夏肌スキンケア向き、ハーブの抽出エキスをつくろう
スキンケア
2023.9.7

夏肌スキンケア向き、ハーブの抽出エキスをつくろう

こんにちは。おおうちです。

厳しい暑さが続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
この夏は、台風などの影響もありましたが、久しぶりに遠出をされた方も多いかと思います。楽しい思い出は大切にとっておきたいものですが、日焼けや乾燥のダメージは次の季節に持ち越したくないものですよね。

今回はこの時期におすすめしたい、日焼けや乾燥の肌ケアにおすすめのハーブ原料を使った抽出エキスの作り方、また、その抽出エキスを活用したレシピ、の2回にわたってご紹介していきたいと思います。
抽出エキスづくりは作る過程も楽しめますし、作ったエキスをアレンジするのも楽しいものです。いずれも常備しておくと、さまざまなシーンで役立ちますので、この機会にチェックしてみてくださいね。

 

ハーブの抽出エキスについて

ハーブを使って抽出エキスを作るにはいくつかの方法があります。
ハーブをアルコールに浸けて有効成分を抽出するチンキ(ティンクチャーとも呼ばれます)や、植物油にハーブを浸けて脂溶性の有効成分を取り出す浸出油(インフューズドオイルとも呼ばれます)が代表的ですが、その他にもグリセリンや植物性のBGなどでも抽出ができます。浸け混む基材によって、抽出できる有効成分や活用法も異なってきます。

例えば、カレンデュラ(Calendula officinalis)の場合は、ウォッカで抽出することで抗酸化、抗炎症作用のあるケルセチンがより多く抽出され、植物油で抽出することで抗酸化、紫外線吸収作用のあるルテインやβ-カロテンなどの成分がより多く抽出されると言われます。

また、アルコール抽出をしたチンキの場合は、化粧水や美容液など水溶性のクラフト原料として、植物油で抽出した浸出油の場合は、マッサージオイルやバームなど油性のクラフト原料として、など、活用方法にも特性が出てきます。

 

透明感アップのハーブ、雪ノ下(ユキノシタ)について

皆さんは雪ノ下(ユキノシタ)をご存知でしょうか。マンデイムーンではコスメ材料としてユキノシタエキスドライハーブの雪ノ下が販売されているのでご存知の方も多いかと思います。

雪ノ下は、湿地に自生する常緑多年草で、雪のように白い花を付ける植物です。葉の写真を見たら、あ、知ってる!と思われる方も少なくないと思います。というのも、日本では北海道以外の地域ではほぼ全域で自生しているので、知らず知らずにご自宅のお庭に生えていたというお話もよくお聞きします。発熱時などに煎じて服用、葉はてんぷらにして食用になどと日本人にはなじみの深い植物だったようです。

膿のでる中耳炎に用いられたことから、別名、ミミダレグサとも言われる植物です。
雪ノ下がもつ成分としては、アルブチンやタンニン、フラボノイドなどがあり、透明肌ケア、エイジングケアに活用されている植物です。アルブチンという成分名は有名ですので耳にされたことがあるかもしれないですが、紫外線によるダメージ修復を促進するという作用から、美白や日焼け肌の修復、などのキーワードでよく紹介されています。
まさに紫外線のダメージが気になるこの時期、活用していただきたいハーブのひとつです。

 

雪ノ下の抽出エキス(チンキ)

用意するもの
雪ノ下…3g
・ウォッカ(40度以上のものがおすすめ)…50ml(目安量)
・蓋つきのガラス瓶
・ビーカー

<作り方>

1.雪ノ下を細かく砕きます。私はミルを使いましたが、フードプロセッサーや乳鉢などでも代用できるかと思います。(難しい場合はこの工程はスキップしても大丈夫です。)

2.消毒したガラス瓶に雪ノ下を入れます

3.ウォッカを注ぎます。雪ノ下を細かく砕いた場合は、レシピ量でウォッカに雪ノ下がしっかり浸かる量になっていますが、雪ノ下ドライをそのまま使う場合は、しっかり浸かる量まで入れてください。

4.蓋をして1~2週間程度おきます。1日1回は瓶をふってよく混ぜるようにしてください。

5.漬け込みが終わったら、ハーブ抽出エキスを濾します。
今回は濾紙を使って濾過しましたが、コーヒーフィルターやガーゼとストレーナーなどでも代用可能です。

濾紙を使う場合は、四つ折りにして開いてもいいですが、ひだ折りにすると、濾紙の全面積を使用できるため濾過速度が大きくなります。
記事の最後にひだ折り濾紙の折り方もご紹介しておきますね。

じっくり漬け込んで抽出されていくエキスを見るのは、とっても愛おしく楽しい時間ですが、まずは少量を試してみたい方や、忙しくて時間が無いという方にはマンデイムーンで抽出後のエキスの取り扱いもありますので、ライフスタイルにあわせて活用してくださいね。
ユキノシタエキス

 

肌荒れ、ハリケアのハーブ、紫根(シコン)について

紫根は、古くから染料や漢方として使用されてきた多年草”ムラサキ”と呼ばれる紫色のハーブの根です。漢方生薬やハーブ材料として、乾燥してカットしたものが販売されています。

紫根の歴史は古く、中国最後の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」には「紫草」の名で収載されていたそうです。
江戸時代後期に、外科医として有名であった華岡青洲により「紫根」を使用した外用薬「紫雲膏」が考案されたことをご存知の方も多いかと思います。紫根と豚油を含む軟膏ですが、この「紫雲膏」は今でも、炎症・火傷などの外用薬として薬局やドラッグストアで購入することができるのです。江戸時代の処方が、現代でも引き続き使われているってすごいことですよね。

そのような紫根ですが、漢方の世界でも、消炎、解熱、解毒剤としても使用されていますし、また最近では、紫根に含まれる、シコニンという有効成分の薬理作用として、抗炎症作用、創傷治癒促進作用、抗腫瘍作用などが報告されており、肌荒れケア、エイジングケアとしても注目され、紫根を含む化粧品が数多く販売されています。

 

紫根の抽出エキス(チンキ・インフューズドオイル)

用意するもの
紫根…10g
植物性BG(チンキの場合)または
植物油(インフューズドオイルの場合/今回はスイートアーモンドオイル)…50ml(目安量)
・蓋つきのガラス瓶
・ビーカー
・乳鉢,乳棒

<作り方>

1.紫根を計り乳鉢に入れます。

2.乳鉢に入れた紫根を乳棒で潰します。ドライの紫根は固いのでできる範囲でかまいません。少し押しつぶすことで、より有効成分を抽出しやすくします。(難しい場合はこの工程はスキップしていただいても大丈夫です。)

3.紫根を消毒したガラス瓶に入れ、植物性BGまたは植物油を注ぎます。

4.蓋をして出来上がりです。

5.左が植物性BGに浸けたもの、右がスイートアーモンドオイルに浸けたものです。
紫根特有の色が出てきているのがわかると思います。

こちらも、1日1回振り混ぜ、1週間〜2週間程度おきます。
こちらも雪ノ下のエキスでご紹介した方法と同様、濾紙などで濾して、消毒した瓶に入れ、保存します。

6.紫根抽出エキスの出来上がりです。左が植物性のBGによる抽出、右側がスイートアーモンドオイルによる抽出です。植物性BGのほうがより紫色の濃い抽出エキスとなりましたが、スイートアーモンドオイル抽出の紫根オイルのほうは明るい赤みのある色合いに仕上がりました。オイル抽出のほうは色味をいかしたクラフトにも使えそうです。

こちらも、まずは少量を試してみたい方や、忙しくて時間が無いという方にはマンデイムーンで抽出後のエキスの取り扱いがありますので、ライフスタイルにあわせて活用してくださいね。
シコンエキス(紫根)
シコンオイル・インフューズド

 

【参考】濾紙の折り方(ひだ折り)

折り方1)丸い濾紙を半分に折ります。

折り方2)半分に折った濾紙をさらに半分に折ります。

折り方3)折り方2で折った部分を開き、折り線に合わせて両サイドを折り上げます。

折り方4)このような形になります。

折り方5)さらに両サイドをもう一回折り上げます。

折り方6)折った部分を全て開いて、上記のように山折り、谷折りが交互になるように折り直します。

いかがでしたでしょうか。
今回は雪ノ下と紫根、2種類のハーブを使った抽出エキス作りをご紹介いたしました。

より有効成分を抽出しやすいように、細かく砕いたり、つぶしたりといった作業にてご紹介しましたが、手軽に作るなら、そのまま入れてしまっても大丈夫です。
また、雪ノ下は、ご自宅でフレッシュのものが採れるなら、生の葉っぱを使って抽出エキスを作ることもできます。一度基本を覚えてしまえば、本当に気軽に作ることができますし、日々、瓶を振りながら、色が変化していく様子を見るのも楽しいですよ。

また次回は、こちらのエキスを使ったコスメレシピをご紹介したいと思います。
日本で育つハーブは日本人の肌に馴染みやすいと言われていますので、次回のnoteも楽しみにしていただけましたら幸いです。


 


ライター:おおうちなみ
アロマテラピーインストラクター。ハーバルセラピスト。ホリスティックケア・カウンセラー。「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、暮らしに取り入れやすいアロマクラフトやコスメ作りを提案しています。

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