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 まさに天才である。
比類まれなる個性、探究心、自然派でも更に原点を追求した超自然派ともいえる方向性を追求し電磁波を発生するようなものは一切畑においても使用しない。
最近は今までほんのりと甘かったワインもドライ傾向になってきている。
常に前向きな姿勢が素晴らしい。 
 
VdF - La Lune Amphore 2017

Sold Out

VdF - Gelinettes Rouge 2018
ジェリネット・ルージュ 2018
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン グロロー・ノワール
植樹:2005年
21日間のマセレーション
1年間の熟成
VdF - La Lune 2017

Sold Out

VdF - Les Fouchardes 2017
レ・フシャルド 2017
品種:シュナン・ブラン100%
植樹:1975年
位置:南・南西向き
土壌:片岩上に粘土質・砂質
木樽で2年間の熟成
コトーデュレイヨンのデクラッセ(格下げ)。
”僕にとっては宝物のような畑で、毎年最も繊細なワインができる。20年は熟成させることができる。
”セックなシュナン・ブランをどうすれば造ることが出来るのか、いつも考えてきた。フシャルドのブドウがいつも僕にヒントを与えてくれた。”
 VdF - La Lune 2017   1500ml

Sold Out

Rose d'Un Jour Grolloau gris 2019 1500ml
ロゼ・ダン・ジュール・グロロ・グリ [2019] 1500ml
品種:グロロー・グリ
植樹:1972年
収穫の2週間後に瓶詰め
この畑はクリマの特徴で毎年グロロー・グリに貴腐がつき、大変香り高い美しいロゼができる。軽やかで上品な甘さがある。
亜硫酸を減らしつつ、甘口に仕上げるために、フィルターの回数を増やすことで対応。通常、フィルターをすると、一回につき、10%の量のワインが失われる。

Rose d'Un Jour Grolloau gris 2019
ロゼ・ダン・ジュール・グロロ・グリ [2019]
品種:グロロー・グリ
植樹:1972年
収穫の2週間後に瓶詰め
この畑はクリマの特徴で毎年グロロー・グリに貴腐がつき、大変香り高い美しいロゼができる。軽やかで上品な甘さがある。
亜硫酸を減らしつつ、甘口に仕上げるために、フィルターの回数を増やすことで対応。通常、フィルターをすると、一回につき、10%の量のワインが失われる。
VdF - La Lune 2017

Sold Out

VdF - Blanc Les V.V des Blanderes 2017
ブラン・デ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・デ・ブランドリ 2017
品種:シュナン・ブラン100%
植樹:1949年
土壌:シスト(スレート粘板岩)
木樽で2年間の熟成
畑はAOCコトー・デュ・レイヨン地区にありますが、辛口に仕上げていますのでAOCはアンジュ・ブラン。樹齢の古い樹からアルコール度数の高い長熟ワインが生まれます。
VdF - La Lune 2018  1500ml
ラ・リュンヌ 2018  1500ml
品種:シュナン・ブラン100%
植樹:1967年~2012年
位置:標高80m、南南西向き
土壌:砂質
木樽で1年間の熟成
三日月形の畑。

VdF - La Lune Amphore 2017
ラ・リュンヌ・アンフォール [2017]
品種:シュナン・ブラン100% 
樹齢:5~70年(2017年2月現在)
植樹本数: 6000株/ha 
収量:23hl/ha
収穫時期:10月5日
瓶詰め時期:2016年10月23日
マセレーション: なし
アルコール醗酵期間:1年間
熟成:400lの木樽で1年
濾過:あり、清澄/澱引き:なし
年間生産ボトル本数:3000本
亜硫酸不使用
VdF - Les Mirabelles 2015
レ・ミラベル 2015
いくつかの区画で造ったブドウをアッサンブラージュ
畑面積:3ha
標高70m、南・南西向き
品種構成 : シュナン・ブラン100%
樹齢:5~60年
植樹密度:6000本/ha
収穫量:18hl/ha
土壌のタイプ:シスト、粘土質、砂岩質 
マセレーション: なし
アルコール醗酵期間:1年間、温度コントロールなし
熟成:400Lの木樽で13ヶ月
濾過:あり、清澄:なし、澱引きは一度のみ
このキュヴェの年間生産ボトル本数:1200本
ワインの名前の由来:畑の周りにミラベル(イエロープラム)が植わっていることから
 VdF - La Lune 2017   1500ml
ラ・リュンヌ [2017] 1500ml
品種:シュナン・ブラン100% 
いくつかの区画で造ったブドウをアッサンブラージュ
樹齢:5~70年(2017年2月現在)
植樹本数: 6000株/ha 
収量:23hl/ha
収穫時期:10月7日
瓶詰め時期:2016年10月25日
マセレーション: なし
アルコール醗酵期間:1年間
熟成:400lの木樽で1年
濾過:あり、清澄/澱引き:なし
年間生産ボトル本数:6000本
Tasting Note

VdF - La Lune Amphore 2018
ラ・リュンヌ・アンフォール 2018
品種:シュナン・ブラン100%
植樹:1967年~2012年
位置:標高80m、南・南西向き
土壌:砂質
アンフォラで11ヶ月の熟成
バリック熟成のものよりも味わいに芯があり、ミネラルに富み、粘性を帯びた力強いワイン、仕上がる。
2013,14年VTはジョージア産のクヴェヴリで熟成。
2015年以降はドイツ産のせっ器(陶磁器の一種)を使用。
VdF - Les Mirabelles 2015
レ・ミラベル 2015
いくつかの区画で造ったブドウをアッサンブラージュ
畑面積:3ha
標高70m、南・南西向き
品種構成 : シュナン・ブラン100%
樹齢:5~60年
植樹密度:6000本/ha
収穫量:18hl/ha
土壌のタイプ:シスト、粘土質、砂岩質 
マセレーション: なし
アルコール醗酵期間:1年間、温度コントロールなし
熟成:400Lの木樽で13ヶ月
濾過:あり、清澄:なし、澱引きは一度のみ
このキュヴェの年間生産ボトル本数:1200本
ワインの名前の由来:畑の周りにミラベル(イエロープラム)が植わっていることから
 

 
 

 La Ferme de La Sansonnière
ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール
 
地域:Loire  
地区、村: Anjou アンジュ
造り手:Mark Angeli マルク・アンジェリ


創業年:1989
 

歴史:

ワインとは無縁な仕事につきながら、80年代に甘口ワイン造りの魅力にとりつかれ、ボルドーで醸造学を学んだあと、フランス各地で醸造を経験する。「ボルドーではラ・トゥール・ブランシュとスデュイローでスタジエをしたが、ボルドーの人工的なワイン造りではなにひとつ学ぶことはなかった」という。1990年にアンジュ地区コトー・デュ・レイヨンとボヌゾーに7haの畑を購入。現在は10haになった畑すべてでビオディナミを実践、そのワインはヴァンナチュールの精髄と評されている。マルクは、ニコラ・ジョリーとギィ・ボサールとともにラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンを盛り立て、ヨーロッパの造り手たちに真剣に有機栽培を取り組む運動をおこし、なかでもマルクは、活動の方針を考え、積極的な役割を担ってきた。「ボヌゾー」では最高の評価を受けているが、他の白ワインはもちろん、ロゼも素晴らしい。
2002年にカベルネ・ソーヴィニョンとガメの栽培をやめ、シュナン・ブランに植えかえた。
 

~合田泰子のワイン便り 2015年8月号 より~

ヴァンナチュールの精髄/マルク・アンジェリの来日
夏の畑の手入れが一段落し、収穫までの短い合間をぬって、8月15日にマルク・アンジェリが来日します。ご存知のようにマルクは、ニコラ・ジョリーとギィ・ボサールとともにラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンを盛り立て、ヨーロッパの造り手たちに真剣に有機栽培を取り組む運動をおこしてきました。なかでもマルクは、活動の方針を考え、積極的な役割を担ってきました。優しく、おだやかな人柄の底に、強い意志と正義感があふれる、有言実行の人です。まだ、ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンができる前、2月に行われるサロン・ド・ロワールの集まりで、熱く語りながら仲間づくりに奔走していたことを思いだします。 
1990年にアンジュ地区コトー・デュ・レイヨンとボヌゾーに7haの畑を購入し、ワイン造りを始めたマルクは、現在10haを栽培しています。長年ビオディナミで丹精された畑には、活き活きとした生命感があふれ、畑にたつと心が落ち着くような、不思議な気持になります。そのようなブドウから生まれるワインですから、私はワインのなかに気高さを感じとり、たとえようのないピュアな美しさにうたれるような思いがします。
妥協せずにワイン造りの原点を求めてやまない研鑽の結果、どのキュヴェも一層の洗練さを備えてきています。演奏家に例えるならば、音楽家が新たな境地に達し、従来と異なった新しい音を奏でるかのようです。 この度の来日セミナーでごらんいただくワインは、難しい天候続きでしたが、いずれも前進し続けるマルクの最上の表現を感じていただけると信じます。
  今回の来日では、ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンの重要な活動である、マダガスカルの支援について、詳しくお知らせいたします。 この活動は2009年から始まり、人々の自立支援と植林を続けています。後者は、植林を続けることを通じて、はげ山になってしまっていたマダガスカル島を、50年後に樹々で覆われることを目指すという、遠い未来を見据えたプロジェクトです。このように、寄付の方法は多肢にわたりますが、直接的には植林で島全体の生態系の改善を図るとともに、女性のワークショップ支援をつうじて、マダガスカルの人々が自立して特産品を生産することを支持し、生産された産物を購入することによって、経済支援をしています。特産品としては、〈バニラ・ビーンズなどの最上質の香辛料〉、〈天然由来の香油の原料〉、〈ワークショップで紡がれ、染められて織られたスカーフ〉などの購入、ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンの入場料の全額寄付以外にも、マルク自身はワインの売り上げの一部を寄付しています。  
ちなみにスカーフは、以前ラシーヌが輸入し、フェスティヴァンで販売いたしました。 エシャルプ(ショール)は、南部の高地にある小さな村に生活する女性達が活動するワークショップで作られていて、現地を訪ねて直接購入しており、WWFとは関係なく、全売上をZafimaniryの人々を援助する“Babakoto”協会へ寄付しています。 マルクのパンフレットには、次のように紹介されています。 
 

ドメーヌ解説:

栽培:ビオディナミ/エコセール、デメテール取得。
デメテールを取得するにはビオディナミ法に従わなければなりません。ワインは勿論の他、リンゴジュース(リンゴの栽培)、小麦粉、蜂蜜、オイル・・などもデメテールを取得しています。
栽培品種:シュナン・ブラン、グロロー・グリ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、グロロー・ノワール
 自社畑面積:7ha 
契約畑面積0.3ha
ブドウ以外の自社農作物:りんごジュース
ブドウ畑以外の自社畑総面積:6ha
主な仕立て方法:ゴブレ式
土壌:片岩上に粘土・砂質、柔らかい沈積物、粒状の片岩と石灰分を含む岩石
栽培、醸造:大小4つの垂直型木製のプレスを使い分けている。
10haの畑すべてでビオディナミを実践。225リットル樽で熟成、いずれも補糖しない。
酵母のタイプ:野生酵母
年間生産ボトル本数:17000本
 

――Mark Angeli マルク・アンジェリとAnge(天使)の味わい――

 
Hommage a Mark Angeli マルク・アンジェリを賛えて    合田 泰子
 
マルク・アンジェリが手がける絶品のシュナン・ブランは、すっかりおなじみになりました。軽やかさ、官能的でかつ上品な味わいは、ひと口味わった瞬間に、飲み手を深い感動へと導いてくれます。目を閉じて余韻を味わう一瞬の、なんと幸せなこと。端正な美しさに秘められた力強さは、後述するようにマルクの人となりを映し出しているのです。
 
マルクは、いまやトレードマークとなったハンチングをかぶり、日暮れまで畑に出て自らを“paysan polisson ”「おちゃめな農夫」とでも訳せばいいでしょうか、とふざけ半分に自称しています。ご存知のようにINAO (l’Institut National des Appellations d’Origine 国立原産地呼称機関)と論争を繰り返し、「AOCが求める生産地の特徴など、あまりにもいい加減で、ナンセンスこの上ない」とINAOをl’Institut Negativiste de l’Apathie Organoleptique(生理学的に感覚が鈍くて無為無策な、消極的機関)と決めつけ、誇りをもってヴァン・ド・ターブルを名乗っています。
 
原子力発電所建設に反対し、核開発や戦争に怒り、純粋に平和のために祈り、つねに古の叡智に耳と心を傾け、精神をとぎすまし、マンネリと不断に戦い、思索しつつワインを造っているような人物です。純粋なひたむきさと強い意志、高い志と繊細な感覚が、醸造を始めて10余年という経験から練りあげられた技と一体になって、丹精した畑の力を引き出すことに成功し、味わいに現れているのではないでしょうか。
 
数年来、彼のシュナン・ブランをこよなく愛し、ひたすら楽しんできたわたしですが、2001年を境にその作風が大きく変ったように実感しています。一般的にいって、エキスが閉じ込められた辛口のシュナン・ブランは、えてしてアーモンドの核めいた苦さが残りがちで、タニックなニュアンスが感じられることが多いのですが、2001年以降の彼の作には、まるで宙を舞う天使を思わせるような、無上の軽やかさがあります。
 
まさしく彼のワインは、しみじみと苦しみを超えた人生の喜びをかみしめることができる、大人の飲みものではないでしょうか。いまや人知の域を越えて「芸術品」ともいうべき境地に達した趣のある極上のアンジュを味わって、幸せなひと時に浸っていただきたいと思います。
 

ロゼ・ダンジュール新世代

 
「ロゼ・ダンジュール新世代」については、4月の『ラシーヌ便り』でお知らせいたしましたが、少しだけ補足いたします。2005年にマルク・アンジェリは、「ロゼ・ダンジュール」を商標に登録しましたが、マルクは商標を独り占めすることを欲しませんでした。そこで、ワイン哲学を共有する若き仲間たちに呼びかけて、マルク型の「ロゼ・モワルー」方式による独自の醸造方法を伝えた結果、11人の造り手が各自「ロゼ・ダンジュール」を造りました。
ラシーヌには私の選んだ次の4人のロゼが到着いたしました。ディディエ・シャッファルドン、エルベル・ロラン、ダヴィッド・フランソワ/シャトー・パッサヴァン、ブルーノ・セルジャンで、いずれも才能豊かなアンジュ地区の新世代です。 
 

1)ディディエ・シャッファルドン
マルク・アンジェリがワイン造りを始める前からの、マルクの旧友。ワイン造りを志したときに、マルクの助言を得て、この地区にやってきた。几帳面で誠実な人柄で、マルクの信頼が大変厚い。4人のなかで、唯一カベルネ・フランとピノ・ドーニを混醸しているため、柔らかなニュアンスと同時に、骨格と奥行を備えています。
 
2)ダヴィット・フランソワ/シャトー・パッサヴァン
  12月の審査会の際、もっともチャーミングな味わいで、心を惹かれたワイン。カベルネ・フランとグロロー・グリの混醸。きれいな酸と果実味のバランスが美しく、残糖は控えめ。アンジェ城の原型といわれる要塞型のシャトー・パッサヴァンは、AOCアンジュのほぼ中央に位置している。ここではカベルネ・ダンジュ、アンジュ・ルージュなど10種類のキュヴェを造り、エコセールの認証を得ている。2005年にロゼ・ダンジュールを造ったことを機に、他のキュヴェもいっそうヴァン・ナチュールのスタイルに変わっていくことを、私個人としては期待しています。
 パッサヴァンのカベルネ・ダンジュは、大量生産のロゼとは一線を隔す一クラス上の低価格帯のロゼです。
 
3)ロラン・エルベル
  ナデージュとローランの若いカップルが造る。2005年がファースト・ヴィンテージで、継いだ畑の回復のため、収量を極端に抑えた。カベルネ・フラン100%の本作は、4人のなかで最もエキスが深く、わずかにタニックなスタイルを有する。
 
4)ブルーノ・セルジャン
ダヴィット・フランソワと同じく、12月の審査会で、ロゼ・モワルーらしい柔らかさとチャーミングなキャラクターを強く感じた一人。グロロー・グリ100%で、色は淡いサーモン・ピンク。貴腐ブドウのニュアンスが最もよくでています。
 
12月の審査会を振り返ってみますと、ほとんどの造り手のワインが発酵途中のため、どのような仕上がりになるか、あの次点での判断は困難でした。が、各ワインとも、ほぼ想像したスタイルに仕上がったと思います。審査会の時に私が選んだ基準は、〈やわらかなテクスチュア〉〈酸の美しさ〉〈アフターの残糖が心地よいこと〉の3点です。ビン詰したばかりの、マルク・アンジェリは、11人のなかでもっともかたく、色も例年に比べかなり深い色調のため、マルクのワインとはブラインドではわかりませんでした。マルクによれば、2006年ヴィンテージの審査会は今回の12月よりも遅らせて2007年1月、サロンの直前に行って、いっそう仕上がりの進んだワインをテイスティングする予定です。
 

マーク・アンジェリ、2015年8月19日 来日時インタビューより

<醸造について>
赤ワインの造りの話をさせて頂きます。みなさんよくご存知だと思いますが、赤ワインを造るブドウを収穫した時にその粒を手に取って、潰すと、中から出てくる液体は透明です。ワインを赤く仕上げていくにあたり、皮の色を取る必要があるのでマセレーションを行います。やり方は様々あります。主に2つあるとすれば、一般的なのが一緒に醸しを行うこと。すると皮の方が軽いので浮上します。それを果帽とよびます。表面が完全に浮くので、そこをそのままにしておくと、ヴィネガーに変わるリスクが生じます。それを回避ための手段は現在までは2種類しかなく、

  1. 一つはそこにある液体を汲み上げて上からかけて湿らせる方法(ルモンタージュ)と、
  2. もう一つは、浸るように足で液体の中に押し戻す(ピジャージュ)の二つでした。

 
しかし、近所でワインを造っている友人が、三つ目の方法があると教えてくれました。タンクの形をした円錐状のシートみたいなものを落し蓋のように上に乗せ、そのシートに大体20cm分くらいの水を入れます。水の重みで果帽は果汁に浸り、水の重みと圧力でシートは横に広がるので、空気が入るのを防いでくれます。
 
醗酵時に発生する二酸化炭素は、シートを押しのけタンクの内壁とシートの間を抜けて外に出ますが、空気は入ってこない仕組みです。常に果帽が浸かっている状態になっていれば、ルモンタージュやピジャージュをおこなう必要もなく、抽出がより多くできるという利点もあります。同時に抽出されるタンニンが非常に繊細な、デリケートなタンニンの抽出が可能となります。
 
この手法を用いた結果、ピジャージュをして得られるタンニンと、そのままにした時のタンニンには大きな違いがあり、そのままにしておいた時のタンニンは非常にきめ細やかなタンニンの抽出が可能となりました。反対にピジャージュを行った時、要は果帽を動かした時に得られるタンニンは、少し素朴で、野性味のある、少し荒々しいタイプのタンニン抽出となりました。細やかなタンニンゆえに、ビン詰めしてからすぐに楽しめ、さらには長期間熟成が見込めます。タンニンが豊富に含まれているけれどもそれを感じない繊細さがこの醸造の興味深いところです。
 発酵後、一般的にはタンクの底から液体を出し、果帽をタンクから取り除きプレス機に入れて圧搾するのが一般的です。しかし、今回のようにシートで醸した場合は、通常通り下から液体を取り除きます。果帽はシートと共にタンクの底に沈みます。液体がなくなった後はシートの中の水を20cmあったところを1m分追加します。その重みで自然と果帽に圧がかかり液体を抽出します。この工程でも果帽を触らずおこなえ、繊細なタンニンをプレス・ジュースからも抽出可能になります。
 
ちなみにこの手法はビオディナミ農法でワインを造る人間(=ビオディナミスト)が思いついた手法です。ビオディナミストが考え付いた方法である以上、特許申請もおこなわれておらず、誰でもその方法を用いて赤ワインが造れます。
我々が意図しているところは、みんなで意見を出し合って、みんなで向上していく。決してひとりよがりな、自分だけのものにするようなエゴイストな発想は私達は持っていません。
この方法を地元の人が考え付いてくれたのは幸運なことで、アメリカ人が考え付かなくて良かったと思っています。
 
<畑での収穫風景> 収穫と除梗について
グロローは特別除梗する必要はありませんが、カベルネは必ずと言っていいほど除梗した方が良いセパージュです。そうしないと青み、えぐみのあるタンニンが出てしまいます。「素朴」で「荒い」味わいになってしまいます。それをなくす方法が二つあります。
1.一つが99.99%の割合で使用されているものとなります。除梗機に房を入れて、実と茎を分ける方法。
この機械は高額で電気代もかかり、さらに取扱いに注意しなくてはいけない危険な機械です。
もう一つが、受け皿のような形状の篭を竹などの素材を編み込んで作ったものを使用することです。私が持っているカベルネの畑は苗と苗の間隔が非常に狭いので、機械を通すことが出来ません。よって、馬で入って収穫を行います。馬で荷台を引っ張りますが、その荷台にプラスティック容器を3つほど置き、その容器の上に籠を配置します。
収穫してきた人間がそこにブドウを房ごと入れ、馬を引いているスタッフがそれを洗うように手で摩り実だけ落として、房は畑に戻してそれを肥料がわりに使います。
このやり方は、危険を伴わず、電気も使用せず、騒音もなく、さらには馬に乗っているスタッフの良い暇つぶしにもなり、そして畑の肥料まで作れてしまいます。
 

<ワイン>

◆マルク・アンジェリからのヴィンテッジについてのコメント◆
2010年と2011年、2012年と2013年、そして2014年はそれぞれに異なる特徴を持つ年となりました。
2010年、2011年:
共に温暖な気候の年で、栽培家にとって対応がスムーズにいった年でした。
2012年、2013年:
雨の多い年。特に2013年は日照量が少なく、糖度が低いブドウが実りました。アンジュの真面目なビオの栽培家全員が、今回に限っては補糖をすべきか迷うほどの年でした。しかし、私が知る限りでは誰一人補糖はせず、そして補糖しなかったことを後悔した者もいなかったと思います。なぜなら、出来上がった2013年のワインは他のヴィンテッジと比較し得るほどの品質である以上に、ワインには通常よりも張りとミネラルに増していたからです。
2014年:
非常に特徴的な年で、樹の生育に困難が見られる春に始まり、夏季にあたる7月は“まとも”といえども 8月23日まで雨が多く降りました。これ以上降り続けると壊滅的被害を受けるところでしたが、その後は夏らしい天候に見舞われ2014年ヴィンテッジは救われました。

 

 
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