リネン生地のお取り扱いについて
リネン生地の扱い方に「これでいいのかしら?」と不安になられる方が多くいらっしゃいます。
とくに上質で高額なリネン生地ほど、お取扱いに迷われますよね。
ですが、普段の取扱いにちょっとひと手間加えるだけでOKですのでご安心ください。
皆さまのお悩み、疑問に生地の森がお答えします。
目次
リネン生地は水通しが必要?
水通しとは
お仕立て前に行う下処理で、水洗いが可能が素材(コットン生地やリネン生地など)に行なわれる地直しの事です。
一般に販売されている生地の多くは水通しをしなくてもすぐに使えるよう加工処理がされております。
そのままでも使えますが、天然繊維は縮みやすい性質をもっているので、
洗濯の際の縮みにより歪み、型崩れを起こす場合があります。
市販のものは生地をそのまま裁断しているので、普通に洗うと歪んだり縮んで
シワシワになったりするのはそれが原因かと思われます。
せっかく手作りしてお仕立するのなら、すこしでもそれを避けたいものです。
その為にも、裁断前に水通しし、織りのゆがみなどを直しながら生地を整えることをおすすめします。
水通し方法
- 1.大き目の容器※1にたっぷりの水を貼り生地単体※2を浸します。
- 2.適当な時間※3浸け置き、水を絞ります。
- 3.物干しに生地を中表にして広げ、陰干しをし手でパンパンとたたきながら余分なシワを伸ばします。
- 4.半乾きし、裏からアイロンで織りのゆがみなどを直しながら生地を整えます。
※1 浴槽や洗濯機を使う場合、漂白剤、蛍光剤などが残っていると生地変色等の原因となります。
※2 複数の生地を一緒に浸すと色移りの原因となります。
※3 浸水は1~2時間程度でも十分です。長時間の浸水(濡れたままの状態)は色落ちや、色移り、生地を傷める原因となります。特にプリント生地は長時間の浸水により(加工方法により異なりますが)色移りを起こす場合もありますのでお避けください。
水通しは必ずしも行わなければならないものではございません。
デザインや用途により水通しの有無はお選びください。
リネン製品の家庭でのお洗濯
手づくりした思入れのあるリネン製品、大切なものなら丁寧に扱ってずっと長持ちさせたいですよね。
そこで家庭での洗濯方法やお手入れについてご紹介します。
衣類のお手入れも生地のお手入れも一緒ですのでおさらいしましょう。
洗濯方法
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1.大切な衣類は単独洗い。下着やタオルと一緒にしない。
下着やタオルなど汚れの強いものを洗う強力な洗剤は生地を傷める原因になります。
大切な衣類は、洗濯ネットに入れて、中性か弱アルカリ性(おしゃれ着洗い用)をお使いください。
洗濯コースは「ドライマーク洗い」※1や「ソフト洗い」※1をお選びください。
色物は色移りの原因となりますので、単独洗いをおすすめします。
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2.リネン生地のしわは脱水に問題あり。
通常の洗濯コースはしっかりと脱水するように設定されています。
日常繰り返される洗濯が歪みや傷み、シワの原因にもなっています。
「ドライマーク洗い」や「ソフト洗い」コースは、
脱水時間を短くなるべく衣類に負担をかけないようになっています。
洗い後、短めに脱水したら、速やかに自然乾燥することをおすすめします。
長時間の脱水や濡れたまま放置は生地を傷めシワがつく原因となりますのでご注意ください。
タンブラー乾燥は繊維が傷む原因ですので絶対にお避けください。
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3.色落ちや色褪せは干し方にも原因あり。
リネン生地など天然繊維は直射日光に非常に弱いため、色落ち、黄ばみなど変色し劣化を早めます。
干す際は直射日光を避け、中表にし、手でパンパンとたたいて余分なシワを伸ばし陰干してください。
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4.シワを無理やりアイロンで伸ばしていませんか。
3までの工程を行えば余分なシワが付きにくく、
自然なシワ感※2がリネン生地らしい風合いの味になります。
乾いた状態で直接生地にアイロンを強く当てると、白化、テカリが起き繊維を傷めます。
アイロンの温度は中温程度にし、裏から当てるか、当て布をお使いください。
シワが気になる場合は、半乾きや霧吹きなど生地を湿らせて、裏からアイロンで整えてください。
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5.潔癖になり過ぎず汚れの軽いものは無理にお洗濯しない。
衣類や生地の風合いをずっと長持ちさせるには、むやみに洗わないことがベストです。
どうしても洗わなければいけない場合は、上記をご参考に、
なるべく洗う頻度は少なくすることもをおすすめします。
※1 洗濯コースはお使いの洗濯機によって名称が異なる場合があります。
※2 当店の「洗いこまれたリネン」などは素材本来の自然なシワ感を活かしておりますので、アイロンでシワを完全に伸ばすことが出来ません。
リネン製品・生地の保管方法
久しぶりに使おうとすると、畳んでしまいこんでシワシワなんてことはありませんか。
また、なかなか使えずに大切にしまっていたら、畳んだ表の折り目が色褪せていたなんてことも。
そんながっかりを繰り返さなために押さえておきたいポイントをご紹介します。
保管方法
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1.色あせは室内でも起こります。
天然繊維は直射日光など耐光に弱いため、室内の灯りでも色あせ、
黄ばみなど変色劣化が進んでいます。
長期間保管する場合は、光の当たらない暗い場所に保管してください。
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2.畳んでいても色褪せる。
天然繊維は摩擦に弱く、アタリ※1が付きやすい性質があります。
畳んだ折れ部分は生地が引っ張られた状態ですので負荷がかかります。
重ねた状態は摩擦が起きやすく、常にプレスされている状態ですので、
シワやスジがつきやすくなります。
収納ケースなどにしまっていても、底や蓋に当たる部分は常にこすれている状態ですので、
摩擦により色褪せし、折れ線にスジが残ってしまう場合もあります。
あまり小さく畳まず、大きめに畳んだり、時々取り出して畳み直したりすることを心がけてください。
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3.長期間の放置に要注意。
上記のように室内でも日常の灯りや摩擦により、変色や生地の劣化を招きます。
長期間保管する場合は、同じ状態でそのまま放置せずに、
定期的に手直しをしてあげることが大切です。
また、畳みよりもハンガーにつるして風通しすることもおすすめします。
もし、しばらく使わないリネン生地がありましたら、上記の保管方法をご参考にしてください。
ベストなのは、生地のまま放置せず、お早目にお仕立てしていただくことです。
※1 アタリとは摩擦によりテカったり、白化(色物が白く抜ける)したり、色褪せすること。
最後に
リネン生地の製品は素材の特性を理解し、ちょっとひと手間のお手入れで、自然な風合いを楽しめます。
ぜひ、思い入れのある大事な製品を長く大切ににお使いください。