シェフの仕事

“自分がずっと研究してきて、こだわりのあるもので人に喜んでもらい、
その結果、それで生きていく!”

ネットで「パン屋独立開業」と入力すると、約13,100,000件の検索結果が表示されます。
表示件数が多い=独立開業をお考えの方が多い証です。
そういった検索結果には、「フランチャイズオーナーとしてどうですか?」や、開業するにあたっての資格の取得方法から心得、また開業された方のブログなど多数出てきます。

手作りが高じてパン屋さん、お菓子屋さんを開業された方、いつかは開業したいと思い日々手作りを楽しまれている方が、ママパンのお客様には多いのではと思います。

さて、今回のシェフの仕事は、一念発起してサラリーマンからスパイスカレーのお店のオーナーに華麗(カレー)に転身された、「神戸カレー食堂ラージクマール」オーナーシェフ片山絢一さんのお話です。

ママパンとスパイスカレー?

実は片山シェフの前職はパンと関わりのあるお仕事をされていて、その時からのお付き合いをさせていただいております。
そんなパンと関わりのあった片山シェフがスパイスカレーのお店を開業されるまでの道のりなどをお伺いしてきました。

レーとの出会い
料理自体は大学生の頃からやっていましたし、その延長で食品会社に入社後も継続していました。
その会社で営業担当させていただいたお客さんが戸倉商事さんでした。
当時、戸倉さんの営業さんと同行してもらっている時に、「片山君、毎日晩御飯作っているの?」とか聞かれて、冬だと一人鍋していますとか言っていたことを思い出します。
※戸倉商事はママパンの母体の会社名です。

仕事終えてスーパーで買い物して、お腹を満たすための夕食を作る日々。
「男が料理出来ればモテるだろうな!」的な考えから料理を頑張り始めました。
最初は月並みですが、パスタとか作っていました。

そんな中、カレーを作った時にビビッときたのです!

S&Bの赤缶ってカレー粉、有名じゃないですか。
その赤缶の原材料表示を分解して、自分で配合し直せば「スパイスで作るカレーの素になるのでしょ」って思ったのです。
それから、スーパーでスパイス単品を買ってきては、自分で調合しての繰り返し。
「なんか違う!」「これを入れたらどうなるのだろう?」とか、スパイスを足したり引いたりしていくうちに、どんどんカレーの深みにハマっていくようになりました。

カレー粉をつくる
いろんなカレー屋さんに食べに行って、その味をどうやったら再現出来るのだろうと考え、自宅で試行錯誤しながらカレーばかり作る日々でした。

自分で作って自分で食べる。
お腹が空いているとはいえ、自分が作ったものっておいしいじゃないですか。
そのうち、人に食べてもらったら「これはおいしいのか?」と思うようになったのです。
自宅に友人を招き、カレーを作って食べてもらう。
感想を聞くと、友達だからか「おいしい」って言ってくれますよね。
疑心暗鬼ではないのですが、、、見ず知らずの人が私の作ったカレーを食べたらどう思うのかな?って。

スパイスを混ぜるシェフ
レーイベントにエントリー
自分が作ったカレーは、お店のカレーと比べるとかなわないのはわかっているものの、少し腕試しをしてみたくなり、大阪の野田で開催されていた「カレー事情聴取」というイベントにエントリーしてみました。

Note


【カレー事情聴取とは】
カレー事情聴取は大阪の野田にある油野美術館で開催されるイベントです。
関西のみならず全国各地から有名カレー店や個性派カレーが出店されるイベント。
季節ごとに開催されるので、使われる素材なども変わり、またカレーの種類も色々で楽しめます。

イベントでは【3種ナッツの香ばし鶏キーマ】というカレーを出させていただきました。
その当時、キーマカレーにナッツを乗せている人はいないだろう!
俺だけの発明だ!
味も悪くないし、あとは食べて下ったお客様の感想が知りたいという気持ちでした。

3種ナッツの香ばし鶏キーマ

※ラージクマール様のFBより(画面右側が、3種ナッツの香ばし鶏キーマ)

イベントで食べてくださったお客様が、「お店どこにあるのですか?」と聞いて下さったのです。
めちゃくちゃ嬉しかったです。
それが「お店をやってみたい!」と思うきっかけになりました。

カレー事情聴取に参加するまでは、普通に働いてお給料が毎月25日頃になると「ポンっと」口座に入っている。
それが仕事だと思っていました。

~自分がずっと研究してきて、こだわりのあるもので人に喜んでもらい、その結果、それで生きていく!~


このサイクルに感動して。仕事ってこういうことなのかなと。
これを生業にしてみたいと思うようになりました。

しかし、カレー事情聴取に出て、いきなり脱サラして開業は危なすぎる。
ではサラリーマンをしながら週末だけでもカレー屋ができないかと考えました。

最初は共通の友人のいるカフェバーを借り、その後いろんな場所を転々としていました。
最終的には、ライブハウスの一角を間借りさせていただいていました。

そのライブハウスのオーナーさんがとても素敵な方で、「片山君のやりたい事って、若いミュージシャンがストリートで演奏してメジャーを目指すようなものだよね。そういうことであれば、応援しますよ」って。
ライブハウスのオーナーさんって、常にインディーズの人を応援し続けているじゃないですか、その一環として僕も応援して下さったのです。



ライブハウスでの間借りの営業をしながら、物件探し。
もちろん会社勤めも!
当時はサラリーマンをしていましたので、営業での移動中などに様々なことを考えていました。
例えば、サラリーマンはランチにかけられる予算も限りがあるなとか、女の子と食事する時のランチの予算って奮発する傾向がある。
そう考えると、デートの際に立ち寄ってもらえるようなお店にしたほうがいいのかなどを考えるのが非常に面白かったのを覚えています。

また、#神戸をカレーの街に というプロジェクトも始めました。
最初は、カレー好きだし、カレー屋になるし、神戸名物にカレーが加わったら面白いなというところから始まりました。
名物が出来上がっていく過程を皆で追いかけられたら楽しいよね!という考えから、みんなで#(ハッシュタグ)使ってやりませんかと。
最初は仲の良いカレー屋さんに、こんな事をやるのですが一緒にやりませんかと声をかけて、その後カレーを食べて下さったお客様も巻き混んで。

2019年のコロナ禍前には、カレーフェス開催をすることも出来ました。
神戸の各大学にもカレー同好会ができて、その子達が#を使ってくれたりして少しずつですが認知されて来ていると思います。

現在、#神戸をカレーの街に の投稿件数は、1.9万件にも達しています。
インスタグラム

#神戸をカレーの街に、についての想いを語る片山シェフのインスタグラム投稿

facebookアイコン  https://www.instagram.com/rajkumar_curry/
そうこうしている内に、物件が見つかり、勤めていた会社を辞めて開業することになりました。
今思うと、ライブハウスのオーナーや、間借り時代からアルバイトとして、僕のお店を支えてくれたスタッフが居たからオープン出来たようなものです。
特にアルバイトのスタッフは、僕のことを「この人はいつかカレー屋をやるから、応援しよう。」という想いで僕に着いて来てくれた事に本当に感謝です。

素敵な人との縁がなければお店をオープンする事は出来なかったでしょうね。



■実際にお店をされてみていかがでした?

順調ではなかったです。
けどそれが楽しかったです。
お客様が来ないのはなぜだろう?
こういう層に知られていないから?とかを考えていました。
数字見て一喜一憂せずに考える。
幸いにもサラリーマンをしていた時に毎月、月報を作っていた事が本当に活かされました。自分の会社で作る月報は楽しい!サラリーマン時代は嫌々やっていましたが・・・

また、SNSをもっと運用したほうがいいのか?などといったお店の運営にプラスになることの分析も楽しんでいました。



■いつも前向きな印象の片山シェフですが、どのようにしてモチベーションを維持されているのですか?

好きなことをさせていただいているという事でしょうか。

カレー作りが好きだけだったら、気持ちがしんどくなると思います。
カレー屋の仕事が好きということがモチベーションを維持できている理由かと思います。

片山シェフ
カレー作りが好きだけだと、経営でつまづいた時に立て直せないじゃないですか。
けどカレー屋の仕事全般が好きとなると、作ることも楽しめるし、売上の悪い日や月の分析をしていることも楽しい。
それ以上に好きな事といえば、僕のカレーを「食べてもらうこと」です。

食べてもらうことが喜びなのですが、よくある「俺のカレーを食え!」的な感覚ではないのです。
だから、お客様の好みが自分と違えば、柔軟に対応出来ます。
自分は辛いカレーが好きだけど、ラージクマールに来てくださるお客様は女性が多い。
辛さをマイルドにしたほうが喜んで下さるとわかれば、迷わずお客様に沿って方向転換します。

カレーを追求する事も好きですが、自分の作ったカレーを食べて喜んで下さるお客様の顔を見るのが好きなのです。
お客様が喜んでくださる路線を追求することが好きです。
それが本当に楽しいです。

人が喜んだ事に喜びを得る。
その方が断然幸福度が高いと僕は思います。
そう考えるとカレーを食べてくださって笑顔になっているお客様を見る事が、今の幸せなのかもしれません。



■今後の目標とかありますか?

通してあるのは、死ぬ最後の瞬間までカレー作りが上手くなり続けたいという事です。

片山シェフのカレー
知名度あげたいなどという気持ちも、もちろんありますが、カレー屋としての知名度とか、規模だったら、大手カレーチェーン店には敵わない。
だったら、お客様の満足度でトップ取れるように頑張ろうねと、スタッフに伝えています。僕も一所懸命カレーの味を追求するし、スタッフと共に接客も頑張ります。
カレー屋として成長したい。
ぼんやりしていますがこれが目標です。

私の話がパン作り・お菓子作りが大好きなママパンさんのお客様にとってどれだけ有益な情報になるか不安ですが、最後までお付き合い下さいましてありがとうございます。
神戸にお越しになられた際は、ぜひお立ち寄り下さい。

店のご紹介
ロゴ

神戸をカレーの街に
スパイスやさしめ、
辛さひかえめ、
たまにピリ辛。

神戸カレー食堂
ラージクマール
「神戸をカレーの街に」をキーワードに神戸カレーシーンを牽引されている、神戸カレー食堂 ラージクマールさん。

【8/21 新店舗にてOPEN!】
兵庫県神戸市中央区下山手通2丁目13−13 RINX BLD 7F
facebookアイコン  https://www.facebook.com/rajkumarcurry/
facebookアイコン  https://twitter.com/rajkumar_curry1
facebookアイコン  https://www.instagram.com/rajkumar_curry/
ロゴ
cafe+curry
ラジクマリ
神戸カレー食堂ラージクマールさんの姉妹店。
カレーとテリーヌショコラを楽しんでいただけるお店です。

兵庫県神戸市中央区下山手通り2−5−6 中央ビル2F
🈺 11:30~18:00(L.0 17:30)
※金曜定休
facebookアイコン  https://www.instagram.com/cafe_rajkumari/

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