コードバン(コードヴァン)ってどんな革?

コードヴァン(コードバン)は馬の臀部から取れる皮革です。
一頭の馬からごく僅かしか得られません。

その独特のつややかな光沢と希少性から「革のダイヤモンド」とも言われ、靴以外にもバッグ・財布等の革小物の素材としても、非常に人気が高いものです。

仕上げが数種類あり、全て同じ性質ではありません。



コードヴァンについて

一般的な牛のスムースレザー(表革)との違い

革の表の面を使う牛などの一般的なスムースレザーと異なり、コードヴァンは 馬の臀部の革の裏側から削り出した、コードヴァン層と呼ばれる特殊な素材を用いてつくられています。

牛のスムースレザーの線維が水平方向に交絡しているのに対し、コードヴァンの線維は垂直の束状になっています。線維が縦に揃った状態は、スムースレザーというよりもむしろスエードなどの起毛革に近く、その毛の先端を寝かせるようにして、あの独特の光沢感を作り出しています。一見、スムースレザーのように見えますが、全く異なるものであるので注意が必要です。

お手入れのポイント

前述の通り、毛を寝かせることによって、あの光沢感を作りだしていますので、毛を立ち上がらせるような状態にしないことや、水が浸透し易い上に、線維が水で膨らむと表面が凸凹状態になってしまうため、防水対策を心がけることがポイントです。

それでは具体的なお手入れの方法を見ていきましょう。

01.ホコリ落とし

ブラッシングでほこりを払う

絶対にしてはいけないことは、豚毛などの固めのブラシで強くブラッシングすることです。毛が立ち上がり、荒れてしまいます。

コードバンには、JEWELホースヘアブラシ等の毛が柔らかい馬毛ブラシをやさしくお使い下さい。

02.汚れ落とし

クリーナーで汚れを落とす

革にやさしい弱酸性タイプをお使い下さい。ジュエル アルコット デリケートレザー用ソフトクリーナーは、コードヴァンだけでなく、デリケートレザー全般、もちろん一般ツヤ革にも安心してお使い頂けます。

毛を立てないよう、ごしごしこすらずにやさしく拭き取ります。

03.保革

クリーム、ワックスを塗る

必要な油分を適宜補うことを怠ると、表面が乾燥して毛がぱさついた状態となり 光沢感が失われてしまいます。

コードヴァンは皮革の線維が垂直の束状になっているため、

  • 固形の油分が少ない商品(コロニル1909シュプリームクリーム等)
  • 逆に固形の油分は多くても線維に浸透しない商品(KIWIパレードグロス)

が向いています。

・コードヴァン専用のクリームもあります。(サフィールノワールコードヴァンクリーム

※ヴィオラ シュークリーム(靴用クリーム)などの革に浸透するタイプの乳化性クリームはおすすめできません。 (油分が線維を膨らませて、毛を立たせやすくなってしまうため)

まだ新品のうち

特に補色や光沢感をプラスする必要のない新品のうちは、こちらのような商品が使いやすいです。

靴以外にもツヤ革、コードバン革のバッグやお財布などに幅広くお使いいただけます。

しばらく履き続けて、より光沢感や補色が必要になった時

クリーナー同様、毛を立てないよう、ごしごしこすらず、クリームを丁寧に革に入れ込んでいくイメージでお使い下さい。

コードヴァンの靴に最初からパレードグロスの使用を推奨するブランドもあります。つま先とかかとだけの鏡面磨きや全体に薄く塗り伸ばしての使用など方法は様々です。

コードヴァンにワックスをお使いになる際のポイントは、水の侵入で革が凸凹状態になるのを防ぐため水滴を直接靴にたらさず、布の方を少し湿らせるような感じにして、磨くことです。 布に軽く霧吹きをかけるのが便利ですが、なければ、指に水をつけて、 布にそっとつけて下さい。(つけすぎたら、ぽんぽんと他のタオルか何かで水気を取ります)

04.ブラッシング、仕上げ

ブラシで磨きこんでから、仕上げ

(1)馬毛ブラシで丁寧に優しく磨きます。

(2)綺麗な柔らかい布で丁寧に磨き上げます。クリームを塗る際の説明にも書いたとおり、毛を立ちあがらせないよう、丁寧に寝かせていくイメージで磨いて仕上げて下さい。

番外編 財布等のお手入れ

よくある質問

防水スプレーはかけた方が良いですか?

ご使用頂くことは可能ですが、残念ながらコードヴァンは、防水スプレーの効果が、スムースレザーに比べ非常に限定的となってしまいます。

防水スプレーは噴霧して乾かした後ツヤが消えてしまうので、再度ワックスなどで磨く必要があります。この場合、表面のフッ素防護層が弱体化するので、コードヴァンの線維に残ったフッ素の撥水力が頼りになりますが、牛の革のように線維が水平方向に交絡しておらず、垂直の束状になったコードヴァンの構造が不利に働き、効果が限定的になってしまうのです。

雨の日や、降りそうな日は履くのを極力避けて下さい。

ただし、適切なクリームやワックスで普段から手入れされている状態なら、必要な油分水分も線維が保持しているので、急な雨で水が侵入した場合も大きなダメージになりにくく、早めに拭き取ればその後のリカバーも容易です。

シューツリーは、どのようなものが良いですか?

コードヴァンの靴には、テンションが強めのツリーのご使用はおすすめしません。
強い力がかかることで、寝ている毛が立ちやすくなり、また線維構造的に革に負担がかかり、切れやすくなってしまうためです。

また、「甲部の独特のシワこそ、コードヴァン靴の味」として楽しむとらえ方もあります。
この場合も、シューツリーは、あくまで湿気取りや反り返りを防ぐことを主目的とし、テンションをあまりかけ過ぎないようにしてご使用下さい。