物価急上昇の冬にナンカンAW-1!国産タイヤの半額なのに実力、安心感が感動モノだった
台湾のタイヤメーカー、ナンカンが技術の粋を集め、北海道で何度もテストを重ねたスタッドレスタイヤAW-1を氷上ドライブのメッカ、長野県女神湖でテストドライブ。気になる走る、曲がる、止まるの氷上性能は、はたしてどうなのか?
文/ベストカー編集部、写真/池之平昌信氷上ドライブの聖地、女神湖でAW-1をテスト!
11月になり、北海道の山間部では雪が積もりはじめた。そろそろスタッドレスが気になる季節になった。夏タイヤ選びはコスパを最優先にする方も、「スタッドレスタイヤはやっぱり、ブランドだよな」と考えるユーザーは少なくないはず。
というのも、日本は雪が降り積もるだけではなく、路面凍結に出くわすことが珍しくないからだ。この凍結した路面でも安心して運転できるのが最新のスタッドレスタイヤ。クルマに詳しい人なら誰しも「スタッドレスはケチるな」と教えてくれる。確かに国産の最新スタッドレスを装着しておけば、大きな安心感につながることは間違いない。ただし、その「保険代」はバカにならない。
例えば弊社が社員の安全を最優先に背伸びして買った社有車レヴォーグGT-HEXの場合、サイズは225/45R18となり、最新の国産スタッドレスでは1本3万円以上、4本で12万円以上というプライスが付くことも珍しくない。ビールも牛丼も値上げされ、1世帯で年間約8万円の負担増という試算がある今、12万円は痛い、痛すぎる。
しかし、降雪地では夏タイヤのまま冬を越せるはずもなく、スタッドレスは必需品。コスパの高いアジアンタイヤのスタッドレスという選択もあるが、雪の降らない国々で開発されているイメージがあり、性能は未知数。確かにそうであろう。
ベストカー編集部もナンカンの最新のスタッドレスタイヤAW-1を装着するまでは、そう思っていた。ナンカンAW-1は国産スタッドレスタイヤ同様、氷上(アイス)性能の高さをアピールしている。アジアンタイヤのスタッドレスが劣るとされるポイントだ。ならば試してみようと、2022年2月、氷上ドライブの聖地、長野県の女神湖でレヴォーグにAW-1を装着し、テストドライブを行った。
ナンカンタイヤって?AW-1って?
ナンカンは台湾のブランドだが、創業は1959年と古く、スタッドレスタイヤについては25年以上開発してきた歴史がある。初期には日本の横浜ゴムと技術提携を結んだこともあり、現在ではアメリカ、欧州など世界180カ国で製品を販売するグローバルブランドに発展している。
そしてこのAW-1は北海道でテストを重ねたナンカン史上最高のスタッドレスタイヤで、オートウェイ専売モデル。だから、日本の凍結路に強いのだ。さらにイン側、アウト側のショルダーブロックは異なるデザインとなり、横に入るギザギザのサイプは大胆にして繊細で、氷上性能を意識していることがわかる。
繊細なアクセルワークに応えるグリップ性能
快晴の女神湖はマイナス8°C、氷の厚さは20~30cmと絶好のコンディション。とはいえ、恐る恐るレヴォーグを湖上に進めていった。AW-1のタイヤパターンは左右非対称で、センターリブに刻まれたのこぎり状の3Dサイプが印象的だ。
3Dサイプは接地面にかかる圧力を均等化し、制動性能やトラクション性能を高めてくれる。さらにイン側、アウト側のショルダーブロックは異なるデザインとなり、横に入るギザギザのサイプは大胆にして繊細で、氷上性能を意識していることがわかる。
女神湖に作られたミニサーキットを模したコースは、右回りで大きなカーブとそれよりも小さなカーブ、そしてストレートが組み合わされたもの。ストレートといってもラフなアクセルワークでは、途端にリアが滑り出し、スピンしてしまうほど、氷上は特別に繊細なドライビングが求められる。
AW-1装着のレヴォーグでコースに入ると慎重にアクセルを開けていく。30km/hくらいまでが特にスピードに乗せるのが難しい氷上だが、空転することなく、しっかりと前後タイヤにトラクションがかかり、スムーズにスピードが乗る。カーブに差し掛かるコーナーでのブレーキングでも、じわりとスピードが落ち、コーナリング姿勢を保ってくれる。レヴォーグの4WD性能の高さもあるが、想像以上に安定感がある印象だ。
慣れてきたところで、スピードを上げ、タイムトライアルのような走りもしてみたが、コーナーの立ち上がりでの加速(といっても40km/hくらい)がいい。もちろんラフなアクセルとブレーキの操作ではあっという間にスピンしてしまうが、イメージと大きく変わらない走りができ、氷上性能の高さを印象付ける。
弊社の女性スタッフが乗っても、「初めての氷上なので、思うように走れませんでしたが、安心感がありました」とコメントするように、誰が乗っても氷上性能は合格点といえそうだ。
AW-1を装着して印象的だったのは、ドライの一般道での乗り心地のよさ。東京から女神湖へは高速道路と一般道のワインディングを走るが、とにかく乗り心地がよく、スタッドレスにありがちな腰砕け感がない。
静粛性も高く、スタッドレスとわからないくらいパターンノイズが抑えられているのがわかる。しかもタイヤの摩耗を抑えるライフ性能も向上しているというから、ありがたい。乗り心地のよさと静粛性の高さ、そしてロングライフは、(お薦めはしないが)夏タイヤに履き替えずにスタッドレスを使う人たちに歓迎されそうだ。
そして価格。なんとAW-1はレヴォーグの225/45R18サイズで1万4,790円(2022年10月末現在)と国産スタッドレスタイヤの半額以下とコストパフォーマンスの高さは、さすがオートウェイの専売品と納得。13インチから19インチまでサイズも幅広く、軽自動車から輸入SUVまで対応可能だ。ナンカンが日本のユーザーのために北海道の専用テストコースでテストしたAW-1はこの冬スタッドレスタイヤを選ぶなら、その候補に入れないのはもったいない!
※価格はいずれも税込、取材当時のものです。