起毛革(スエード・ヌバック)ってどんな革?

スエード(スウェード)は牛・羊などの皮の裏側の繊維の太い部分を、サンドペーパーなどで起毛した革です。適切な手入れをすると、意外なほどきれいな状態で長持ちします。

ヌバックは一見スエードの毛足が短い革のように見えますが、牛・羊などの皮の表側の細い繊維の部分を起毛した革で、強度がまったく違います。非常にデリケートな革なので、取り扱いには若干注意が必要です。



通常のお手入れ

 スエードは防水が必須

スエードの靴を履く場合、おろす前に必ず防水します。また日常的に防水をした状態で履くことを習慣にしてください。

履いた後はブラシをかけます

履いた後は、必ずスエード用のブラシをかけます。

ブラシをかけないままスエード靴を履き続けると、しだいに毛が寝て、まるで禿げてしまったようになります。通常の豚毛ブラシや馬毛ブラシも使用できます。

ケース別お手入れ(乾燥、色褪せ)

乾燥、色褪せ

多くのスエードは、防水とブラシだけでは徐々に乾燥したり、色があせてきます。

そこで保革・補色のために、スエード用のコンディショナーを使用します(保革目的のみの際は無色をお使い下さい)。

乾燥がみられても補色の必要がない場合は、コロニル1909シュプリームプロテクトスプレー等の保革成分入りの防水スプレーをお使い下さい。

※補色スプレー使用の場合の手順

(1)スプレータイプは、まず靴の中や周囲に色が着かないように新聞紙などでカバーして作業します。

(2)無色か靴よりも、やや薄めの色を、全体に均一にスプレーします。

(3)乾かしてからブラシで毛足を整えます。3の写真は毛を逆立てたもの

(4)の写真は毛を寝かせたもの。(3)と(4)どちらを先にするのかは、個々お好みでお選び下さい。

部分汚れ

部分的に汚れた場合

防水が効いた状態なら、多くの汚れが革表面でとまります。

ブラッシングで落ちない場合はスエード専用のラバーや消しゴムタイプの汚れ落としを使用してください。

(1)まず汚れた部分を消しゴムで丁寧にこすり、汚れを落としていきます。

(2)ブラシで消しゴムのくずを払います。

シミ汚れ

汚れが革の中に入った場合

防水せずに雨水に当たってしまった場合など、汚れが革の中まで浸透してシミになっているケースでは、完全に汚れを取るのは困難です。

スエードクリーナーを使用し、シミを緩和して目立たなくする方法をご説明します。(溶剤系のクリーナーは革の風合いが悪くなりますので、やむを得ない場合のみお使い下さい)。

※スエード靴用クリーナー使用の場合の手順

(1)スエード用ブラシかきれいな靴ブラシで表面の泥汚れをはらいます。

(2)ヴィオラスエード靴用クリーナーを全体に均一に吹き付けます。

(3)濡らしたきれいなタオルで、念入りに拭き取ります。この時、汚れが染み込んだ部分は叩くようにしてやると、シミが取れやすいです。色の薄い靴の場合、クリーナー成分が革の中に残ると色が濃くなる場合があるので、丁寧によく落とします。

(4)乾かしてから、ブラシで毛足を整えます。

テカリ

毛が寝てテカっている場合

スエード靴の場合、履いているうちにカカト等の擦れやすい部分の毛が寝てしまうことがあります。

ちょっと見ると毛が抜けてしまったように感じますが、たいていの場合少し手入れをしてやると毛足が戻ります。

(1)ヌバック用のラバーパーツのあるブラシを用意して、ブラシの頭部分を持ちます。かなり力を入れるので、柄を持つとブラシが折れてしまうので注意して下さい。

(2)毛の寝ている部分にラバーパーツを当て、様子を見ながら力いっぱい擦ってください。※まれに弱くてボロボロと崩れるスエードがありますので、そういったものの場合はお止め下さい。

(3)毛が戻ったら、通常のブラッシングで毛足を整えます。

ヌバック・シープスキン

ヌバック・シープスキンのお手入れ

ヌバックは、一見スエードの毛足が短い革のように見えますが、革の細い繊維の部分を起毛した革で、強度がまったく違います。

非常にデリケートな革なので、取扱いには若干注意が必要です。

ヌバックはスエード以上に雨水でできたシミがとれにくいので、防水をする必要があります。

ブラッシングにはヌバック用の柔らかいラバーパーツを使用して下さい。使用方法はスエードと同じです。

消しゴムを使用する時は強くこすり過ぎないように注意して下さい。

UGGなどのシープスキンブーツも防水スプレーをしておきます。

ブラッシングは、ヌバック用の柔らかいラバーパーツでそっとブラシをかけて頂くか、馬毛ブラシ等の柔らかいブラシをお使い下さい(強い力でこすらないよう、注意して下さい)。

よくある質問

保革成分の入ったものと入らないもの、どちらの防水スプレーが良いですか?

革が乾燥した雰囲気のある時は、保革成分の入った防水スプレーをお使い下さい。

特に乾燥していない時や、防水力を重視したい場合は、通常の保革成分の入っていない防水スプレーの方が防水力もコスパも良くおすすめです。

防水スプレーを使う頻度はどれぐらいですか?

防水スプレーは、全体が薄く湿る程度に掛けて一度15分ほど乾かし、再度薄く掛けてまた乾かしと三回繰り返すと最も効果が高くなります。

その状態で靴を履かない状態では効果が変わりませんが、3日くらい履くと、靴の甲のシワの行く部分から効果が失われてきます。

そこで3日ほど履いたら、シワの行く部分だけ再度軽くかけ直しておくと、急に雨にふられたときにその部分から雨水が染みこんでしまうという事故を防止できます。

雨に当たってしまった後は、汚れも付いているので再度手入れをやり直して、スプレーもかけ直しておく必要があります。