奥本製粉株式会社
製パン技術講習会レポート
Day2:2023年10月26日
会場:奥本製粉株式会社内テクニカルセンター
講師:有限会社シャルムベーカリー・ポンシェ
オーナーシェフ 内藤昌弘シェフ
2023年10月26日。
前日に引き続き、奥本製粉株式会社テクニカルセンターにて台湾よりベーカリーシェフをお招きして製パン講習会を開催させていただきました。
2日目の講師は、名古屋市内で絶大な人気を誇るお店「シャルムベーカリー・ポンシェ」のオーナーシェフ内藤昌弘シェフ。
5品の講習を行っていただきました。
基本に忠実。
愛情を持ってパン生地と接する。
そのことを軸に内藤シェフの講習は始まりました。
バゲットルヴァン・
パンド・ロデブ
ロデブ=非常にデリケートなパン生地で、雑に扱うとガスが抜け美味しさも半減します。
1回目のパンチ。
フロアさせた生地にパンチ行う際、生地を入れているばんじゅうなどを自分の頭ぐらいの高さから作業台にドンと落とします。
その後生地の端を持って伸ばすような感じで軽くまとめます。
捏ね上げ後、ダレていた生地がフロアタイム~パンチを行うことで少しまとまり始めます。
2回目のパンチを行うと、生地の骨格がしっかりと出てくるようになります。
パンド・ロデブ(レーズン&クルミ)のパンチと成形(いちじく)
パンド・ロデブ(プレーン、いちじく、レーズン&クルミ)焼き上がり
バゲットルヴァン焼き上がり
黒糖食パン
甘いだけではない、黒糖の優しい甘みのある食パン。サンドイッチにも最適です。
自家製の黒糖水と黒蜜を入れて生地を作ります。
パン生地作りでいつも行っていること
●粉体(小麦粉、砂糖、塩)をミキシングする際のポイント
・粉体をミキサーに入れて30秒ほど軽くカラ回しします。これは全てが均一に混ざるために行います。
今回は、粉体をカラ回し→水→黒糖水→黒蜜の順番にミキサーに入れました。
・講習会当日は水温7℃。そのため、少しミキシングしたのちにイーストを投入しました。
冷水と一緒にイーストを入れるのではなく、軽くミキシングして生地温度が上がったところにイーストを投入することで、イーストの活性を良くするためです。
●バターを投入する際のポイント
ミキサーの中の生地に包み込むようにします。
ミキシング後の黒糖食パン生地(非常に艶のある生地)
グルテンチェックについて
グルテン膜ができていればOKではなく、グルテン膜が切れる場所が自分の感覚になることが大事。
どれだけ伸ばしてどのタイミングでグルテン膜が切れるのが良いのかを覚えてチェックするようにしましょう。
しっかりとガスを抜いてモルダーを通して成形し、食パン型に入れて最終発酵を行い、焼成へ。
この黒糖食パンの生地は、プチパンにしていただくのも良いです。
フランスパン冷蔵法
オーバーナイトさせた生地です。
小麦粉の熟成がしっかりとされているので、その旨みが濃く仕上がります。
成形のポイント
・大きなガスは潰すが、小さなガスは潰さないように手のひらをくの字にして成形します。
気泡がポコポコしているフランスパンもありますが、明太子フランスやガーリックフランスなどにもこのパンを使うので、あまり大きな気泡ができないようにしています。
・ 分割丸めを行った生地は一気に同じタイミングで成形できないため、時系列にばんじゅうに入れて先に分割丸めした生地から成形を行えるようにします。
※先に分割丸めをした生地から発酵が進むため。こういった細かな気遣いでパンの出来に差が出てきます。
当社ドゥコンディショナーにて前日から冷蔵発酵。
フランスパンを成形する内藤シェフ
明太子フランスとガーリックフランス
内藤シェフのお店で1日で約500本売れている商品です。
バゲットを焼く→カットする→自家製明太子フィリングをカットしたフランスパンの中と表面に塗る→再度焼成。
お店では明太子フランスやガーリックフランスを天板に乗せて焼成されるのですが、焼き立て出来立てを提供したいため天板1枚に5本しか乗せないとのこと。
じゃがいもとローズマリーの
フォカッチャ
事前に蒸し上げたじゃがいもを生地に練り込んだパンです。
小麦粉100に対して20%配合しています。
じゃがいもは少し粒感が残っているぐらいが食感的におもしろい。
またじゃがいもを生地に練り込むことで、じゃがいもの澱粉質の影響でもちもち感が付与されます。
ホイロ後、生地に穴を開けてオリーブ・ドゥ・リュックさんのアンチョビ入りのグリーンオリーブをトッピングし、表面にパルメザンチーズとエダムチーズを振りかけて焼成。
焼き上がり後のフォカッチャに、当社輸入商品のトルコ産コールドプレス エクストラバージン オリーブオイルをたっぷりと刷毛で塗って仕上げていただきました。
内藤シェフより「このオリーブオイル本当においしいね!香りもすごくいいし」とお褒めのお言葉頂戴しました。
ランチタイム
内藤シェフのお作りになったパン2種とキッシュロレーヌ、デザートのアップルパイ。
パンに合わせたチーズ2種、エアウォーターアグリ&フーズさんのパンに合うハム、蒸し鶏のほぐし身に蜂蜜マスタードソースを絡めたもの、キャロットラベ、カボチャのスープは、株式会社トクラ大阪のスタッフ2名が朝から仕込んだものです。
スープの仕上げには、フォカッチャでも使用したトルコ産のコールドプレス エクストラバージン オリーブオイルを。
キッシュロレーヌ&
アップルパイ
内藤シェフのお店では、キッシュとアップルパイはパイ生地をたくさん作って冷凍保存しておき、必要な時に取り出して焼成されています。
キッシュとアップルパイは同じパイ生地を使用しています。
バイカラークロワッサン
(チョコ)
生地は3つ折3回。厚さ3~3.5mm。
成形のコツ
・最初の一巻きは芯を入れるように巻きます。あとはゆっくり。
・最後は余裕を持たせるようにします。
これは、焼成時に巻き込んだ生地の端がはじけないようにするためです。
焼成前に卵は塗らず、焼成後にシロップを塗ります。
シロップの作成:
水と砂糖1:1にバニラビーンズの鞘を入れてひと煮立ちさせ、火を消してからラム酒を入れます。
番外編
湯だねっ粉配合のロールケーキ
前日の講習会の時にご参加のシェフから「お店でパン以外にロールケーキを販売しているのですが、ロールケーキ生地に湯だねっ粉を入れたらどうなりますか?」と質問をいただきました。
講習会も順調に進んでいたため、急遽ご質問くださったシェフによる湯だねっ粉配合のロールケーキを作ることとなりました。
ロールケーキ生地に湯だねっ粉を配合。
卵料理の伊達巻きに似た、プリっとしつつもっちり感もある食感のスポンジ生地になりました。
最後に。
おいしいパンが好き。
お客様に喜んでいただきたい。
そのためには、技術を学んで習得し、良い原材料を選んで使用する必要があります。
パン作りに対する情熱と、それを支える製パン技術に国境は無し。
参加されたシェフ達の熱心さに心打たれ、2日間の講習会はあっという間に終わりました。
改めて奥本製粉さんの湯だねシリーズなどの良さを感じ、もっとその良さをより多くのパン作りが好きな皆様に知っていただきたいと感じた講習会でした。
参加させていただきありがとうございました。
謝謝!