足を通した瞬間に「これ、いいじゃん! さすがインクルーシブの自信作だ」と思いましたが、その後の1年間、ファーストインプレッションどおりの優秀なパンツであることを実感し、かなりのヘビーローテーションで穿きまくることになりました。
このパンツの良さは、第一に肌触りのいい上質コットンが使われたストレッチ生地である点だと思います。
新品でも肌にしっくりきましたが、その後使い込むほどさらになじんでいき、快適さはどんどん上昇しました。
安心感のある肉厚生地なのにしっかりストレッチが効いているので、冬場でも暖かく、そして実に動きやすいのです。
ナチュラルなシルエットですが、先に行くほどやや細くなるテーパードは、足を細く&長く見せる効果バッチリ。
体型に自信のない私にとっては“お助け感”のあるパンツで、ここ一番のときたびたび使わせてもらいました。
私が穿いているのはブラックですが、ベージュ、カーキ、グレー、ネイビー、チャコールと、男性のパンツとして一般的に考えうるカラーバリエーションがしっかり揃えられている点もポイントです。
価格は手頃だし、どんなスタイルにも合わせやすい汎用性の高いアイテムでもありますので、この価格なら色違いで複数買いし、その日に着るトップスと合わせてセレクトするのもアリだと思います。
ちなみに私は、まだ一本だけしか持っていません。
ですのでこの機会に皆さんとともに、春用の一本を買い足そうと思っています!
